【取材】13歳を過ぎてもスキーの伴走が出来る幸せ。やりたいことを諦めないシニア犬との暮らし方 #19Koa
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリバーたち。しかしそんな平均を物ともせず、年齢を重ねても元気なレトリバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリバーの肖像』です。今回登場するのは、とってもアクティブな13歳のKoaちゃん。泳ぎも雪遊びも大好きなKoaちゃんの健康維持の秘訣とライフスタイルをオーナーの宮さんにお伺いしました。
目次
Koa(コア)ちゃんプロフィール
年齢&性別
13歳の女の子(2009年8月20日生まれ)
体重
21kg
性格
天真爛漫のへこたれ知らず
既往症
変形性脊椎症
初めての犬選び、調べまくって出会ったチョコレート色のラブラドール
今回お話をお伺いしたのは東京都中央区、都会のど真ん中でチョコラブのKoaちゃんと暮らしている宮さん。
都会っ子のKoaちゃんはカフェが大好きだそうですが、ラブラドールらしく運動神経抜群で自然の中も大好き。
シニアになってからも川遊びや雪遊びを楽しむ元気ガールです。
宮さんもKoaちゃんのため、積極的にアクティブな遊びをしています。
都会と自然、どちらも楽しんでいるKoaちゃんと宮さんはどのように出会ったのでしょうか。
「娘が犬を欲しいと言ったのが始まりで、そこから素人が扱いやすい犬種は何かなど、ブログを読み漁って調べました。
その結果ラブラドールに行き着いたのです」。
実は娘さんは他犬種を希望していたそうですが、その犬種の運動量がかなり多いと知り断念。
色々と調べた結果ラブラドールにしようと決め、色は黒かチョコレートにしようと思っていました。
でも特に色にこだわりが強かったわけではなく、とにかく性格を重要視していたとのこと。
「ブリーダーさんには誰とでも仲良くなれるという意味で“八方美人な子がいい”と伝えていました。
実際のKoaは八方美人というタイプではなくそれなりに好みはあるようですが、基本的に人にも犬にもフレンドリーに接することができます」。
ラブラドールらしく穏やかで明るい性格のKoaちゃん。
それは宮さんの希望通りだったのですが、若い頃のやんちゃさもラブラドールらしかったそうです。
「今だから笑えますが、当時はノイローゼになるかと思うくらい大変でした」。
元気娘もシニアになったのだ、と感じた時のこと
レトリーバーはいくつになってもパピーのような純粋さと無邪気さを持ち続けているのが魅力。
だからつい年齢のことを忘れてしまいそうになるのですが、どんなに元気でやんちゃだった子でもやはり歳は取るもの。
少しずつ「あれ?」と思うような小さな出来事が増えてきて、シニア期の訪れを感じる時が来るのですが、Koaちゃんの場合はどうだったのでしょう。
「シニアになったなと感じ始めたのは9歳頃でしょうか。7歳〜8歳頃は心身ともに充実していて完璧な状態だったと言えると思います」。
7歳でシニアと言われることが多い犬の世界ですが、その頃は全くそんなことを感じることがなかったそうです。
スキーが得意な宮さんは冬にはKoaちゃんを並走させてゲレンデを滑走することがあるのですが、8歳でもノンストップで何本でも滑ることができたというのですから驚きです。
そんなKoaちゃんに目に見える変化が訪れたのは2018年9月のこと。
9歳になってすぐ、夏に恒例の川遊びの時でした。
「Koaは川遊びが大好きで泳ぐのが得意。
きつい流れでも逆流に負けず泳いでおもちゃを拾うことができましたし、一緒に行った友達がびっくりするほど何度も泳ぐ体力がありました。
でもある時、いつものようにたくさん泳いだ後、歩きが少しおかしくなったのです」。
それまではどれだけ泳いでいても体調を崩すなどの問題がなかったので、途中で辞めさせるなどのコントロールはせず飽きるまで遊ばせていました。
けれどこの時は川から上がった後、明らかに後ろ足の動きに違和感が見て取れたのです。
今までになかった現象を経験して、シニアであることを意識し始めた宮さんでした。
意識し始めたら色々な変化に気がつくようになった
後ろ足の異変は疲れが取れると元に戻りましたが、その少し前に遡って体調の変化を考えてみるとシニア期として思い当たることがありました。
「考えてみたら初めての失禁もその頃でした。
ただそれは単なる体調の変化くらいに思っていたのです。
6月に膀胱炎になっていたので単にその影響かなと。
でも続けて2〜3回膀胱炎になっていましたからそれって結局はシニアになって体力や免疫力が落ちたってことだったのですよね」。
足のことが気になって病院に行った結果、10月には変形性脊椎症の診断を受け、そこからはますますシニア犬としての心身の変化に着目するようになりました。
「同じ頃から段差の時に躊躇するようになったので、それもシニアを意識するきっかけのひとつになりました。
その後、車の乗り降りに関しても少しずつ気にするようになって、今は飛び乗りを出来るだけさせないようにしています。
旅行に行くときなどは滑り止めなどを持っていくようになりました」。
8歳まではシニアという言葉とは無縁だったKoaちゃん。
9歳を境に幾つかのシニア的な変化が見えてくるようになりましたが、それは突然のようで実は突然ではなかったのかもしれません。
「きっとそれまでも少しずつ変化はあったのだと思います。
でも意識するようになったらちょっとの変化も気になるようになって、その結果色々と気がつくようになりました」。
シニア期を意識するようになってから始めたこと
シニアとしてのKoaちゃんと向き合うことになった宮さん。
それまでもKoaちゃんのための情報収集は積極的に行なっていましたが、健康維持のため新たに取り入れたことがあります。
「2018年11月から月に一度、獣医師による鍼治療に行くようになりました。その後も一回くらい膀胱炎にはなりましたが、その他は特に病気もなく健康で調子が良いです」。
食事の内容も変えました。
「特に体調に問題がなく元気だったので変えようと思っていたわけではないのですが、鍼治療をしてくれている獣医師さんのところで食事指導を受けてからは手作り食とドライフードを半々、というスタイルになりました。
素材も体質に合わせて変更しています」。
その他にも自作の酵素ジュースやサプリを工夫しながら与えているとのこと。
変形性脊椎症とは上手く付き合っていこうという考えなので、投薬や外科治療など西洋医学的なアプローチはせず、整体やバイオレゾナンスなどの施術を受けているそうです。
「身体そのものを強くすることを目指しているので、薬に頼りたくないのです。
それは私の信念と言えると思います。
レントゲンを見る限りではいつ歩けなくなってもおかしくないと言われるような状態なのに歩いたり走ったりできているのは鍼のおかげだと思っています」。
犬種選びの時からずっと、宮さんは徹底的に調べて納得してから採用するという方法をとっています。
その情報は最近ではどこから得ることが多いのでしょうか。
「まず知ってそうな友人に聞いて、そこから調べ始めます。
インスタで同じような経験をしている人の話もとても役に立っています。
どんな可能性があるのか、起こりうることはどういうことなのか、リアルに経験した人の話として知っておきたいのです。
病院に行った時には多少の知識を持って先生と話ができるようにと思っています」。
愛犬の変化を感じてご自身の気持ちはどう変わったか
自分の愛犬はずっと若くて元気でいて欲しい。
それは全てのオーナーにとっての願いです。
けれど歳月を重ねていけば必ず老いというものと向き合わなければならない時がやってきます。
大型犬の13歳ですから同世代のわんこが亡くなっていくことも現実として受け止めなければならなくなってきました。
宮さんがKoaちゃんの身体の変化に気付いた時、思ったのはどんなことだったのでしょうか。
「自然に歳をとっているので悲しい事ではないと思っています。ショックを受けることはありません。
できることは少なくなるけれど、それはそれで対応していけばいいのですから」。
これからどういうことが起きる可能性があるのか、そういうことを前もって知っているからこそ突然の出来事として驚いたり嘆いたりしないのだと宮さんは言います。
でもそれは病気ではなく“老化”だからだとも。
「もう先はそれほど長くないのだと思うと悲しい気持ちにはなって今も泣きそうですが、その時にやれることをやり続けたいです。
どこまでやれるかその点はKoaが自分で判断しているので、自分でやれるうちはやらせたいと思っています」。
しっかり情報収集をして老化への心構えができている宮さんですが、Koaちゃんの精神面での変化というものはあるのでしょうか。
「お散歩コースにマイブームが出来てどうしてもそっちに行きたいなど、こだわりが出てきたように思います。
他には、頼るようになった、慎重になった、留守番ができなくなった等が思い当たります」。
それらはシニア犬特有の頑固さなのかと思いましたが、宮さんはそれとは違うと感じているそうです。
「あまり頑固になったとは感じていないです。
それより私が“もうシニアなんだから人様に迷惑をかけることではなければいいや”と許すようになったという点の方が大きいと思います」。
これからも今まで通り。彼女が楽しいと思うことをし続けてあげたい
13歳という年齢でもお散歩は30分〜2時間近くを毎日2回。
それはKoaちゃんの気分と調子次第。
大好きなカフェに行くのもふたりにとっての大切なルーティンです。
そして川遊びも雪遊びも頻度やその場でのペースを変えながら続けています。
「彼女が楽しいと思えることを続けてあげたいのです。
歳をとったからという理由で好きだったことを取り上げるようなことや、やらせてあげなかったという後悔はしたくないと思っています。
毎回これが最後かなって思うのですが今のところ最後にはなっていません(笑)」。
その言葉通り、13歳になった今シーズンもスキー場で宮さんに伴走するKoaちゃんは本当に楽しそうで幸せそうです。
この「やりたいことを諦めない生き方」とそれをサポートし続ける宮さんの愛情が健康長寿の秘訣なのでしょう。
14歳になっても15歳になっても、好きなことを好きなペースで続けていくふたりの姿が目に浮かぶようです。
Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
東京都中央区にフォトスタジオを構え、撮影・執筆の他、写真のレッスンも行っています。
撮影はドッグファースト+優しく楽しいがモットー。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは2009年に15歳2か月で虹の橋へ。
Rubyイズムを引き継いだトイ・プードルのRoccaも2021年12月に旅立ち、現在の愛犬はオーストラリアン・ラブラドゥードルのRepettoと7歳から家族になったトイ・プードルのRose。
各種SNSや公式サイトはこちら
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