2019年8月30日1,989 ビュー View

やっぱりレトは最高の相棒だ 〜ボクがこれまでしてきたこと ー特集「レト愛が止まらない!」シェルパ斉藤

1999年発行の雑誌RETRIEVER4号にてエッセイの執筆から始まり、現在も『日本津々浦々』の連載を続けてもらっているシェルパ斉藤さん。

お馴染みの“犬連れバックパッカー”である彼に、今さら聞けない愛犬達との出会いや旅の軌跡、そして彼ならではの今後の展望などを寄稿してもらいました。最高の相棒、レト愛が止まらない!

やっぱりレトは最高の相棒だ

Family:シェルパ斉藤

Ret     :ニホ(享年9歳)、サンポ(享年13歳)、トッポ(享年12歳)、センポ(3歳)

2010 年10 月にトッポと白馬山麓の『塩の道』を旅した時の一コマ。住民の生活にふれつつも自然が豊かなトレイルを歩く旅が『犬連れバックパッカー』の僕は大好きだ。ちなみに旅先の写真はすべてセルフタイマーで撮影している。ニホもサンポもトッポもセンポも、僕の自撮りにつきあっていいモデル犬になってくれる。それもレトリーバーの才能だと思う。最高の犬種だ、と胸を張って言える

 

息子の一歩に続く家族として

初めての犬旅はニホを大阪から連れて帰る旅だった。ベビーカーに乗せて歩いたり、ヒッチハイクをしたり、電車にも乗車できた

初めて迎えた犬は、メスのゴールデン・レトリーバー。東京から八ヶ岳山麓に移住して半年が経ったクリスマスのシーズンだった。

 

3歳になる息子の一歩へ、サンタクロースからの贈り物である生後6カ月のゴールデン・レトリーバーを大阪で受け取り、一緒に歩いたり、ヒッチハイクをしたりして、4日間かけて八ヶ岳山麓まで連れて帰った。

 

わが家は何かと人の出入りが多い。人に吠えず、誰からも愛される犬種であることが第一条件だったし、野営道具を背負って野山を旅する僕のパートナーにしたかったから、体力もあって人懐っこいレトリーバーにしようと決めていた。

 

息子の一歩に続く家族だからニホと名づけたそのコとともに、僕は各地を旅した。ニホは旅のパートナーとして申し分なかった。

 

日常生活ではしつけらしき訓練を何もしていないが、よその地をともに歩き、ともに寝て、24時間一緒に行動していると心が通じ合う。絆が生まれて、僕の意図を理解する。不平不満を口にせず(しゃべれないからね)、いつも僕を慕ってくれるものだから優しい気持ちになれて心が豊かになる。しかもひとり旅だったら会えないような人たちにも、ニホと一緒に旅しているとふれあえる。

 

旅先で若い女子たちが「カワイイ!」と寄り添ってくるたびに、僕はニホに感謝した。

 

列車やバスに乗せられないから旅先ではヒッチハイクを繰り返したが、ニホ連れのほうがむしろ成功の確率は高かった。乗せてくれた人いわく「あんただけなら乗せないけど、ワンちゃんがかわいそうだから……」とのこと。母性本能をくすぐるからだろうか、女性ドライバーに乗せてもらうケースが多く、僕は『犬連れバックパッカー』としての旅にのめり込んだ。

 

キャンピングカーに乗って家族全員で日本全国を旅してまわった。もちろん犬たちも一緒だ。あのとき旅に出てよかったと思う

 

ニホに続くレトリーバー、黒ラブのサンポはひょんなことから家族に加わった。

 

ラジオ番組の打ち上げで担当ディレクターに誘われて六本木の〇〇パブ(はずかしくて書けない……)へ飲みに行き、その店の若き女性とレトリーバー談義で盛り上がった。彼女は生後6カ月の黒ラブを飼っているそうだが、そのマンションはペット禁止だという。大家さんにバレてしまったので、保健所で処分を考えていると聞き、大反対したら彼女に言われた。「じゃあ、もらって」と。

 

いいのか、それで! と自問したが、群れで行動する狼の血を引く犬は多頭飼いすべきだと考えていた時期だったし、その黒ラブに会ったらとてもいいコで気に入ってしまった。

 

ニホとの相性もいいし、おまけに誕生日が僕と同じ日だったことに運命を感じて、ピンキーという名前だった黒ラブはサンポになって家族の一員に加わった。

『レトリーバー』との出合いとトッポの誕生

わが家は犬が庭で全力疾走できる環境にある。いつも駆け巡っているから、うちのコたちは足腰が丈夫で、ロングトレイルの旅も山歩きもへっちゃらだ。レトリーバーが駆ける姿は美しいとつくづく思う

『レトリーバー』本誌から声がかかったのは、その頃だ。

 

2頭のレトリーバーと暮らし、日本全国をレトリーバーと旅して紀行文を書いている僕は編集部にとって格好な人物だったのだろう。創刊から1年が経った4号にエッセイを書き、6号から1ページの連載を持ち、14号からは現在も続く見開きの連載『日本津々浦々』をスタートさせた。

 

しかし、サンポが加わってから犬連れバックパッキングの旅の回数はそれまでよりも減った。2頭を連れていくことが面倒だったし、ニホもサンポも八ヶ岳山麓で充実した日々を過ごしているものだから、あえて旅に連れていく必要性を以前よりも感じなくなった。

 

変化が起きたのは、トッポが誕生してからだ。

 

サンポがいいコだったものだから、サンポの子が欲しいと各方面からリクエストされ、その気になった。ニホもサンポも生後6カ月で家族になったものだから、わが家で新たな命を誕生させて一生面倒をみたい思いもあった。

 

サッカーの日韓W杯が開催された2002年のクリスマスシーズンに、サンポは子犬を出産した。1頭でもかわいいのに、それが7頭もいるのである。僕は外に出る仕事をあまり引き受けず、子犬たちにつきっきりの満ち足りた日々を楽しんだ。

 

レトリーバー誌の連載には「わが家に舞い降りた天使たち」と臆面もなく記し、親バカ全開の文章を書き続けた。当時のO編集長から「ここのところ、斉藤さんの連載はすごく人気が高いんですよ」と言われ、レトリーバーの読者は僕と同じ感性の持ち主なんだなと、嬉しく思った。

 

毎朝、近所の公園まで散歩を楽しんでいる。猫のポノは犬たちが大好きで、いつも散歩についてくる。雨の日も雪の日も散歩は欠かせない。僕らにとっても、犬たちと猫にとっても

 

ゴールデンのニホ、黒ラブのサンポ、イエローラブのトッポという3頭のレトリーバーたちとの暮らしは2年間続き、ニホが亡くなってからはサンポ、トッポの母娘との暮らしが長く続いた。

 

わが家で生まれ、母親とずっと一緒に暮らしているトッポは、僕らから見たら永遠の子どもだ。体力も図抜けていたトッポを僕はロングトレイルの旅にときどき連れ出した。短期間ではなく、1週間から2週間近くかけてテント泊を続けながら長距離を歩き続ける旅である。

 

ひとりならくじけてしまいそうな道のりも、トッポがいると最後まで楽しく歩ける。地元に整備された200㎞のロングトレイル『八ヶ岳山麓スーパートレイル』がオープンした直後もトッポと歩き切って、僕とトッポは踏破第1号の認定証を授与した。

 

やがてサンポが他界し、トッポとマンツーマンの生活になった。

 

多頭飼いの暮らしが当たり前になっていたので物足りなさと寂しさを感じていたら、レトリーバー以外の犬が加わった。妻の実家で義父が亡くなり、義父がかわいがっていた柴犬のカイくんをうちが引き取ることになったのだ。

 

レトリーバーしか知らなかったわが家にとって、カイくんは新鮮だった。喜び

を露わにしない、撫でられてもあまり尻尾を振らない、他人に懐かない、体が小さい、脱走癖があるなど、戸惑いもあったが、トッポとカイくんの相性は悪くはなかった。

 

犬種が違えど、犬は複数で飼うべきだとあたらめて思った。

 

そして2014年春。黒ラブが家族に加わった。「うちで生まれたコをシェルパ家に託したい」と友人に提案され、好意をありがたく受け入れた。千葉で生まれたコだから、千歩と書いてセンポと名づけた。

サンポが天使のような子犬たちをわが家で出産。ニホが子犬たちを優しく見守る姿に胸が熱くなった。わが家を巣立った子犬たちは毎年里帰りして、兄妹会を現在も開催している

 

これからも旅を続けることを誓う

ニホ、サンポ、トッポの3頭のレトリーバーと暮らす日々は2年間続いた。ひとりで散歩に出かけるとリードが絡んで面倒だった覚えがある。でも充実していた。3頭を連れたバックパッキングの旅はできなかった

歴代のレトリーバーたちは1歳の 誕生日に『元服』と称して僕と旅に出ているが、センポもその伝統を踏襲して元服の旅に出た。

 

小豆島八十八箇所を1週間近くかけて歩いたが、センポはこれまでのレトリーバーたちと同じく、旅先でも愛嬌を振りまき、島の人々に愛された。犬連れバックパッカーにとって、社交性と順応性と体力を併せ持ったレトリーバーは最高の旅のパートナーであることを、センポも証明してくれた。

 

2015年にはわが家で生まれたトッポが亡くなった。

トッポもニホやサンポと同じく、留守がちな僕が家にいるときに、僕の目の前で旅立った。

 

3頭すべてがそうだなんて、偶然とは思えない。レトリーバーは人の心に寄り添う特別な犬だと僕は思い込んでいるし、看取るたびにレトリーバーとの暮らしも、旅も、これで終わりにしてなるものか、と僕は誓いをあらたにするのだ。

 

センポはまだ3歳。体力はあるし、経験も重ねて旅犬として成熟の時を

迎えようとしている。

 

これまでの旅の軌跡だが、最南端が屋久島止まりであることに不満を感じた。

これでは物足りない。戌年でもある来年は沖縄をセンポと旅したいと思う。本島を歩いて縦断したり、離島にも渡るつもりだ。

 

レトリーバーとともに歩む『犬連れバックパッカー』の旅はまだまだ終わりそうにない。

 

 

写真・文=シェルパ斉藤

 

※この記事は、雑誌『RETRIEVER vol.88(エイ出版)』からの転載です。一部加筆・修正をし、公開しています。

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