『パパとロンちゃんは楽しく』ーマンボウやしろ#16[ゴルの魅力VSラブの引力!]
大のラブラドールレトリーバー好きとして知られる、マンボウやしろさん。そんなマンボウやしろさんに、ラブラドールの魅力と思い出を存分につづっていただく連載。
#16は、事情があって離れ離れになった愛ラブのロンに対して、『若さゆえ』にとった行動への後悔、そしてロンが虹の橋を渡り、その後、見えない姿になったロンに“心”で触れた時のこと、長い月日を経て、今だからこそ口にしてしっかりと伝えたい想い。
まさに、ロンに対して感じてきたマンボウやしろさんの“全ての感情”とも言えるような、切なくも温かい気持ちになれる想いを語ってくれました。
愛ラブ“ロン”とお別れしてからのこと

ho ura/shutterstock
千葉の田舎の寿司屋にやってきたラブラドールレトリーバー・イエローのオスのロンちゃん。
僕が13歳の時に家にやって来たロンだけど、7年後に父が急に他界して僕ら家族は引っ越すことになった。
東京の祖父のマンションでは犬を飼うことができず、飼い主としては失格だけれど、僕らとロンはお別れすることになった。ごめんねロン。
トレーナーの方の紹介で、自然豊かなところに住んでいる優しい年配のご夫婦の家族になることになったロン。

SasaStock/shutterstock
一方、父が死にすぐに芸人の道を選んだ20歳の僕。
色々あり世の中が嫌いになり、とにかく売れることばかり考えていて、まともな生き方から逃げるように遠ざかりながら、毎日無茶苦茶な生活を送った。
母からは何度もロンに会いにいく誘いを受けたけれど、僕は仕事以外で東京を離れることが面倒で毎回断っていた。

Jaromir Chalabala/shutterstock
「早く売れてロンを連れ戻したい!」そんなことを数年間は考えていたけど、芸人の世界はそんなに甘いものじゃなかった。
ロンは新しい家で大層可愛がられ、平穏な暮らしの中でおじいちゃん犬になり命を全うした。
僕らと住んでる時には散歩のしすぎで筋肉ムキムキになったり、秋田犬に喧嘩売ってボコボコにされたり、海岸で腐ったカニを食べてしまってぶっ倒れたり。

Eduard Valentinov/shutterstock
ロンと僕らは出鱈目で破茶滅茶な日々だったけれど、母から見せてもらった新しい生活のロンの写真は、本当に穏やかな顔で散歩していた。
良い方にもらっていただき感謝しかないし、僕らにとって家族であるように、ご夫婦にとってもロンは家族なんだと思うと不思議だったし、やっぱり感謝しかなかった。
旅立ってからの再会…“見えない姿”に触れた時

SasaStock/shutterstock
ロンの死後、ありがたい事にロンを僕らの元に戻してくださった。
ロンはお寺のペットの遺骨を入れる塔のような建物におさめられた。薄情極まりない僕はその時も立ち会わなかった。
そこからまた数年が経ち、ロンの骨は塔から土に還ることになった。
母に声をかけられ僕はロンのところへ離れてから初めて行った。

Inni/shutterstock
建物の中に入ると小さな扉が沢山あった。
母が1つの扉を開けると、中には小さな陶器があった。
それは僕が想像していたよりも余程小さくて驚いた。
どうして生きているうちに会いに行かなかったんだろう?

Radek Havlicek/shutterstock
自分の人生ばかりに必死で、それなりに仕事に関する技術や人間関係を手にしたのかもしれないけど、僕は大事なものも沢山無くしてしまったことを実感した。
この連載で書いたようなロンとの想い出がどんどん頭や心に流れ溢れてきて、ロンを大好きだった気持ちやロンを触った時の感触やロンと一緒に過ごした時の匂いなどが全部五感に蘇ってきて涙が流れた。
『ロン』という存在の変化

Konstantin Zibert/shutterstock
ロンが死んだ時、母は電話で「家族が3人になりました」と僕に告げた。
ん? 悲しかったし驚いたけれど、母の言葉に違和感を感じた僕は、父が死んだ時に母が言った言葉も同じセリフだったことを思い出しクスっとした(笑)。
父が死んだ時にロンは家族の人数には入っていなかったけれど、離れ離れになってから母の中でロンは家族になったのかもしれない。

Magnito/shutterstock
犬やネコなどの生き物は、ペットなのかもしれないけれど、やっぱり同時に家族でもある。
話は少しズレるが、これから先僕らの家族の誰かが死んでも結局は「家族が3人になりました」って母は言うかもしれない(笑)。
なんならばもう言って欲しいくらいの気持ちになっている自分がいる。
父とロンの「現在」を想うと

OLEH SLEPCHENKO/shutterstock
『くるり』と『Cocco』は僕が共に大好きなアーティストで、この2組が『SINGER SONGER』というユニットを組んで作品を発表していた時がある。
その中に『初花凛々』という楽曲があるのだけど、それが大好き。
なんでかわからないのだが、この曲を聴くと天国の草原で父とロンが楽しそうに走っている映像が脳裏に浮かんでくる。

OLEH SLEPCHENKO/shutterstock
いつからか? それすらも覚えていないけれど、父もロンも笑っていて、小さな花が沢山咲いて空は青く晴れている。
ラジオなんかで不意に流れてくると泣きそうになってしまって本当に困る(笑)。
天国があるのかないのかなんて知らないし、別になくても良いし、僕は天国には行けないかもだけど、もしも天国があるのならば、父とロンはそこで遊んでいて欲しいって勝手に思うわけです。

Taisya Korchak/shutterstock
今も原稿を書きながら“初花凛々”を流しているんだけれど、涙がこみ上げてきて、悲しいわけじゃないのにこういう時にやってくる涙や感情の名前はなんていうのだろうか?
温かい気持ちに抱かれてるような感覚。
この名の無い感覚もロンがくれた贈り物のひとつなんだろう。
いつか会えたら、その時には

Ekaterina Kuzovkova/shutterstock
色々あって迷惑かけちゃったけれど、ロンが家族になってくれて心から良かったと思う。家族全員が感謝している。
今、書きながらやっぱり違う想いになってきて、もしも天国があって、もし僕も行ける可能性があるのならば、ロンに会いに行って謝ったり感謝したり、ちゃんと告げたいと思う。願う。
ロン、改めてありがとうね。
先に遊んでてね\(^o^)/
マンボウやしろ
元お笑い芸人。1997年よりお笑いコンビ「カリカ」として活動し、2011年に解散。その後ピン芸人を経て2016年に芸人を引退。現在はラジオパーソナリティ、演出家、脚本家、MCなど多方面で活躍中。
Twitter:https://twitter.com/manbouyashiro
メルマガ:マンボウやしろの『死ぬまで生きます』
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