レトが食べ物を守ろうと威嚇する理由と、その防止法
愛レトがもし食べ物を守ろうとする「フードガード」をしてしまうとしても、まずは大目に見てあげましょう。それはもともと、イヌ科の動物の本能だから。
とはいえ、飼い主さんのライフスタイルにも影響を及ぼしかねない威嚇行動は、なるべく早期にトレーニングで矯正をしてあげたいものです。レトたちが食べ物を守る理由と、威嚇行動への対処法を学んでおきましょう。
食べ物を守るのは本能
レトリーバーは穏やかな気質を持つ犬種。人や犬に威嚇をすることはめずらしいかと思います。それでも、愛レトがフードを守ろうとして、フードボウルに近づくと唸ったり威嚇してくる……。と、悩んでいる飼い主さんがいるかもしれません。
多くの野生動物において、食べ物を守ろうとするのは本能的な行動です。自然界は文字どおり弱肉強食。たとえ同じ群れの仲間にでも、威嚇をしたり攻撃をしたりして食べ物を守り抜いた個体が生き残れるのです。
レトリーバーの祖先の野生犬たちは、多くの場合は群れで狩りをして獲物を倒します。狩りの労力たるや相当なものですが、獲物に逃げられたりして徒労に終わることも。
苦労して手に入った獲物には、群れなので当然、我先にとかぶりついて食べるでしょう。おちおちしていては、仲間にすべて食べられてしまいます。そこで、ときには仲間にでさえ威嚇するのです。
また、次にいつ獲物に出会って仕留められるかはわかりません。そのため、イヌ科の動物はいわゆる“食いだめ”をしようとします。
このような、早食いと大食いの習性、さらには食べ物を守ろうとする行動を、レトリーバーたちはDNAにプログラムされて祖先から受け継いでいるといえるでしょう。
だから、けっして愛レトが食事中に威嚇をするからといって、意地汚いわけでも強情なわけでもないことを理解してあげてください。
家族とレト自身のストレスを軽減するために
レトリーバーはそれほど独占欲の高い犬種ではありません。
多頭飼育をしている家庭では、レト同士が同じ食器に顔を突っ込んで仲良く食事をするシーンが見られることもあるでしょう。
もし食べ物を守ろうと威嚇をするレトリーバーがいても、実はこの威嚇は攻撃やケンカを避けるための意思表示でもあるので、それほど危険性が高いわけではありません。危険なのは、威嚇もせずに急に飛び掛かって攻撃をしてくるタイプです。
ただ、食事中の威嚇行動は家庭犬として生きるレトにとっては好ましくないのは事実。トレーニングをして、威嚇せず食事ができるレトにしてあげましょう。
レトたちだって、まわりの環境を気にすることなく平常心で食事できるほうがストレスも少なく済むはずです。
威嚇防止トレーニングをしよう
食事中に威嚇しないレトにするベストなタイミングは、子犬を迎えた日から。
1日3食であれば、そのうちの1食は飼い主さんがなるべくフードボウルから1粒ずつつまみ取って手から与えます。
そうすれば、人の手は「食べ物を奪う」のではなく「食べ物をくれる」ものだと認識して、手に対する警戒心を培わずに育てられるからです。
手のひらから食べさせるのがひとつ。もうひとつ、フードを人差し指と親指でつまんで、レトパピーがその指をなめたらフードを与え、強く噛んだりしたら「痛いよ」と言いながらフードを握った手を飼い主さんの背面に隠してしまう練習も行ってください。
このレッスンをとおして、レトパピーは人の手は噛んではいけないことや、噛む加減を学ぶことができます。
もう1食は、アイコンタクト、オイデ、オスワリ、マテなどの練習のごほうびとして使うのがおすすめです。
最後の1食は、フードボウルに入れて与えましょう。ただし、最初にフードボウルに入れるのは半分以下の分量で。愛レトが食べ始めたら、「追加するよ」と言いながらフードボウルを飼い主さんの手元に引き寄せてフードを足します。
そして愛レトに再びフードボウルを渡して食事を再開させます。さらに愛レトの食事中に、フードや犬用粉チーズなどのおいしいトッピングを加えてください。
これらを繰り返すと、愛レトは飼い主さんの手がフードに近づいてくることに抵抗を感じなくなるどころか、さらにフードやおいしいものが足させると思ってうれしくなるでしょう。
成犬からのトレーニング開始でも大丈夫
理想的には子犬期から威嚇防止トレーニングを開始したいものですが、もちろん、成犬になってからトレーニングを開始しても遅くはありません。
ただ、すでに牙を剥いて激しく威嚇する癖がついている場合は、ドッグトレーナーなどのプロに相談しながら改善プログラムを進めるのが安心です。
とくに飼い主さんが威嚇する愛レトを見て「怖い」と思っている場合、その緊張感が愛レトに伝わり、愛レトがますます威嚇を強める可能性があります。
すべてのトレーニングに当てはまりますが、まずは飼い主さんが落ち着いて平常心で愛レトとトレーニングを進めるのはとても大切なことです。
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