【取材】1日の始まりは温めたヤギミルク200ccから。15歳のノア、そのルーティーンには長寿のヒントがたくさん #5ノア
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリーバーたち。しかしそんな平均を物ともせず、年齢を重ねても元気なレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリーバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリーバーの肖像』です。
今回お話を伺ったのは白い被毛が持ち味の英国ゴールデンレトリーバー、15歳(取材時)のノアくん。おっとりと気質のお利口さんは歳を重ね足腰が弱ってきたものの、今も自ら散歩に行き若い頃と変わらぬ日々を過ごしています。
目次
ノアくんのプロフィール
年齢&性別
15歳の男の子(2006年4月7日生まれ)
体重
28kg(一番多い時は39kg)
大好きなこと
おやつと朝晩の散歩、散歩中のおやつタイム
既往歴
・6ヶ月のとき去勢手術。
・11歳で胃捻転になり、胃を固定する手術を受ける。同年から皮膚アレルギーの症状があらわれたため食事内容を改善。
・今年の夏頃に甲状腺機能低下症と診断。7月に褥瘡(床ずれ)が原因で感染症に。10日ほど寝込むも無事回復。
先住犬ラブと育ったお姉ちゃんっ子
オーナーの岩井さんご家族がレトを迎えるのはノアくんが3頭目。
最初は25年前に初めて迎えたゴールデンのサンディちゃん、その妹としてチョコラブのグレイスちゃんを迎え、サンディちゃんが虹の橋を渡ったことでノアくんがやって来たそう。
しっかり者のグレイスちゃんにべったりで育ったというノアくんは、おっとりのんびりのマイペースな性格。
「穏やかだったグレイスから学んだのか、しつけらしいしつけをした記憶もないのに利口に育ってくれました」(岩井さん=以下「」内同)。
しかしノアくんが大好きだったグレイスちゃんもノアくんが11歳の時に旅立ち、半年間もの間体調を崩すほどに落ち込んだのだとか。
「グレイスがいなくなり、私たち飼い主もノアも心身ともに落ち込んでいた時に、保護犬のサイトでポインターのエマに出会いました。すでにシニアになっていたノアのことも考え正直迷いもありましたが、エマを迎えました。
エマは9歳でノアと暮らし始めましたが、ヤンチャなエマの登場でのんびり屋のノアに変化が。
エマの一挙手一投足にびっくし、当初迷惑そうにしていたノアも徐々にエマを受け入れ、同時にエマのように自分の意思を表現するようになりました。
エマが来た時にはすでにシニアだったノアですが、彼女の登場で少し若返ったような気がするんです」。
落ち込んでいたノアちゃんの気をお転婆のエマちゃんが紛らわし、いい意味で刺激になったんですね。
胃捻転やアレルギーで食事改善に着手
心の元気を取り戻したノアくんですが、大型犬がかかりやすい胃捻転を経験しています。
「2016年に腸にガスが溜まるといった兆候があり注意してはいましたが、翌年胃捻転になり、胃を固定する手術をしました。
それ以降は食事は必ず散歩の後にしています」
同時期に皮膚アレルギーの症状が出たので、食事も見直しました。
以前は自家製のジャーキーをあげていましたが、牛肉と鶏肉をやめ、現在は魚中心に。
「サーモンを使った『ブリスミックス』というドライフードに、新鮮な魚や煮野菜をトッピングしています。
トッピングの魚は基本的に生で、小魚の場合はカルシウムがとれるよう骨ごとあげていますね。
また、2年前からプロバイオCAプラスという腸内環境を整えるサプリも飲ませています」。
食事の内容だけでなく、足腰に負担がかからないよう与える量にも気を配り、若いときはMAX39kgあった体重も28kgまで少しずつ時間をかけて絞ったそう。
健康管理への意識の高さが、ノアくんの長寿を支えているんですね。
1日のタイムスケジュールにもヒントがいっぱい
今のノアくんの1日を伺ってみると、そこには多くの工夫が。
「1日のスケジュールは若い時とほぼ同じ。朝6時起床、ヤギミルクを飲んでから散歩に出かけ、30〜45分ほどゆっくり歩きます」。
ヤギミルクはシニアになってから始めた習慣だそう。
「散歩中にぐったりしたことがあり、寝起きだと水分不足なのかもと思ったんです。
それ以来、温めたヤギミルク200ccを飲むのが日課です。
散歩はノアが行きたい方に行くスタイルなので、コースはノア任せ。その日のコース選びや歩く距離、歩き方で体調を確認しているんです」。
家族みんなで仲良く時間を過ごすことが大好きで、散歩に行くときは今でも、リードをつけたあとに家にいる家族全員の元をまわって散歩に誘うんだとか。
「その健気な姿に折れ、家族が集まった休日などは犬の数より一緒に歩く人間の数が多い散歩もしばしばあります(笑)」。
また、ご近所の犬友さんやそのママに会うことも、毎日散歩に行くモチベーションになっています。
中でも大親友のゴールデンレトリーバーのレイちゃんは、今から4年前に亡くなったそうですが、毎回散歩ではレイちゃんの家に行きたがり、レイちゃんママが家から出てくるまで動かないそう。
帰宅して朝食を食べたら昼寝。最近は寝る時間が増えたものの、昼時には人間のテーブルの下にスタンバイし、お芋などのおやつをもらっているそう。
「最近まではアレルギーのこともあり食に神経質になっていたけれど、犬にとって食は楽しみのひとつ。15歳と残り少ない犬生を考え、最近は色々食べさせるようになりました」。
そして夕方の散歩を30〜1時間ほどしたら晩ご飯を食べ、9時頃になると就寝。時間になると自分でベッドに行くそうです。
床ずれが原因で発熱、一時は歩けないほどに
年齢と共に寝ている時間が増えたノアくん。それだけでなくさまざまな不調が襲います。
「足腰の弱りやパンティングが顕著になったので病院へ行くと、甲状腺機能が低下していると診断されました。なので2ヶ月前から薬を飲んでいます。
また、7月には床ずれができ、その傷が炎症を起こし高熱が出て10日ほど寝こみました。
暑くなって玄関のたたきで寝ることが増えたせいなのか、痩せて骨が浮いた部分と硬い床が擦れたことが原因です。
当初はフードも食べず、一時は立てなくなって焦りましたが、抗生剤が効いて無事回復しました」。
岩井さんは昔からベッドにこだわりがあり、「これが良い」と聞くとすぐに試すんだそう。その結果、自宅には6つのペット用ベッドが。
「床ずれができる前は、6つの中からその日の気分で好きなものに寝るという感じでした。
しかし今は床ずれケアとして、就寝時も3時間毎に体位を変えながら、人間用のマットレスパッド『エアウィーブ』で一緒に寝ています」。
家の中は10歳以降からシニア仕様
今は再び大好きな散歩を楽しむノアくん。散歩は足腰を鍛える大切な習慣でもあります。
「13歳頃から脚の可動域が狭くなってきたように感じ、立ち上がる時にお尻を支え始めたのが半年前からでしょうか。
しかし今でもトイレは散歩中か自分で庭へ行ってしています。
こんなふうに再び立つことができたのは、天候に関わらず毎日行く散歩で鍛えた筋肉のおかげだと思っています」。
また、立ってご飯を食べられる時は立たせて食べさせるなど、できることは自力でやらせることも意識しているそう。
「それと、我が家は夫婦と娘3人なのですが、みんなが常に全力でノアの健康を考えていて、良さそうな情報があればすぐに共有、生活に反映しています」。
取材は兵庫県でノアくんと暮らすお母様と末のお嬢さん、東京で暮らす次女さんとをリモートで繋いで行なったのですが、本当にご家族みんながノアくんのことを考えているのが伝わってきました。
いつかノアくんが歩けなくなっても、家族全員で何かしらの方法を考え、散歩など今まで好きだったことを1日でも長く続けられるようにすることが家族全員の願いなのだそう。
このような、家族みんなからの深い愛こそが、ノアくんの長寿の秘訣なんでしょうね。
取材・文/横田愛子
★「#レジェンドレト」で投稿お待ちしています!
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12歳を超えたレトたちは、「#レジェンドレト」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
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