災害時に備えてマイクロチップを入れておくべき?〜レトリーバーのために〜
迷子対策としてマイクロチップが役立つことは、明らかになっています。そんなマイクロチップについて、マイクロチップデータの登録機関である日本獣医師会が提供している情報や、RTLの病気事典を監修している箱崎加奈子獣医師への取材内容をまとめながら解説したいと思います。
マイクロチップのおかげで迷子犬が戻ってきた!
筆者は東京都中央区の動物との共生推進員で、中央区保健所からの迷子犬や迷子猫の情報をしばしば一斉メールで受け取ります。
その際、保護した犬や猫にはマイクロチップが挿入済みかが確認されています。
中央区に限らず、マイクロチップが入っていて飼い主さんを見つけ出せた例が少なくありません。
首輪に迷子札をつけておくこともおすすめしますが、地震や火事の騒動で首輪をしていない愛レトが自宅から飛び出してしまったり、散歩中に首輪がスポっと抜けて失踪してしまった場合はマイクロチップがあれば安心です。
マイクロチップの仕組みは?
筆者の愛犬はテリアですが、オーストラリア滞在中に迎えた際にはマイクロチップが装着済でした。オーストラリアをはじめ、法律で犬へのマイクロチップの装着が義務化されている国も少なくありません。
このマイクロチップはISO国際規格で、世界で唯一の15桁の数字が記録されています。日本でも近年はISO規格のマイクロチップのみが流通するようになったので、どのメーカーのチップやリーダーであっても互換性があり、番号の読み取りができます。
マイクロチップの番号を読み取るリーダーは、写真の手のひらサイズのものから空港のセキュリティーチェック機器位の大きさまで様々。自治体の動物愛護センターや保健所、一部の動物病院などに備えられています。
リーダーで読み込んだ番号をもとに、日本獣医師会のデータベースを照会すれば、動物の所有者が特定できるという仕組みです。
体内に異物を挿入するのは抵抗アリ!?
長さ12mm、直径2mmほどの円筒状のマイクロチップは、注射器のような器具に入っていて、注射のような要領で首の付け根あたりに挿入します。
日本生まれの筆者の愛犬が挿入した際には、「キャン」と一度鳴ただけで、挿入直後からは何事もなかったかのように普段どおりでした。以来9年間、何も不都合はありません。
去勢避妊手術などで全身麻酔をかけるときに、マイクロチップの挿入を依頼される飼い主さんも多いようです。
愛レトの体内に異物を挿入するのに抵抗がある飼い主さんもいるかと思います。けれども、日本獣医師会によると、マイクロチップを挿入したことによるショック症状や副作用の報告は1例もありません。
海外ではマイクロチップが原因での腫瘍が2例報告されていますが、何千万頭分の2頭は非常に少ない率だと言えます。マイクロチップの安全性は高いと考えて良いでしょう。
登録と登録データの変更が大切!
最近はペット関連のイベント会場や動物病院で、チップ代と挿入料の無料キャンペーンを行っているところも多いようです。
筆者が愛犬に挿入したときは、マイクロチップ代と挿入料として動物病院に5,000円ほどを支払いました。
チップを挿入したら、登録は飼い主さん自身で行います。
この登録や、引っ越し後などは登録情報の変更を行わないと、せっかくマイクロチップがペット挿入されていてもいざというときに役に立たないので要注意!
まずは動物病院で渡される書類に、所有者の氏名と住所と電話番号などを記載します。それを、公益団体としてマイクロチップのデータ登録機関となってデータの管理を行っている日本獣医師会に郵送し、登録が完了します。登録料は1,000円(税別)。
一部のペットショップではマイクロチップ装着済の犬を販売して、飼い主となる方に独自の登録団体へのデータ登録を促しています。
けれども、実際に保護された犬の個体識別番号を読み取った自治体や獣医師が、真っ先にデータを照会する先は日本獣医師会が管理するインタネート上のデータベースです。
必ず、ペットショップから登録用紙を受け取った際は登録先を確認するとともに、もし日本獣医師会へのデータが未登録になっていたら登録するようにしましょう。
チップは体内で移動したり、愛レトの体に悪影響?
愛犬のマイクロチップが背中や足に移動してしまった例も実際にはあります。
箱崎獣医師に聞くと、「通常、マイクロチップは皮下で定着します。移動しても筋肉組織には入りません。どの部位まで行っても皮下組織内に留まっていて、体に悪い影響を与えることはないので心配は不要です」とのことでした。
レントゲン検査やCT検査を受けても問題ありません。
ただ、MRI検査の際は1.5テスラ以上の磁東密度の機器を使用して撮影した画像に歪みが生じることがありますが、動物の体には悪影響はないそうです。
マイクロチップは、GPSのようにずっと電波を発信し続けるわけではなく、リーダーを近づけなければ電波を発しないので、電磁波による影響も気にする必要はありません。
犬への負担も副作用もなく、安全性が高いマイクロチップは、いざというときのために装着しておくメリットは高いと言えるのではないでしょうか。
犬の盗難事件もある昨今、マイクロチップは愛犬の身元証明書としても役立ちます。
愛レトと会えなくなってから悔やまないで済むように、迷子札とマイクロチップのダブル迷子対策をしておき、万が一の事態に備えたいものです。
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