2020年3月4日5,472 ビュー View

『ゴールデンで3頭目のセラピー犬を育成中!』―るびママ「ゴルの魅力VSラブの引力」

ゴールデンレトリーバーをこよなく愛するMさん夫妻は、ゴールデンで3頭目のセラピードッグを育成中です。Mさん夫妻のゴルライフのヒストリーを追いながら、ゴルの魅力をたっぷり感じてください。

始まりは、10ヵ月間のキラキラと輝く思い出

 半年ほど前、イギリス系のゴールデンレトリーバーの“るび”ちゃんを迎えた、Mさん夫妻。

 

「この子も、先代の“ぱんな”と同じように、セラピードッグにしたいと思っています」と、微笑みます。

クリーム色の毛が美しいEゴルの“るび”ちゃん

 

Mさん夫妻と縁があったゴールデンは、るびちゃんで4頭目です。

 

最初のゴールデンとの出会いは、ひょんなことから訪れました。

 

「飼い主さんが末期がんで、引き取り手を探していたゴールデンがいたんです。

 

夫の父が名乗りを挙げて、新しいオーナーになりました。

 

愛犬ミルクの未来に希望が持てて安心したのか、オーナーさんは義父がミルクを引き取ってから3日後に永眠されました」

 

るびママは、自動車で20分位の距離にある夫の実家に、ミルクちゃんの散歩をしによく通ったと言います。

 

みんなを笑顔にしていたという、ミルクちゃん。

 

ところが、膵臓がんが見つかり、手術で切除したもののミルクちゃんは5歳10ヵ月で旅立ってしまったそうです。

 

「たった10ヵ月しか、みんなと一緒にいられませんでした。義父はミルクを失い、完全なるペットロスに陥ってしまったんです」と、るびママは当時を振り返ります。

子犬期に、目指せ200人! セラピー犬デビューの前に、人に慣れるレッスンも順調のるびちゃん

 

頑固者のゴールデンの飼育ボランティアに

 Mさん夫妻は、落ち込む両親のためになにかできないかと策を練っていたとか。

 

「そんな時、たまたまテレビで介助犬のパピーホームを募集していることを知ったんです。子犬のうちだけ一緒に過ごして送り出すならば、義父のリハビリになるのではないかと思いましたね」

 

こうして、2001年12月31日生まれのきなこちゃんが、生後6ヵ月でやってきました。

 

「頑固な性格で、イタズラ好き。そこがたまらなく愛らしくて、義父の顔にも笑顔が戻りました。1歳を過ぎて『がんばってくるんだぞ!』と、介助犬の訓練施設に送り出しましたが、あちらでもカーテンをビリビリにして“カーテンのきなこ”というあだ名がつくほど、元気すぎたみたいですね(笑)」。

陽気な性格のきなこちゃん

 

施設に戻ったきなこちゃんは、団体の介助犬1号になった姉妹とは違い、最終試験で落第してしまったそうです。

 

「今よりも試験の基準がずっと厳しかったのもあるんですけどね。でも、おかげできなこは、1歳3ヵ月で出戻ってきて、晴れて夫の実家の愛犬になったんですよ」とのこと。

 

ところが、その数ヵ月後に義父が脳腫瘍で急逝。

 

義母ひとりでは、ゴールデンは大きすぎて飼えないということで、Mさん夫妻がきなこちゃんを引き取ったそうです。

きなこちゃん(右)と妹分のぱんなちゃん

 

セラピードッグとして活躍

 るびママは、一緒にイベントに出かけたり、きなこちゃんとの暮らしを心から楽しんだと言います。たくさんの犬仲間もできました。

 

すると、犬友がきっかけで、きなこちゃんは高齢者施設などを訪れる、いわゆるセラピードッグとしてデビューすることになったそうです。

 

「きなこは、人と関わることが大好き。そのきなこの特性を活かして、人の役に立てればうれしいなぁ~と、ずっと願っていたんですよ」と、るびママ。

 

8歳からスタートした、JAHA(公益社団法人 日本動物病院協会)の“人と動物のふれあい活動(CAPP コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム)”では、きなこちゃんは持ち前の明るさとやさしさで、多くの入所者の方を笑顔にしたそうです。

「今日も充実して楽しいふれあい活動だったなぁ~」byきなこちゃん

 

「私は日常的に、きなこの姿が見えなくなるとすごく不安になりました。

 

なんというか、“逆・分離不安症”みたいな感じですかね(笑)?

きなこを失ったら自分でもどうなるかと不安でした。

 

そこで、きなこが10歳になる前に、妹分を迎えようと思ったんです」。(るびママ)

 

保護犬のゴールデンを探しましたが、なかなか縁がつながりませんでした。

 

そこで、初心に戻ってブリーダーのもとにいるゴールデンを探し始めたところ、きなこちゃんにそっくりな母犬のもとで生まれた英国ゴールデンの子犬にめぐりあったそうです。

 

それが、ぱんなちゃん。もちろん、きなこ姉さんのあとについて、セラピー(アクティビティー)活動も1歳頃からスタートしました。

CAPP活動の場で。ぱんなちゃんも、ふれあい活動が大好き

 

英ゴルは穏やかでやさしい

 ぱんなちゃんとの生活をとおして、るびママは英ゴルの魅力にどっぷりとハマったそうです。

 

「アメリカ系のゴールデンよりも、イングリッシュゴールデンのほうが性格が穏やかですね。英ゴルのほうが、落ち着いているとも思います」と、るびママ。

 

ぱんなちゃんはとてもやさしい性格で、天性のセラピードッグであったとか。

 

「一緒にいるだけで、心癒してもらえる。そんな子でした。

 

ところが、8歳の時、胃捻転になってあっという間に旅立ってしまったんです。

 

胃捻転にはとても注意していて、食後の数時間は運動させないといった予防策は万全だったと思うんですけどね……」。

ぱんなちゃんと、日本スピッツのにっきちゃん

 

急に愛犬を失って落ち込んでいたMさん夫妻でしたが、もう1頭の愛犬の日本スピッツのにっきちゃんが独り寂しそうにしている様子だったこともあり、ぱんなちゃんと同じ英ゴルを迎えることにしたそうです。

 

「こうして家族の仲間入りをしたのが、るび。ブリーダーさんのところで、生まれる前から予約をしていました。

 

YouTubeの実況でお母さん犬の様子を見たりして、出産間際になると私たちまでドキドキしましたよー(笑)。

 

出産は、合計で14時間半かかったそうです」。

るびちゃんも、ぱんなちゃんと同じ英ゴル

 

9頭生まれた子犬のうち、Mさん夫妻が希望していたメスは3頭。実際にブリーダーさん宅で子犬たちを見た時、るびママは一番気になった子犬を選んだそうです。

 

「その子犬は、母犬のおっぱいを他の子犬に取られてもめげない。

 

でも、毎回、狙った乳首は結局くわえられなくて、放っておけない感じがしました。

 

るびは、いつもポジティブでいて争わない。そんなところが気に入りました」。

 

Mさん夫妻とるびちゃんの生活は、まだ始まったばかり。これから、ぱんなちゃんやきなこちゃんに負けず劣らずの名セラピー犬として、るびちゃんも多くの人を笑顔にしていくに違いありません。

 

 

執筆者:臼井京音

ドッグライター・写真家として約20年間、世界の犬事情を取材。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、家庭犬のしつけインストラクターや犬の幼稚園UrbanPaws(2017年閉園)の園長としても活動。犬専門誌をはじめ新聞連載や週刊誌などでの執筆多数。

 

 

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