【取材】「Happyの連鎖」を目指して。ペット業界を変えていく若き起業家の想いとは
東京都が主宰する『TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)』というビジネスコンテストで2018年最優秀賞に輝いたのは東京大学獣医学部に所属する、学生起業家の遠藤玲希央(エンドウレキオ)さん。開発した「ペットサービス探しのコミュニティアプリ『parnovi(ぱるのび)』」にはどんな想いと可能性が秘められているのでしょうか。
目次
応募総数は約1,300件。その中から最優秀賞に選ばれた「parnovi」はどんなアプリなのか
『Parnovi』をインストールすると、アプリ内にマイページを作成することができるようになり、愛犬の名前や犬種、自己紹介などの登録が可能となります。
そしてそこに「自分(愛犬)のお気に入り」を写真入りで投稿していくというのが投稿の基本的な流れです。
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<ペットサービス探しのコミュニティアプリ『parnovi』>
parnovi(ぱるのび)は「信頼できる飼い主仲間の写真投稿から"うちの子"に合うドッグフードやお出かけ先を探せる新しいSNS」です。(公式サイトより)
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しかしすでに写真投稿サイトやSNSはたくさんあります。
Parnoviが他と違うのはどのような点なのでしょうか。
「parnoviのマイページには実際に行った場所や使ったものだけが出てくるので、そのページを見ると“自分は愛犬のためにこんなこともあんなこともしている!”と思えます。いい飼い主感”も出てきます。」。
現在投稿できるカテゴリーは「フード・おやつ」「日用品・おもちゃ」「お出かけ先」。
その投稿は他のparnoviメンバー(アプリ利用者)も閲覧することができるため、「良いもの(情報)」をみんなにシェアできます。
「誰でもうちの子の良い飼い主でありたいと思っていると思うのです。ですから使っているうちにそのような気持ちになれるのがいいかな、と。
ポートフォリオ的な使い方も可能ですから他の人がパッと見た時に“どんな飼い主か”というのもわかります」。
どんな飼い主かということがわかれば、自分と価値観が似ている人を見つけることができ、買い物や行く場所の参考になるでしょう。
犬種別に検索することも出来るので、レトリーバーの飼い主さんをまとめて探すことも可能です。
「暮らし方も垣間見ることができるので、新しく犬を迎えようとした時に“この犬種の飼い主さんにはどういう人が多そうか”というリサーチにも役立つのではないかと思っています」。
<参考>
「TOKYO STARTUP GATEWAY (TSG)」は、テクノロジーから、モノづくり、ソーシャルイノベーション、リアルビジネス、グローバルを見据えた起業など、分野を越えて、「東京」から世界を変える若き起業家を輩出するスタートアップコンテストです。(公式サイトより)
『獣医学部』を選んだのは動物に携わる仕事をしたかったから

愛犬の英国ゴールデンあもるくんと(提供画像)
東京大学農学部獣医学課程に在学中の遠藤さん。「獣医学部」を選んだ理由を教えていただきました。
「高校2年生の時にちょっと進路に悩んだことがありました。建築か動物か、と。勉強は得意で物理やデザインもそうだったのですが、得意なことより好きなことを選びたいと思って動物の道を選びました」。
動物に携わる仕事は他にもいくつかありそうですが、その中で獣医というのを選んだのには理由があります。
「獣医学部に入ったのは獣医師という職業に就きたいというより、動物に携わる仕事をしていく上で獣医師免許というのは価値があると思ったからです。もちろん臨床の獣医師としての道も考えないわけではないですし、大学では研究室が獣医の内科ですからまだまだその道の可能性もあります」。
頑張っている人が認められないのはなぜ? そんな疑問が起業へと繋がった

大切な家族(提供画像)
遠藤さんは動物に携わっていくということだけでなく「頑張っている人が認められる社会にしたい」という想いも強く持っています。
「小さい頃から馬鹿正直で、理不尽なことが嫌いでした。これは今でも心に残っていることなのですが、小学生の時すごく頑張って練習したソーラン節の踊りを先生から“一人だけ目立つのは困る”と言われたのです。これは本当に納得できませんでした。頑張った人がどうして評価されないのだろうと」。
その「頑張った人が正当に評価される」ということへの想いは会社紹介の文章にも表れています。
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『parnoviは、良い商品・良い店舗・良い飼い主がより多くの人に届くことで、人々に応援される”良い”もの・倫理的な配慮があるものが経済的・社会的にもメリットを得られるような社会を目指し、「頑張っている”いのち”が報われる社会を創る」をビジョンに掲げて事業を行っています。(公式サイトより)』
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「日頃からいい活動をしている人、と言うのが社会的に評価される社会がいいですよね」。
ゴールデンレトリーバー、あもるくんとの暮らしについて
遠藤さんの愛犬は10歳のゴールデンレトリーバー「あもる」くん。
(アモル=アモール(スペイン語)=愛)

あもるくんは大人しくて紳士的(提供画像)
「転勤が多い家庭環境だったのですが、ようやく飼えることになって迎えたのがあもるです。小学生くらいの時から大型犬に憧れがあって、その中でもゴールデンはちょっと鈍臭くて、誰にでも愛想を振りまいていて、もふもふで。そういうところがいいなぁと」。
念願のゴールデンレトリーバー、あもるくんはどんな子なのでしょうか。
「すごく大人しくて全く吠えたりしないし、パピーの頃からブリーダーさんのところでトレーニングをしてもらっていたこともあって、困らせられたことがなんです。本当にいい子で、ハプニング的なことが全然ないんです」。
何かしら武勇伝的なものがあるかと思いましたが、全くなし。
読者の皆様の中には「えーーー? そんなことあるの?」って思った方もいるかもしれませんが、本当にそのようです(笑)。
そして遠藤さんとあもるくんは兄弟のような関係なのだとか。

兄弟というのがよくわかる写真。笑顔も似ている(提供画像)
「僕はひとりっ子なのですが、あもるとは本当に兄弟みたいな感じです。両親がちょっと喧嘩したりしたときにはふたりで逃げる、とか(笑)。犬というより弟がいるという感覚です。ちょっとしんどいとかやる気がないという時はリビングであもると寝ているだけで気持ちが落ち着きます。心の支えです」。
4月生まれと5月生まれなので今年も合同誕生会をしたそう。まさに兄弟ですね。
こんなエピソードもありました。
ご両親がお仕事の事情などで3週間ほど不在となった時のことです。
「大学から急いで戻っても10時間くらいのお留守番になりました。あもるは元々少し皮膚が弱かったのに加えてそのストレスで膿皮症がひどくなってしまい、そのケアがすごく大変でした。もちろんあもるも大変だったと思います。でも“ふたりでがんばろうね!”と言いながら過ごしたのは思い出深い出来事です」。
今の社会を徐々に軌道修正していく。「いいなと思っていたらいつの間にかここにいた」というのがいい
自然体、という言葉がとても似合う遠藤さん。
しかし目指しているものは明確で、株式会社parnoviにうたわれているこの2つからは「社会を変えたい」という強い想いが伺えます。
・ビジョン
頑張っている"いのち"が報われる社会を創る
・ミッション
ビジネスと倫理が両立する社会システムを作る

parnoviのwebサイトのTopにもあもるくんの写真が使われている(提供画像)
「アプリを通して倫理観を持ってやっている事業や、リテラシーを持っている飼い主さんが経済なメリット・社会的なメリットを受けられる仕組みを一つの手段として考えています。飼い主のリテラシーを上げる、こういう時にはこうしたらいいよ、ということが他の飼い主を見ていたら覚えられる、というのがいいなと。啓蒙と言うことではなくて」。
遠藤さんとお話をしていてたくさん出てきた単語があります。
それは、『Happy』。
「“Happyの連鎖”。あの子のHappy、その子のHappy。そういうものを真似したらうちの子もHappyになるかもしれないし違うかもしれない。でもそのHappyをたくさん知ることでどうしたらHappyになるのかな? という思考回数が増える。均一化ではなくて多様化の可視化です。いろんな形のHappyを始められる場所がparnoviです」。
強引に「これが正しいからこの道を行きなさい!」というのではなく、自分たちで幸せになれる道を選んでいく。
そうしてHappyが連鎖して結果的には「良いものが正しく評価される社会」が構築されていく。
まだまだ会社もアプリも、そして遠藤さん自身も進化していくはず。
これからがとても楽しみです!
<プロフィール>
遠藤玲希央(えんどうれきお)
株式会社 parnovi代表取締役 東京⼤学農学部獣医学課程在学
1995 年⽣まれ。⽗親の仕事の影響で沖縄で⽣まれ、幼少期を南⽶ウルグアイ、中⽶パナマで過ごす。
⽣まれて初めて話した⾔葉は、パパでもママでもなく「うま」だったくらい⽣まれた時から動物が⼤好き。
大学で獣医学を学びつつ、獣医療以外の切り口からもペット社会に貢献しようと在学中に起業。
愛犬は英国ゴールデンの「あもる」。
<株式会社parnovi>
【Tel】 080-6787-4489
【Mail】team.parnovi@gmail.com
【Address】〒150-6027 東京都渋谷区恵比寿4-20-3恵比寿ガーデンプレイスタワー27F COEBI内
【HP】https://parnovi-work.studio.design/
執筆者:Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
撮影・執筆の他、写真のレッスンも行う。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは15歳2か月で虹の橋へ。 現在の愛犬はトイプードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。
子供の頃からの夢は「ドリトル先生になること」
Facebook:Roco ~LoveLetters~ 写真と言う名のラブレター
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