【取材】「今日はノリが悪い」で炎症発見。12歳&14歳、2頭をレジェンドにしたのは小さな違和感も見逃さない観察力。 #2 大吉
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリーバーたち。そこで10歳を過ぎたレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリーバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリーバーの肖像』です。今回は、つい最近まで14歳の黒ラブ・カノンちゃんと暮らしていた大吉くん12歳が登場します。2頭のレジェンドレトを育てあげたオーナーさんのお話には、きっと長生きのヒントが隠れているはず。
目次
大吉くんプロフィール
年齢&性別
12歳の男の子(2008年8月21日生まれ)
体重
22kg
大好きなこと
お買い物したものを運ぶこと、ボール遊び、水遊び
既往歴
10歳にとき膀胱炎に。
カノンちゃんプロフィール

撮影/山田智絵
年齢&性別
15歳までもう少しの14歳で虹の橋を渡った女の子(2006年5月20日生まれ)
体重
24キロ
大好きなこと
人の足の間をくぐること
既往歴
血管肉腫にて1月20日永眠。
今のこの時間を楽しく過ごすこと。それこそがシニアレトリーバーと暮らす秘訣

左が大吉くん、右がカノンちゃん。撮影/山田智絵
実家暮らしの時から代々黒ラブと暮らしている貝塚尚子(かいづかなおこ)さん。
結婚後は実家で一緒に暮らしていた2頭のラブラドール、ノンちゃん(正式名カノンちゃん)と大吉くんと共に今のおうちに引っ越して来ました。
残念ながらノンちゃんは今年1月に、14歳で虹の橋へ渡ってしまいましたが、12歳の大吉くんは今も元気いっぱいです。
シニア犬との暮らしや健康のために気をつけていることなどについてお伺いしました。
2頭の黒ラブ、それは相当…と思いきや?

ノンちゃん(左)はおっとり、大吉くんはわんぱく(右)。撮影/山田智絵
尚子さんにとってノンちゃんは黒ラブ2代目、大吉くんは3代目です。
こう言っては何ですが、ラブラドールの取材をする時には「こんなすごいことやらかしました! 的なお話があるんだろうな、ふふふ」と思っているところがあります(すみません)。
そこでつい「やはり色々な武勇伝がありましたか?」と聞いてしまったのですが、貝塚さんからは「そういうのあまりなくて…」という回答が。
え? 破壊しないラブ? イタズラしないラブ?(またまたすみません)
もちろんそういったタイプの子がいるのもわかっていますが、3頭もの黒ラブ全員がそうだったとはすごいとしか言いようがありません。

撮影/山田智絵
「最初の子は保護した時にシニアだったということもあったかもしれません。
2代目のノンちゃんは小さい頃は人に飛びついたり葉っぱを追いかけたりとラブっぽいところもありました。
でもすぐに落ち着いて、手がかからない子でした」。
ノンちゃんは大吉くんが来てから大人になった気がするという尚子さん。
お姉ちゃんとしての立場がそうさせたのかもしれませんが、パピーらしい小さなやんちゃ以外には大きな事件も起こさなかったそう。
やはり元々落ち着いた性格の子だったのでしょう。
では3代目、男の子の大吉くんは?

12歳にしてまだまだ遊びが大好きな大吉くん
「大ちゃんは、イタズラや破壊はしないものの、いわゆる“激しい系のラブ”でいまだに落ち着いていないです。
ひたすらボールを追いかける、川では寒くても泳ぎ続ける。
高いところも飛んでしまうことがあるので、させないように気をつけています」。
色々な逸話も持っているようで、その一つがイヌリンピックと言う犬たちが集まって色々な競技を楽しむイベントでのこと。
大吉くんは迷路に置かれた誘惑物に惑わされずにゴールすると言う競技に参加しました。
「走るのが早いのでタイムレースは向いているかなって思ってエントリーしたんです。
迷路状のコースをおもちゃで誘導したのですが、近道をしようとしたのかネットを突き破って出ようとしてしまって。
でもネットは破けず、ビヨーンって跳ね返されていました(笑)。
それでもめげず、次は壁を飛び越えて近道を試みようとしたり、想像の上を来ましたね」。
破壊活動はせずとも、ラブらしい元気さがいっぱいなことは確かなようです。
若い頃はアウトドア派、今は都会でのんびり暮らし

撮影/山田智絵
独身時代は茅ヶ崎で海や自然が身近な生活をしていた尚子さん。
ノンちゃん、大吉くんと共にアウトドアも楽しんでいたそうです。
「茅ヶ崎にいた頃はオフ会、キャンプ、カヤック、色々しました。
若い頃に走ったり泳いだり、そういったことが結果的に、この子達の体力作りになったのかもしれません」。
オフ会ではみんなで海に、ドッグランに、川に。たくさんの楽しい思い出がいっぱいのノンちゃんと大吉くんです。
遠出しなくても海が近い環境だったのは泳ぐことが大好きな大吉くんには最高だったことでしょう。

撮影/山田智絵
「でも遊びすぎて肉球ベロベロ、塩水飲み過ぎで嘔吐。
とにかく大ちゃんは限界まで振り切ってしまうんです。それで次の日病院送りということもあるので注意が必要でした」。
ちなみにノンちゃんは泳ぐのも好きではなく、隣で見ているだけ。
ジャンプも大吉くんと同じところを飛びなさいと言っても下をくぐってくるようなタイプで、本当に真逆の性格だったそうです。
「今はそういう環境にないけれど、シニアだからゆったりと暮らしているし、病院も歩いていける距離にあるのでいいのかなって思っています」。
「俺の尚子!」と息巻く大吉くんと、同じくママ大好きな2歳の息子さんとの関係

貝塚さん親子とノンちゃん。撮影/山田智絵
現在、尚子さんは結婚され2歳になる息子さんが。大吉くんとはどんな間柄なのでしょうか。
「子供にとっては優しくすべき対象物が身近にあるので優しく育っているように思います。
子供には少し乱暴になる時期もあると思うのですが、それも今のところありません」。
そんな優しい息子さんですが、尚子さんが大好きで甘えん坊の大吉くんにとってはライバル。貝塚家ではいつも尚子さんの取り合いです。
「大ちゃんはいつも“俺の尚子!”なんです(笑)。
ですから息子に対しては“俺が末っ子で一番可愛がられていたのにこいつが”と言う気持ちはあったでしょう。
でも最近は、少し大人になってきたように思います。今更ですけれど(笑)」。
そんな大吉くんと息子さんは、犬用のベッドに一緒に寝ているそうです。
「一緒にくっついて寝ているのは、寂しいのか守りたいのか守られたいのか分かりませんが」
たとえ理由が“守りたい”であろうが“守られたい”であろうが、お互いがなくてはならない存在なのは間違いないのではないでしょうか。
シニア犬との暮らしには、小さな変化に気づくことが大切
7〜8才のシニアになった時から、1年に1回は健康診断(血液検査)をしていたという尚子さん。
ノンちゃん、大吉くんがご長寿になれたのは、定期定期な検査だけで安心せず、ささいな変化を見逃さない観察力にあるようです。
「ある日のこと、ノンちゃんの“ノリが悪い”って思ったんです。
何かの症状が出ているというわけではなく、一緒に暮らすオーナーの勘というか。それで病院に連れて行きました」。
病院に行くと発熱があり、炎症を起こしていることがわかりました。先生には「よく気が付きましたね」と言われたそう。
この“オーナーにしかわからない違和感”こそが、愛レトを救うものなのです。
「大ちゃんは膀胱炎の経験があるのでおしっこの匂いや色も気にして見ています。
ほかにも、皮膚に出来物がないか触ってチェック。歩き方も日々のお散歩でチェック。
健康診断については今までドッグドックまではしてなかったのですけれど、大ちゃんはこれからしようかなと思っています」。
毎日一緒にいるだけでなく、愛レトのことをよく見ているからこそ感じることができる、ささいな違和感。
これは全オーナーさんが大切にしたものですね。
食事に関しての考え方は少しずつ変化
食事はずっとドライタイプのドッグフードで、おやつは添加物が入っていないものを選んでいるそうですが、何か工夫をしていることはあるのでしょうか。
「以前通っていたしつけ教室のワンちゃんが酵素で元気になったと言う話を聞いて、ずっと犬用の粉末酵素を与えています」。
また、シニアになってからは味付けをしていない鶏ガラスープをプラスしたり、ささみをトッピングすることも始めたそうです。
消化がいいようにフードをふやかしたり、何度かに分けて与える等の工夫もしているとか。
最近は犬ご飯のレシピ本も購入したそう。
「ノンちゃんの貧血がひどかったので、ご飯で改善できるのではないかと思って買いました。
本が届いた後、具合が悪くなって食べなくなってしまったので、作ってあげることはできませんでしたが、色々なメニューが載っているので、これからは手作りしたものを少し大ちゃんにあげるのもいいなと思っています」。
長寿の秘訣とこれからのこと
「大ちゃんは自然が好きな子なので、お出かけして外遊びをしつつ、家では静かに暮らす、オンオフをつける生活がいいのかなと思っています。
やりすぎを防ぐために、これからは犬用の施設など安全対策が取られている場所で遊ばせるのが良いかもしれません」。
大ちゃんは運動神経抜群、そしていつまでも遊びたい。
その気持ちを身体に負担がない範囲で叶えてあげたいという気持ちが伝わって来ました。
「マッサージや鍼などの知識もつけて、家でケアができたらいいなと思っています。
しかしシニアライフについては、あまり神経質には考えていません。
病気になったとしても、治療ばかりに考えを巡らせず、どう日々を楽しく暮らすか。それを重要視しています」。
自然体ゆえ、“取材を受けていいのかなと思ってしまう”とおっしゃっていた尚子さん。
ですが、そんな『犬にとっても人間にとっても堅苦しくない生活』こそが、2頭のレトがレジェンドになれた理由かもしれません。
撮影・取材・文/Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
撮影・執筆の他、写真のレッスンも行う。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは15歳2か月で虹の橋へ。 現在の愛犬はトイプードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。
子供の頃からの夢は「ドリトル先生になること」
Facebook:Roco ~LoveLetters~ 写真と言う名のラブレター
★「#レジェンドレト」で投稿お待ちしています!
レトリーバーライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドレトを探しております!
12歳を超えたレトたちは、「#レジェンドレト」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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