【エッセイ】シニアレトたちとの出会いとフォトグラファーとしての想い〜by Roco〜
元々は全く別の業界で仕事をしていた私がフォトグラファーになった理由、そこにはレトリーバーが大きく影響しています。
シニアのレトリーバーと暮らす仲間と出会ってからその日々を残したい一心で写真を学び、そして縁あってプロの道へ。
今の私があるのはRubyが繋げてくれたシニアレトたちのおかげです。
シニアになったRubyとレトリーバー・シニアーズ
2005年、Rubyが11歳の時、子宮蓄膿症の手術を受けることになりました。今よりもずっと情報が少なかった時代です。必死になって検索をしていた時に見つけたのが、シニア犬のオーナーの情報交換の場として設けられた「レトリーバー・シニアーズ」というサイトでした。「病気にさせてしまった」と不安と自責の念でいっぱいだった私をそこで知り合った友人たちが励ましてくれ、本当に助けられました。そしてそれまで知らなかったシニアのレトリーバーたちの生活を知ることになったのです。
シニアーズのメンバーの中には元気な子もいれば闘病中や介護真っただ中の子もいて、状態はそれぞれ、住んでいる地区もバラバラでした。それでも同じ「レトリーバーを愛している」という気持ちがみんなを結び付けており、「明るい介護」を続ける仲間の存在は励みになっていました。大型犬が介護状態になるとそのお世話には想像以上に知識・工夫・体力・気力が必要になります。心が折れそうになる時もあるはずです。それでも常に笑顔で愛犬と向き合う友人たちの姿は私に強烈なインパクトと感動を与えました。
シニアレトとの素晴らしい日々を写真に残したい
Rubyが子宮蓄膿症を患い、シニアーズと出会った2005年は私がちょうどブログを始めた年で、拙いながらもデジタルカメラで撮った写真をアップすることが楽しい習慣になってきていました。そんな時にシニアと暮らす人たちと出会ったことである思いが強く湧き出るようになったのです。「この美しい時間を残したい」と。そして笑われるかもしれませんが「それが私の使命だ」とまで思ってしまったのです。でも何でも思い込みがあればこそ突っ走れるもので、その勢いで私は写真を学ぶべく翌年の2006年にはとある芸術大学に入学し、社会人学生になりました
そんなこだわりを持ちつつも、私は急いでいました。シニアとの時間はとてもゆっくり流れていくようで、実はとても変化が早いのです。ですから「早く上手くならなくちゃ!」と。学校に行きつつ仕事もして(フリーランスのIT講師でした)、友人たちの愛犬をフィルムカメラで撮る日々が続きました。写真の現像中に浮かびあがってくる犬たちの笑顔を見てはその可愛さに泣き、講評で自分の思いを話しては思いが溢れて涙するという変な学生でしたが、あそこまで一生懸命になれたのは全て愛しいレトリーバーたちがいたからです。
フォトグラファーとしての始まり
写真を始めてから私はIT講師の仕事をセーブするようになりました。それは写真を撮る時間を作るというだけでなく、シニアになったRubyとの時間を作るためでもありました。愛犬との時間は何歳であっても大切なものですが、シニアになるとその想いはより一層強くなります。仕事は順調でそれなりのキャリアも積んでいましたが、シニアと暮らす友人たちとの交流や写真を撮るという行為によって私にとっての優先順位が大きく変化したのです。
同じ頃、枻出版社の「RETRIEVER」という雑誌にRubyと私が取材していただけることになりました。それはフォトグラファーとして私が仕事をしていくことにもなる運命の雑誌でした。
写真の勉強を始めた時はまさか自分がプロになるなんて思ってもいませんでしたが、元々仕事をすることが好きだからでしょうか、趣味ではなく仕事としてやっていきたいという思いが出てくるようになりました。実はITの知識も生かせることからすでにwebショップでの商品イメージ撮影などを始めていたため、仕事として興味が湧いてきたのです。今思えばアシスタントの経験もない私がプロになりたいとは随分と大それたことを考えたものだと赤面してしまいますが、いつでもやってみたいことはチャレンジしていく性格なのです。その結果、以前取材をしていただいた雑誌「RETRIEVER」で使っていただけることになり、レトリーバーまみれのフォトグラファー生活がスタートしました。
撮影の種類と内容はいくつか種類があり、その中でもライフスタイルの取材は一般の家庭でのレトリーバーの暮らしを色々とお伺いすることが出来る素晴らしい時間です。どの家族も愛に溢れ、レトリーバーとの日々が輝いたものであることが手に取るようにわかるのです。私が撮影できるのはその場所にいるほんの少しの時間であり、垣間見るだけのことかもしれませんが、その瞬間を写真に収め残すお手伝いができることは心からの喜びです。
犬を撮るということは家族の思いを撮るということにつながると信じて
雑誌やwebの仕事とは別に行っているパーソナルフォト(出張家族写真)は私の原点でありライフワークです。どこで撮るかどんな雰囲気にしたいかなどを相談しながら決めて行くのですが、そのお話を伺っているだけで愛犬への想いが溢れているのがわかり、いつも幸せな気持ちになります。犬を撮ることは幸せを撮ることであり、家族の想いを撮ることだと思っています。ファインダーを覗くとそこには私の愛する犬と人がいて、その姿を残すことこそがフォトグラファーとしての私の幸せに繋がっています。
デジタルカメラが普及し、一眼レフカメラを持っている人も多くなりました。スマホのカメラも高性能になり、たくさんの人が思い思いに愛犬の写真を撮っています。愛犬が飼い主さんを見つめる眼差しそのものは、どんなに良いカメラやテクニックを駆使したとしても他人であるフォトグラファーに撮ることは出来ません。ですから愛犬の写真をどんどん撮っていただきたいと思っています。私は、みなさんが撮れない「自分たちの姿」を残すお手伝いをしています。家族の日常をその空気丸ごと写真に収め、ずっと後になっても「あの頃の私たちってこうだったね」と思いを馳せることが出来る一枚をお渡しできたらと思っています。
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