ラブラドール・レトリーバー とは

この記事のタイトルとURLをコピー

原産国のイギリスをはじめ、ヨーロッパ各国、アメリカなど、数十年間も飼育頭数がトップ5に入っているほどの人気犬種である、ラブラドール・レトリーバー。イギリスとアメリカでは、2016年まで約30年にわたり登録数は堂々1位です。(イギリスでは2017年に1位の座がフレンチ・ブルドッグになりました)。

 

日本では2017年のジャパンケネルクラブ(JKC)の登録頭数は4,266頭で15位でしたが、日本でも中型~大型犬の飼育がマンションでOKであれば、トップ10に入っていても不思議ではないほど、とにかく気質がよくて飼いやすい犬種です。

 

そんな世界随一の人気犬種である、ラブラドール・レトリーバーの沿革から特徴、飼い方のコツまでを紹介していきます。

ラブラドール・レトリーバーのルーツと歴史

レトリーバー性格

Csanad Kiss/shutterstock

ラブラドール・レトリーバーの成り立ちに関しては謎に包まれています。

 

もっとも有力な説は、16世紀頃に北米大陸の沿岸に漁に出た漁船に乗って、イギリスや北欧からカナダのラブラドル半島に渡った犬が祖先になっているというものです。

 

そのため、地名を冠したラブラドール・レトリーバーという犬種名になりました。主にはラブラドル地方のニューファンドランド島で漁師のパートナーとして、魚がかかった網の回収から小舟の引き役まで、海と船に関する多様な仕事をこなせるように進化したそうです。当時のラブラドールは活発な黒犬だったそうで、「スモール・ウォーター・ドッグ」、「レッサー(小型)・ニューファンドランド」、「セント・ジョンズの黒犬」などと呼ばれていました。

 

1800年頃、イギリスの漁船に同乗してきてイギリスに紹介されるやいなや、有能な狩猟使役犬を求めていたイギリス人に目をつけられたラブラドール。その後ニューファンドランド島の多数ラブラドールが、イギリス人に買い占められる結果になったようです。ニューファンドランド島では新しい犬税が導入されたこともあり、納税に困った漁師が多くのラブラドールを手放したとも考えられています。こうして、本家のラブラドル地方からは元祖ラブラドールのほとんどが姿を消し、イギリスでさらなる発展を遂げていくことになりました。

 

イギリスで人気を拡大していったラブラドールに、初めて黄色いカラーの子犬が産まれたのは1899年だったと伝わっています。両親犬は黒い毛色のラブラドールでした。

 

イギリスのケネルクラブにラブラドール・レトリーバーがイギリス原産の犬として登録されたのは、1903年。以後、イギリスのみならず今や世界でもっとも人気のある犬種として不動の地位を築いたのは、ご存じのとおりでしょう。

 

レトリーバーとは獲物を回収運搬する犬という意味で、イギリスに渡ってからは主に遊猟のパートナーとして、ハンターが撃ち落した水鳥を回収する役割を担いました。

 

ラブラドール・レトリーバーの毛色

レトリーバー性格

claire norman/shutterstock

もともとは黒のみであったラブラドールの毛色ですが、現在は単色のブラック、イエロー、レバー/チョコレートの3色があります。

 

レバー/チョコレート色は、一時期イギリスでカーリーコーテッド・レトリーバー、フラットコーテッド・レトリーバーなど複数の猟犬種と交配をさせられていたからです。

胸に小さな白い斑があるラブラドールもいます。

 

ラブラドール・レトリーバーの体の特徴

レトリーバー性格

Jne Valokuvaus/shutterstock

水中で作業がしやすいような体躯構成をしています。特徴的なのは、オッター・テイル(カワウソの尾)と呼ばれるしっぽでしょう。

 

力強いことも重要なので、頑丈な骨を備えていることと、腰と後肢が幅広いのも必須要素でした。

 

作業の遂行に高い心肺機能が必要となるため、胸が深く、肋骨は幅広くなっています。

網や水鳥をくわえるのに必要な幅のあるマズルも、当然のことながら備えています。

全体的にがっしりとした体つきに見えるはずです。

 

現在は、用途によってショータイプとワーキングタイプの2つのタイプが存在していて、ワーキングタイプのラブラドールはショータイプよりも一般的にはスリムな体形で、オッター・テイルを持たないケースもめずらしくありません。

 

被毛は、上毛は短毛で密生していて硬い感触です。水の冷たさや寒冷な気候、雨や照りつける太陽の下であっても体温を保持できるような柔らかい下毛も持っています。

 

理想体高

オス56~57cm、メス54~56cm

 

ラブラドール・レトリーバーの性質

レトリーバー性格

Recless media/shutterstock

1880年頃までは頑固で気性も今より荒かったと伝えられていますが、イギリスで改良が進んだのち、人にも動物にも攻撃性が皆無と言われるほど穏やかな気質になりました。イギリスで様々な他犬種との交配が行われたことで、嗅覚がとても鋭くなったと言われています。

 

獲物にほとんど歯型をつけずハンターのもとに届ける「ソフトマウス」も、大きな特徴です。

 

「レトリーバー気質」と呼ばれるような、明るく、人に喜ばれるのを好み、従順で献身的で、フレンドリーなキャラクターこそ、レトリーバーの人気を支える理由と言えるでしょう。その高い適応性や、理解力の深さから、家庭犬として愛されているのはもちろん、現在は盲導犬、介助犬、警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬などとして世界中で活躍しています。

 

当然のことながら水をたいへん好むので、水を見るとすぐに飛び込んでしまいたくなるラブラドールが多いのは、想像にかたくありません。

 

仕事や遊びをしているときは高い集中力で取り組みますが、スイッチがオフになればとたんに落ち着きます。このオンとオフのモードの精神的な切り替えの早さが、ラブラドール自身がストレスを抱え込まずにいられる秘訣に違いありません。

 

ラブラドール・レトリーバーの「飼い方」のコツ

レトリーバー性格

Csanad Kiss/shutterstock

作業意欲を満たしてあげよう

生粋のワーキングドッグなので、高い作業意欲をどれだけ満たしてあげられるかが、一緒に暮らすラブラドールの日々の幸福感を左右します。

 

一説によると同じゴールデン・レトリーバーよりもラブラドールのほうが、5~10倍も高い作業欲求を備えているとか。ラブラドールと暮らし始めたら、毎日2回の散歩のほかにも、室内でもトレーニングをして学習意欲を満たしてあげたいものです。

 

散歩では、公園でロングリードにしたり、ドッグランを利用して、「回収する」という満足感を得られるボール遊びをしてあげるのがおすすめ。股関節形成不全などもなく健康であればドッグスポーツに、身体的に不安を抱えていたりシニア以降であればノーズワークにチャレンジするなどして、ラブラドールが夢中になれる趣味を可能な限り提供してあげましょう。

 

日帰りや長期など、旅行のパートナーとしてもきっと問題はないはず。旅先の候補地として、大好きな水泳をさせてあげられるところを選ぶ飼い主さんが多いようです。

 

抜け毛対策を万全に

ダブルコートのラブラドールは、換毛期にかなりの抜け毛があります。抜け毛を減らすには、毎日ブラッシングを行うのがコツ。ブラッシングは新陳代謝を促進するマッサージ効果もあります。人にかまってもらえるのが大好きなラブラドールにとって、ブラッシングタイムは飼い主さんとのうれしい触れ合いタイムにもなるでしょう。短毛なので被毛がからまったりはしませんが、ぜひ日々のブラッシングをとおして、被毛の生え変わりの促進しつつリラックスタイムを愛犬と共有してみてください。

 

滑らない床での生活を

ラブラドールは頑丈な体をしていますが、足腰にトラブルを抱えやすい犬種のひとつ。足腰の最大の負担となるのは、フローリングなどの滑りやすい床で生活することです。ラブラドールの生活環境は、かならず四肢が踏ん張れるような床に整えましょう。

おすすめ記事

いいなと思ったらシェア

この記事のタイトルとURLをコピー

  • レトリーバー,Ta-Ta,タータ