【取材】 山へ湖へアクティブ散歩を楽しむ16歳!突然立った死の淵から救ったのはセカンドオピニオン #3うらら
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリーバーたち。そこで10歳を過ぎたレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリーバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリーバーの肖像』です。
今回お話を伺ったのは、なんと今日で16歳になるゴールデンのうららちゃん。6年前に娘であり相棒のゴル、わさびちゃんを見送って以降、自らも病気と闘いながらジャックラッセルテリアの弟と一緒に日々を歩む姿をご紹介します。
目次
うららちゃんのプロフィール
年齢&性別
16歳の女の子(5/28生まれで今日がお誕生日!)
体重
22kg(若い頃は27kg)
大好きなこと
琵琶湖でのスイミングや車でのお出かけ。食べること。
既往歴
・13才のとき前庭疾患を発症。その後半年に1回程度症状が出るもその都度ステロイドを用いた治療を実施。現在は症状が落ち着いている。
・昨年リンパ腫と急性膵炎を患い、現在はQOLを維持できる治療を継続中。
その名の通りうららかな性格のレジェンド
元々犬が大好きで、小さい頃にゴールデンレトリーバーに触れ合ったことがきっかけでゴルの魅力に目覚めたというママさん。
自分で飼うならと選んだのはやっぱりゴルで、それがうららちゃんでした。
その後飼育放棄されていたゴールデンのぶるちゃんを迎え、続いてうららちゃんが出産したわさびちゃんが家族に仲間入りして大家族に。
ぶるちゃんとわさびちゃんが旅立ってからは、ジャックラッセルテリアのいよくんと暮らしています。
「私自身、ぶるもわさびも腫瘍で亡くし、ゴルは腫瘍の病気が多いことを実感したこともあってジャックラッセルを迎えたのですが、いよを迎えた時、うららはもうシニアでした。
なのに運動量の多いジャックラッセルとの暮らしにもすぐに馴染み、それまで寝ていることが多かったうららが、いよにせがまれて遊ぶようになったんです。
わさびを見送った後、あまり変化はないように見えてやはり寂しかったのかな。
もともとうららは他の犬にあまり興味がないタイプですが、唯一自分の娘であるわさびとは常に一緒でしたので。
うららにとって活発な犬種と暮らすのは良い刺激になったと思います。
迎えた当初は、普段絶対家でうんちをしないうららが、いよのケージにうんちをしたりもしていましたね(笑)」
そんなふたりも、今はお互いマイペースに暮らしているそうです。
13歳を境に様々な病気を発症
ママさんの愛に包まれ特に大きな病気もなくシニア年齢を迎えて数年、うららちゃんを突然の異変が襲います。
「13歳の時、うららが突然倒れて立ち上がれなくなりました。
すぐに前庭疾患を疑い病院へ。やはり予想は当たっていました。
前庭疾患はその後も起こり、今まで4回ほど症状が出ています。
その都度ステロイドでの治療で症状は落ち着いています。
ただ昨年の11月下旬、いつも食欲満点の彼女が急にご飯を食べなくなって...。
X線や超音波、細胞診など様々な検査をし、リンパ腫の可能性が大きいと言われました」
その時点でできる範囲の治療をしたものの、一時は意識がなくなり、獣医師に「明日まで持たないかも」と宣告されたそう。
しかしその後奇跡的に回復。一緒に雪山へ行けるまでに調子が戻ったこともあったのですが、再び体調が悪化。
「それで思い切ってセカンドオピニオンを求めようと、大阪にある腫瘍認定医1種の資格を持っている獣医師を訪ねたんです。
その結果、急性膵炎だと判明。
今までやってきた治療はなんだったのか、誤った診断で進めた治療でうららに負担をかけていたのではないかと申し訳なくて。
この時ほどセカンドオピニオンの重要性を感じた事はありません」
どんなに信頼しているかかりつけ医がいたとしても、一度はセカンドオピニオンを考えてみることが大切、ということを教えてくれるエピソードですね。
手強い病に負ける事なく2度目の復活!
急性膵炎とともに小〜中悪性度のリンパ腫も発見。
急激に貧血が進み、一時は死を覚悟したこともあったといううららちゃん。しかし奇跡的な復活を遂げます。
「ある日の夜、かなり具合が悪そうだったので夜間救急に連れて行ったんです。
そのとき、貧血がひどいことで先生が腫瘍の可能性を疑って、リンパ腫が判明しました」
その時は造血剤を打ち入院。
この時期は食欲も落ちて強制給餌をしていたこともあり、「私自身これでお別れなのかと不安で一杯でした」と弱気になっていたママさん。
しかしSNSで繋がっているお友達が応援してくれたことで、前を向けたのだそう。
その後はなんと、自らご飯を食べるまでに回復!
「リンパ腫に関しては年齢的にも積極的な治療はできませんが、QOLを維持できるようガンの栄養をブロックするエルアスパラギナーゼを2週間に1度投与しています」
その後めきめきと回復し、大好きなお出かけにも再び行けるようになりました。
「当初はヨタヨタ歩いていましたが、食欲が戻るにつれ再び元気を取り戻し始めました。
自分からご飯をパクパク食べる姿を見て、食べることって当たり前じゃなくこんなに嬉しいことなんだと感激しましたね。
その頃部屋に吸着マットを敷いて歩きやすくしたり、リハビリを兼ね意識的に歩かせるなど様々な工夫を始めました。
また、寝る時間が増えてきたので負担が少ない高反発ベッドに変えたりもしています。
最近は本当に元気になってくれて、ドッグランやお出かけも楽しめるまでになったんです」
そんなうららちゃんの楽しみは、ママさんが休みのたびに連れて行ってくれるお出かけだそう。
「普段のお散歩は10歳頃からあまり行かなくなりました。
普通に歩くだけがつまらない様子で。
なので今はうららの意思に任せ、歩きたい時に歩かせ、へたり込んだらカートに乗せてのお出かけが定番です。
あと週に2回私が休みの日は、冬は雪山、夏は琵琶湖、それ以外の季節はドッグランへと出かけます。
この週2のお出かけで体力を維持しているのかも(笑)。
今でも琵琶湖へ行くと2〜3時間休憩なしで泳ぐし、仲間と行った時は朝から夕方まで思い切り泳いでいます。
きっと自分の好きな運動を好きなだけするというのが彼女にとって快適なのでしょうね」
今までもこれからも、たくさんの思い出を更新中。
今年に入り本格的にオムツデビューをし、歩行補助ハーネスなどの介護グッズを駆使するうららちゃん。
まだまだママさんと楽しむ毎日を送っています。
「ハイシニアになってからは、ゴル仲間に教えてもらいながら介護グッズなどを試しています。
食事面でも、シニア期以降は犬用の酵素を加えたり関節サポートのサプリを飲ませるなど、思えば前庭疾患になってから色々とシニア仕様にシフトしました。
14歳を過ぎてからは耳も遠くなり、意思疎通のジェスチャーを取り入れるように。
そして目を見ることで、体調や気分を察するようにしています」
若い頃は日に2食だったうららちゃんですが、今では朝は食欲がないため、残った分をお昼に回し1日3食にしているそうです。
ごはんタイムは、その日の体調を把握するための大事な指針に。
食欲がどれくらいあるかを確認すること以外にも、体に触れ嫌がる場所がないか、出来物ができていないか、呼吸はどうかといったチェックをルーティーンにしているそうです。
「オーナーが小さな変化を見逃さないようにすることが、長生きの最大の秘訣だと思うんです」
これからも瞳がキラキラ輝くようなおでかけを
最後に、うららちゃんとこれからしたいことを伺いました。
「私も出かけるのが好きなので、これからも一緒に出かけたいです。
お出かけはうららにとって良い刺激になるし、好きなことをしていると目の輝きが違う。
だから動けるうちはお出かけし続けますよ。
今の目標は高知県へのキャンプ旅行。
実は去年から計画していたのですがうららの体調が悪くなったため断念したので、今年は再チャレンジしたいですね」
瀕死の状態に陥っては、その度に奇跡的復活をとげたうららちゃん。もしかしたらスーパーガールなのかもしれませんね。
でもその影にはママさんの努力や工夫がたくさんあり、病との向き合い方や付き合い方にも学ぶ点がたくさん。
ともにお出かけが好きという共通点を最大に活かしながら日々を生きる姿には本当に憧れます。
取材・文/横田愛子
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