【取材】13歳まで病気知らずの16歳。特別なことなどしなくても「基本をしっかり守ること」でスーパー長寿に。 #17わんきち
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリーバーたち。しかしそんな平均を物ともせず、年齢を重ねても元気なレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリーバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリーバーの肖像』です。今回登場するのは、16歳の女の子、わんきちちゃん。13歳まで病気しらず、さらについ最近まで自分の脚でお散歩を楽しんでいたというレジェンドです。
目次
わんきちちゃんのプロフィール
年齢&性別
16歳の女の子(2006年8月22日生まれ)
体重
18.8㎏
大好きなこと
食べること。若いころは、ボール遊びが大好き。
既往歴
・13歳で突発性前庭疾患に。その後、2回再発し注射と投薬で治療。
・同じく13歳ので血腫と乳頭腫に。3カ所を麻酔手術で切除。
・14歳のときに軟口蓋過長症に。年齢を考慮し手術はせず。
週1の訓練で散歩がしやすく
その名前から、100%男の子に間違われるという、ラブラドールレトリバーの女の子、わんきちちゃん。この夏、めでたく16歳のお誕生日を迎えました。
ラブで16歳という年齢は、まさにスーパーレジェンド! 妹のキティちゃんも12歳ということですから、そのライフスタイルになにか長生きの秘訣が隠れているはず。
オーナーの由紀さんにお話を伺いました。
「やっておいてよかったなと思うのは、プロによるトレーニングです。
ラブってやんちゃで力があるから、しっかりと訓練を受けていないと、女性だとお散歩で引きずられそうなイメージがあったんです。10カ月から始めて10歳まで、週1回で通っていました。
犬の訓練とはいえ、実際はオーナーの訓練。どんな犬に育つかは、オーナーの意識次第ですからね。
お座りやリコールなどの練習をしてテストを受け、合格して卒業した後は、デモンストレーションチームに所属。
訓練中のほかのワンちゃんたちにお手本を見せたり、年に1〜2回開催される発表会に参加し、音楽に合わせて訓練の成果を披露していました」(由紀さん=以下「」内同)。
トレーニングの成果により、白石さんの横をしっかりついて歩ける“つけ”ができるようになるなど、散歩がしやすくなったそうです。
「それに、お友達やほかのワンちゃんとも触れ合えたのもよかったですね」。
妹とは対面時から大喜び!いつも一緒の仲良しガールズ
「もしわんきちがいなくなったら寂しいのと、ひとりよりふたりのほうがわんきちも楽しいかなと思って、女の子同士で気が合うようにキティを迎えました」。
現在12歳になるラブラドールレトリバー・キティちゃんを迎えたのは、わんきちちゃんが3歳のころ。
「対面したときからすごく喜んで、一緒に遊んでくれました。
最初はキティを甘やかしていましたね。なぜか1年経ったころ、急に厳しく怒ったりするようにもなりましたが、ずっと仲良しです」。
若いころは、揃って仲良くお散歩に行っていましたが、わんきちちゃんが13歳のころ、それまで大好きだったお散歩に、ピタッと行きたがらなくなったそう。
「2カ月くらい前からはあまり歩けなくなり、今は介護ハーネスを持って補助しないと殆ど歩けなくなっていて。でもキティは、猫とか何かを見つけると走って寄って行きたがっるんです」。
まだまだ元気なキティちゃんを連れながら、わんきちちゃんのサポートをするのは無理だと判断し、今は別々に行くようになりました。
深夜に壁にぶつかる大きな音で目が覚めると…
シニアになるまで大きな病気はなかったものの、13 歳のときに突発性前庭疾患に。
深夜、壁にどんどんと当たる音に白石さんが目を覚ますと、わんきちちゃんが嘔吐と大量のおもらし。音は、わんきちちゃんがくるくる回りながら、壁にぶつかっていたからでした。
翌朝一番に病院で検査をすると、幸い脳に異常はなく、注射と投薬で改善。1週間後、さらにそこから1カ月後と、計2回再発しましたが、いずれも薬で落ち着いたそう。
しかしそこはハイシニア。今度はのどに血腫、首の後ろとおしりの2カ所に乳頭腫ができ、麻酔手術で切除。
14歳のときには、呼吸の様子に違和感を感じて検査をすると、軟口蓋(なんこうがい)過長症との診断でした。
軟口蓋とは、口の上側の硬い天井部分より奥の柔らかい部分。軟口蓋が正常よりも長いと喉に蓋をするような状態に。
空気の通り道が狭くなって呼吸障害が出るため、熱中症のリスクがハネ上がったり、呼吸困難によるチアノーゼを起こしたりと、命に関わるもの。
ブルドッグやパグなどの短頭種に多い病気ですが、高齢犬やレトリバー種にも見られます。
若ければ麻酔をして軟口蓋を切る手術を選択すべきですが、シニア犬には麻酔リスクが高いため様子見になりました。
年齢とともに襲ってくるさまざな病気に負けず、無事に16歳を迎えられたのはなぜか。白石さんが考える長寿の秘訣は、「ごはんと散歩」というシンプルなものでした。
長寿の秘訣は「基本をしっかり守ること」
「大事なのは、基本ですけどごはんと散歩かなって思います」。
わんきちちゃんの健康を一番に考え、「人間の食べ物はあげないように」という主治医からの指導をしっかり守ってきました。
今与えているごはんは、シニア用のフード。おやつは「できたら与えないほうがいい」という先生の方針で、シニアになってからはほとんどあげていません。
「今までは、あごにも歯にもいいからとドライフードをあげていましたが、先日、のどに詰まらせて。先生に言われて、今は少しふやかして、小分けにしてあげるようにしています」
それでも、わんきちちゃんは食欲旺盛!
「ボウルが割れるんじゃないか?ってくらいの勢いで(笑)。なので、まだまだ元気でいてくれるかなって思ってます」。
決まったごはんと日々のお散歩で、体重管理は若いころから徹底していたので、先生からほめられるそう。
「やっぱり、長生きしてもらいたいですからね!」。
もうひとつの長寿の秘訣・お散歩は、若い頃には朝夕合わせて1日2~3時間、毎日欠かさず行って体力をつけていたそう。
今でこそお散歩は補助が必要なものの、つい最近まではしっかりと自分の脚で歩いていたというわんきちちゃん。このロング散歩で鍛えた筋肉のたまものでしょう。
そしてこの筋トレは今も意識しています。
「夜中に2回くらい起きて、お水を飲みに行くんです。もっと楽に飲める近くに置いてあげたいけど、先生に“1歩でも2歩でも歩かせて、1分でも2分でも立たせてください”と言われているので、私も心を鬼にしています」。
16歳のお誕生日はケーキでお祝い
「インスタグラムのフォロワーさんたちは、“わんきっちゃんから元気をもらう”って言ってくださるんですけど、たぶん、いちばん元気をもらってるのは私に違いないと思っています」。
左頬にできたイボは、手術が高リスクなため切除はしていません。「今ではチャームポイントです」と、ほほ笑む由紀さん。
「みなさんのように旅行に連れて行ったり、贅沢はさせてあげられないんですけど……」と、わんきちちゃんに申し訳なさそうに話す由紀さんですが、お住まいは海まで車で15分ほどという好立地。
日常的に海をお散歩したり泳げるのは、水泳が大好きな犬種のラブにとっては、何より幸せな暮らし。都会暮らしには実現できない豊かさでもあります。
ごはんと散歩。ヘルシーライフに大切な基本の基。改めて見直していきたいですね。
取材・文/都丸優子
★「#レジェンドレト」で投稿お待ちしています!
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