【取材/レトと登山】松下允彦さん、惇子さん、アマティ(5歳)の場合 ー特集「この夏、レトとこう遊べ!」
運動不足になりがちな夏は、遊び方や場所選びにも工夫が必要。避暑地は、涼しいだけでなく山登りにも最適な立地です。愛レトが運動不足でストレスを溜めないように、避暑地で登山デビューなどいかがでしょうか。
この夏、レトとこう遊べ!
【レトと登山】松下允彦さん、惇子さん、アマティ(5歳)の場合
[登山歴]
松下さん 40年
アマティ 5年2カ月
レトをパートナーに日本各地の山々に登る
週に1回以上のペースで愛犬のアマティと登山を楽しむ松下さん。
アマティは若干5歳にして登山経験は低山を含むと150回以上のベテラン登山犬だ。
もともと山に咲き乱れる“花”を見つけに登山やハイキングに出かけるのが趣味だという松下さんは、先代の黒ラブHanaが生後3カ月の頃から担いで山に入っていたという。
「Hanaを連れていった時に、そんな小さい犬を山に連れていくなんてって獣医さんに怒られちゃったんだけどね。アマティも3カ月から背負籠に入れて山に連れて行きました」と松下さんは笑う。
Hanaは生涯で680回も松下さんと一緒に登山をしたという。おそらくではあるが、日本で一番山行を経験してきた登山犬だろう。
「富士山にも一緒に行きました。登りは調子よかったんだけど、富士山の溶岩で肉球が腫れてしまってもう歩けないって。29キロ近いHanaを背負って降りたこともありましたね」とHanaとのエピソードは尽きない。
Hanaはアマティが生まれた3日後に息を引き取った。
松下さんはHanaの遺骨を、日本各地の大好きな山々に散骨し、毎年各地を訪れHanaに会いに行っている。
この日、アマティと松下さん夫婦が選んだ山は山梨県・河口湖のそばにある黒岳。
この場所は5回目となるアマティは、登山口を見つけると一目散に駆け出して行く。
登山者が少ないルートを選んでいるので、周りを気にすることなく自由に動き回れ、やんちゃ盛りのアマティは本当に楽しそうな様子を見せる。
「アマティに自然の美しさを理解できるかどうかはわかりませんが、私たちが美しいと感動をしていたら、アマティも一緒に何かを感じてくれることがあると信じて、山の景色を共有しています」。
松下さんの次の山行は、北海道だという。
Hana同様、アマティも立派な登山犬としてその経験を積んでいる。
もっと知りたい レトと一緒に登山のあれこれ
Q始めたきっかけは何ですか?
「若い頃から登山が趣味だったので、先代のHanaがやってくるやいなや一緒に登り始めました」と松下さん。
各地の山を登っていた経験があったからこそ、登山者の少ない山や危険のないルートを知っていたという。登山初心者は、まずルートの下見を飼い主だけでして、安全を確認してから犬を連れて行くのがおすすめ。
Q道具は何が必要ですか?
登山をするためには、飼い主も基本的な道具をそろえなくてはならない。登山靴、ザック、雨具の基本3点を押さえておこう。自分の行動食と水分の他に、犬のための食糧と水は必須。
チョコラブのアマティは、その毛の色から森の中にいるとクマに間違われることもあるので、ザックを背負わせて、水1ℓを担いでいる。また、アマティが先に行ってしまった時などの「呼び戻し」のために、ホイッスルを持参。ホイッスルを吹くと、松下さんの元へ戻って来るように訓練してある。
基本的なしつけは、身につけてから入山しよう。
Qレトのトレーニングは必要でしたか?
「リードを放して歩かせる場面もあるので、ある程度のしつけは必要です」。
呼び戻しはもちろん、歩くときに「アトへ」ができることも肝心。そして、リードを繋ぐのを嫌がらないように慣れさせておく。
また、山の中では日本鹿やイノシシなどの動物に出合うこともあるので、追いかけないように制止ができるようにもしておきたい。
Qお金はかかりますか?
愛犬との登山を楽しむためにかかる金額は、飼い主用の登山道具をそろえたら、あとは山へ行くための移動費のみ。
「犬連れの宿もまだまだ少ないし、電車にも乗れないので、車中泊やテント泊をするため犬との山旅はお金をかけずに最高の感動が味わえる遊びですね」。
松下さんの場合はワゴンで移動し、車中泊などを利用して遠方へも出かけている。
Q1回でどれぐらい時間をかけますか?
「今はアマティよりも私たちのほうが長く歩くのは大変なので、登りのコースタイムが2時間ほどの山を選んでいます」。
アマティの体力が余っている時は、斜面で木の枝などを投げて往復させたりと工夫をして身体を動かせるようにしている。夏場は山から下りた後にアマティがクールダウンできるように、川遊びができる場所なども確保している。
Q どの季節でもできますか?
飼い主の登山経験があれば、夏山から冬山まで1年を通して登山を楽しむことができる。
「雪山は登山者も少なくなるし、犬も雪の中で遊ぶのをとても喜んでいます。夏と違い、ノドが乾いたら雪を食べればいいので、持っていく水の量は少なくてすみます」。
初心者は、装備が少ない夏山からチャレンジしたいが、慣れたら雪の中のハイキングも楽しい。
Q気をつけていることはありますか?
人が少ない山やルートを選ぶなど、登山する場所には気をつけたい。
「入山前には飼い主だけでなく、愛犬の排泄も済ませておきます。また、人がいたらリードをつけるなどマナーは守ります。ザックは、クマに間違われないようにという意味もありますが、犬に自分の持ちものを持たせることで、犬嫌いの人にも受け入れてもらいやすくなります」。
Qこれから始める人にアドバイスを
「愛犬を連れていく前に、まずは飼い主だけで同じルートを歩いてみて、犬目線で山登りをしてみるのがおすすめです。鎖場や梯子があるルートだと犬が歩けないため、重いレトリーバーをおぶって進まなければいけないので、なるべく避けます」。
犬が入山禁止の山もあるので、事前のリサーチをしてからどこへ行くかの山の計画を立てたい。
写真=今井卓 文=千葉泰江
Photos:Takashi Imai Text:Yasue Chiba
※この記事は、雑誌『RETRIEVER vol.88(エイ出版)』からの転載です。一部加筆・修正をし、公開しています。
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