【取材/レトとSUP】荒川知詠子さん、なごん(4歳)の場合 ー特集「この夏、レトとこう遊べ!」
元来狩猟犬として、撃ち落とした獲物を水の中まで取りに行っていたレトリーバーたち。 レトたちが水遊びを好む理由は、“生まれもった本能”に尽きるのではないでしょうか。
いよいよ本格的な夏が到来。彼らが思う存分水遊びを楽しめるシーズンがやってきました。
さぁ。この夏は、レトとこう遊べ!
【レトとSUP】荒川知詠子さん、なごん(4歳)の場合
[SUP歴]
荒川さん 2年
なごん 2年
SUPを通じて愛犬との絆がより深まる
SUPとはスタンドアップパドルのことで、サーフボードの上に立ち、パドルを使って漕ぐウォータースポーツ。
ハワイのサーファーを中心に広まり、今では世界中で楽しまれている新しいスポーツだ。
荒川さんがSUPに出合ったのは、2年前。
愛犬のなごんと一緒に海で遊べることはないかなと考えていたところ、SUPに出合った。
「軽い気持ちで参加してみたのですが、最初から私もなごんもボードの上に立ててしまい、海の上を散歩しているような感覚がとっても面白かったんです」
その時教えてくれたインストラクターがSUPの競技選手だったこともあり、荒川さんとなごんも誘われ、大会に出場することに。
「静岡県で開催された三保カップに出たのですが、ビギナーの部で入賞できて。そこから競技としてのSUPにどんどんハマっていきました」
大会に出るからにいい成績を残したいと、本格的なトレーニングを開始し、今では競技者としても活躍する荒川さん。
自身は週に2〜3回は海に出かけ練習をするようになったという。
自身はアスリートとしてSUPを続けているが、なごんとのSUPも月に2回ほど楽しむという。
「なごんとSUPするのは、一人で出かける時よりも準備が必要だったり、家に戻った後にシャンプーをしなければいけなかったりするので、時間などに余裕がある時です。でも、『明日、海に行くよ』となごんに言うと、とってもワクワクしている様子がわかって。このコにとっても海に出かけることは生活の一部になっているんだなと実感しています」
荒川さんがボードを持って海に入ると、なごんは何も言わずとも寄ってきて、ボードに乗ろうと手をかける。
荒川さんがサポートしながら、ボードになごんを乗せてパドルを漕ぎ出すと、なごんはボードの前で気持ちよさそうに風を受けて真っすぐに立つ。
「SUPを始めたばかりの頃、浜名湖で開催されたレースでなごんと一緒に出た時、風が途中から強くなって、湖がまるで海のように荒れてしまい、私も落とされそうになるほどで。その時なごんに『ちょっと、なごん。フセして!』と言ったら、すぐにフセをしてくれて、その協力姿勢に感動しました」
SUPを通じてなごんとの絆がさらに深まったという荒川さん。
なごんがキラキラとした目をして、海で遊んでいるのを見るだけでも嬉しいという。
荒川さんとなごんにとってSUPは、なくてはならないコミュニケーションツールとなっている。
もっと知りたい レトと一緒にSUPのあれこれ
Q始めたきっかけは何ですか?
海遊びが大好きだったという荒川さんとなごん。一緒にできる海遊びを探していたところ出合ったのがSUPだった。
「たまたま、なごんのおやつを買いに行ったショップで、犬と一緒のSUP体験会の企画があることを知って、軽い気持ちで参加してみました。やってみたらとても楽しくってハマリましたね」
Q道具は何が必要ですか?
SUPに必要なボードとパドル、リーシュコードの他、初心者の場合は飼い主も犬もライフジャケットをつけて海に入りたい。
「道具も大切なのですが、初心者だけでなく、必ず海に持って出てもらいたいのが、携帯電話です。海の中で流されてしまったり、犬とはぐれてしまった時に助けを呼ぶなど、陸上の人と連絡をとるためです。SUPの場合は、けっこう沖の方まで出られてしまうので、
万が一のことがあった時に必要です」と教えてくれた。
また、海の上で長く遊ぶ場合は、ハイドレーション機能付きの水筒が便利だそう。
Qレトのトレーニングは必要でしたか?
「SUPをするのに特別なトレーニングは必要ないかと思いますが、呼び戻しはできるようになってからですね。あとは、海に慣れさせておくのが肝心です。私たちもSUPを始める前から、海にはよく遊びにきていました」。
泳ぐのも大好きだというなごんは、ボードを浮かべると自分も荒川さんと同じ行動を取ろうと、すぐにボードに乗ってきたという。
Qお金はかかりますか?
「自分で道具をすべてそろえようとすると、やはりお金はかかります。ですが、スクールなどでは道具もレンタルできるので、まずはレンタルで始めてみてはいかがでしょう」。
初心者が最初から独学でSUPを始めるのは、危険も伴う。1回5000円〜の金額でSUP体験をやっているところもあるので、まずは体験に参加してみよう。
Q1回でどれぐらい時間をかけますか?
「時間はその時のなごんの体調や海の様子を見ながら決めています。無理をさせすぎて、なごんが嫌になってしまう前には海を上がるようにしています」。自身のトレーニングの際は、ストイックに練習に励むが、なごんと一緒の時は、気象条件にもさらに気を付け、なごん優先にしてけががないことと、楽しむことを優先にしてSUPを行っているという。
Qどの季節でもできますか?
SUPは季節を問わず、1年中できる。冬場は、人間はウエットスーツを着るが犬はライフジャケットのみでもOK。
「冬の方が、海の水がとても澄んでいてきれいなので、冬場のSUPはおすすめです。海の中は温かいので、寒さも心配いりません。でもあまり長い時間入っていると犬も震え出してしまうので、様子をよく見ながら注意が必要です」
Q気をつけていることはありますか?
「海のコンディションを知ることです。波の高さや風の強さと向き潮の流れ、地形をきちんと把握して、出てもいい海なのかを知る必要があります。予報では行けると思っても、海に来て無理そうであれば絶対に入らないでくださいね」。
また、ローカルルールでSUP禁止の海もあるので、地元の人とコミュニケーションを取りながら海を選びたい。
Qこれから始める人にアドバイスを
「安全面には気をつけながら、浮いているだけでもいいので、とにかく海を楽しんでほしいです。SUPは自然と繋がれるスポーツでもあるし、犬との絆も深まります。道具や準備が必要なので、ハードルは高いと思いますが、一度体験してみてください!」。
飼い主と愛犬が一緒になって楽しめるSUPは、いい思い出になること間違いなし。
写真=今井卓 文=千葉泰江
Photos:Takashi Imai Text:Yasue Chiba
※この記事は、雑誌『RETRIEVER vol.88(エイ出版)』からの転載です。一部加筆・修正をし、公開しています。
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