2018年12月19日30,902 ビュー View

【がん(悪性腫瘍)】10歳以上の死亡理由の半数。がんの基礎知識を学ぶ

簡単に言えば、体表や体内にできるかたまりが腫瘍。良性のものと悪性のものがあり、悪性腫瘍はがんとも呼ばれます。人間同様、がんは生活習慣病のひとつで、ある程度は発症しないようにできる可能性があります。

ラブラドールやゴールデンが罹患しやすいがんの詳細な説明は、RTL編集部で疾患ごとに順次サイトアップしていく予定です。

ここでは、犬のがんの概要と治療法について説明します。

がんの発症年齢

レトリーバー病気

John Wollwerth/shutterstock

犬の場合は7歳を過ぎるとがんになる確率が高くなり、発症のピークは10歳頃だと言われています。

 

若年で発症するガンもあります。2~3歳から発症することもある骨肉腫がその一例。

 

そういったがんに関しては、まだ若いから大丈夫だと油断はできません。

 

原因と予防法

がんの発症素因には遺伝的な要素もありますが、生活習慣病でもあることから、いくつかの生活習慣が発症の原因になっていると言えます。

 

人間の研究では、生活習慣病の発症にはストレスとの因果関係があると明らかになっています。ストレスにより、免疫力の低下や自立神経の乱れが生じ、がん細胞が増殖しやすくなるからでしょう。予防のために、ストレス発散ができる遊びや散歩を欠かさずに行ったり、睡眠不足にならないように安眠できる環境を整えてあげたりしましょう。

 

口腔内の環境が不衛生で歯周病菌が多いと、口腔内の腫瘍の原因になることがあります。若齢の頃から歯磨きを習慣的に行うのが、予防のためには重要です。

 

犬は人間と違って喫煙はしませんが、副流煙は同居家族に悪影響です。

 

また、化学的な添加物の多く含まれる粗悪なドッグフードががんの原因になるとも言われています。なるべく良質なドッグフードやおやつを選んで与えるようにしてください。

 

当然のことながら、がんを含めてすべての生活習慣病は、肥満も原因になり得ます。愛レトが適正体重をキープできるかどうかは、飼い主さんの食事管理にかかっています。適度な運動や日光浴も行いつつ、愛レトの健康管理に努めましょう。

 

症状

人間と比べると、犬には体表にできる腫瘍が多いことが知られています。良性の腫瘍は脂肪腫や上皮腫などで、悪性の腫瘍は肥満細胞腫、扁平上皮がん、腺がんなど。犬の皮膚と皮下組織の腫瘍は、全体の3割ほどだと言われています。

 

口腔内の腫瘍も、人間と比較すると犬には多く見られます。悪性メラノーマや扁平上皮がんなどです。

 

体表や口腔内のがんであれば、飼い主さんがお手入れの際などに比較的早く気づけるでしょう。

 

けれども、体内にできる腫瘍に関しては早期の発見は不可能です。痩せてきたり、元気がなくなってきたりといった症状で気づいた頃には、かなりがんのステージが進行しているケースがほとんど。

 

レトリーバーの場合、6歳を過ぎたらドッグドックを定期的に受診して、がんの早期発見に努めてください。

 

診断方法

がんかどうかは、様々な方法で診断します。

 

世界的なスタンダードでは、「TNM分類」という診断手順によって進められます。

 

Tは、腫瘍の情報のこと。視診、触診、針生検、画像診断で腫瘍の情報を集めます。画像診断では、レントゲン、超音波、CT、MRIを状況によって使い分けて、腫瘍の大きさや周囲への広がりなどを把握します。

 

Nは、所属リンパ節への浸潤の有無のこと。腫瘍の近くにあるリンパ節を視たり触ったりして、大きさや硬さをチェックします。さらに、リンパ節内に腫瘍細胞が浸潤していないかを針生検によって確認します。

 

Mは、転移の有無のこと。レントゲン検査で内臓や肺への転移を調べたり、超音波検査で体腔内臓器への浸潤や転移の有無を確かめます。

 

これらの検査によって腫瘍の種類と進行度が明らかになってから、治療方針の検討が始めらます。

 

治療法

がんの治療法を大別すると、外科手術、放射線治療、抗がん剤になるでしょう。

 

麻酔リスクがなく、腫瘍を取り切れるならば、外科手術が第一の選択肢になるかと思います。

 

すでにがんが転移をしていたり、再発を繰り返している場合などは放射線治療という選択肢が挙がります。けれども、放射線治療は行える病院が全国的にも多くはないことと、治療費が1回10万円ほどと高額なため、獣医療の世界ではまだ一般的とは言えません。

 

抗がん剤治療は、犬のがんでは比較的多く選択されています。より長くより楽に、生活の質を保ちながら生きることを目的として、少量での投薬を継続するメトロノーム療法を行うケースも少なくありません。

 

最近はがん細胞だけを狙い撃ちできる分子標的薬の開発が進み、獣医療の現場で使用する獣医師が増えています。

 

前述の3本柱の治療法のほか、免疫療法、漢方薬、サプリメント、食事療法などもあります。

 

いずれにしても、愛レトには口頭で治療法に関する説明ができません。がんの根治を目指して入院治療を繰り返すよりも、たとえ完治できなくても、苦痛の少ない状態で飼い主さんのそばにいられるほうがしあわせかもしれません。

 

愛レトのQOLの維持を優先的に考量しつつ、最良の方法を獣医師とよく相談しながら見つけてあげてください。

 

治療費

診察料(再診料):1,000~2,000円

内科治療:抗がん剤 注射1回30,000円~

放射線治療:1回100,000円~

外科手術は腫瘍ができた部位によって異なります。

 

※病院や症状や処置内容によって治療費は異なるため、あくまでも参考料金です。

 

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