【赤ちゃんとレト】お互いハッピーに暮らすためには“ほどよい距離感”が大切。
飼い主さんの赤ちゃんが少し大きくなってハイハイやつかまり立ち、そしてヨチヨチ歩きを始めたりすると、愛レトは毎日ヒヤヒヤしながら過ごしている可能性があります。乳児の動きや声は、残念ながらレトたちに安心感をもたらしてくれるものではありません。
愛レトの日常のストレスを少しでも軽減させてあげられるように、赤ちゃんとレトとの距離感の作り方などを頭に入れておきたいものです。
愛レトの気持ちを考えてあげよう
飼い主さんの愛情を奪われがちな赤ちゃんの存在を、なんとか受け入れてがんばっているであろう愛レト。
赤ちゃんが成長してくると、そんな愛レトにはまた赤ちゃんの存在が脅威となってしまいます。
赤ちゃんがハイハイをし始めて行動範囲が一気に広がると、すやすやと安眠中のレトに近づいて、しっぽをつかんで自分の口に入れてみたり、レトの耳をめくったり、ボディをバシバシ叩いてみたり……。
飼い主さんが注意をしておかないと、愛レトはどんどん赤ちゃんのおもちゃにされていくでしょう。
愛レトにとっては、そのような赤ちゃんの行為は歓迎できるものではありません。
じっと耐えていたとしても、それはガマンしていることであり、愛レトは確実にストレスを感じているはず。愛レトに感心している場合ではないのです。
飼い主さんは、まだ相手が嫌がっているかどうかを判断できない赤ちゃんと愛犬とは、適度な距離感をもって接するようにしてあげてください。
愛レトにはこれまでどおりの生活を
赤ちゃんが遊ぶ時間になると、愛レトを別室に移したりサークルに入れたりしがちですが、それは愛レトからすれば、いくら赤ちゃんに安眠妨害などをされないとはいえストレスになってしまいます。
赤ちゃんのせいで自分のこれまでの行動範囲が狭くなり、居場所を制限されてしまう状況に愛レトを陥らせるのは避けてあげましょう。
愛レトではなく、赤ちゃんをサークルに入れるのがベスト! 赤ちゃんはサークルに入れられたからといってストレスに感じることはありません。
お気に入りのおもちゃをたくさんベビーサークルに入れておいてあげれば、きっとご機嫌で遊んでくれるはずです。
愛レトの食事中も、赤ちゃんはサークルやベビーベッドに入れて離しておくのを忘れずに。
レトたちは、赤ちゃんがなんでもすぐ口に入れてしまうことをよく見て知っています。
赤ちゃんから食べ物を守ろうとして威嚇をしても、赤ちゃんには意味がわからず、ドッグフードに興味を示してさらに愛レトに近寄ってしまう可能性があるので注意が必要です。
赤ちゃんとはなるべく一緒に散歩しよう
赤ちゃんが外出できるようになったら、なるべく愛レトの散歩に付き合わせましょう。
愛レトのためにと思って、赤ちゃんをほかの家族にまかせて、ママが愛レトとだけ散歩をするように気遣う必要はありません。
レトリーバーにとって、散歩は本能的には狩りに出かけるようなもの。
もちろん、狩りは群れで行動して協力しながら行うものです。
ママだけでなく赤ちゃんも一緒に行くことで、愛レトの赤ちゃんへの仲間意識が高まると考えられます。
ママにとっては愛レトと赤ちゃんとの散歩は大変かもしれません。
いざ、赤ちゃん連れ散歩のデビューの日に慌てないように、出産前からベビーカーと愛レトとがスムーズに歩ける練習をしておけば安心です。
抱っこひもで連れて行く場合は、愛レトのうんちを取ったり、ボールを投げたり、水をあげたりしやすいのは赤ちゃんをおんぶするスタイル。
購入するのであれば、おんぶ可能な抱っこひもがおすすめです。
犬との生活は赤ちゃんへのプラス面もある
乳幼児と犬や猫との生活における研究が、あらゆる国で行われています。
そのなかから、いくつか紹介しましょう。
まず、旧国立成育医療センターなどが広島市の約1万人の小学2年生の保護者にアンケートを取った結果によると、生後1歳までに犬と生活していた子供は、アトピー性皮膚炎のリスクが減少していたと言います。(2006年、日本アレルギー学会発表)。
犬と暮らす過程で育つ乳児は、呼吸器疾患や中耳炎や感染症にかかるリスクが減り、抗生物質を投与する機会が少なかったという調査結果も存在します。(2012年に米小児科専門誌で発表。フィンランドのクオピオ大学病院による研究)。
犬と一緒に過ごすことで、赤ちゃんの免疫機能の発達が高められているのではないかというこれらの研究結果。
親としてもこうしたプラスの側面を知ると、少しほっとできてうれしく感じるのではないでしょうか。
愛レトにとって、飼い主さんの赤ちゃんの存在がストレスにならないように。そして、近すぎず遠すぎず、飼い主さんを介して自然と家族として受け入れられるように。ぜひ心を配ってあげたいものです。
執筆者:臼井京音
ドッグライター・写真家として約20年間、世界の犬事情を取材。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、家庭犬のしつけインストラクターや犬の幼稚園UrbanPaws(2017年閉園)の園長としても活動。犬専門誌をはじめ新聞連載や週刊誌などでの執筆多数。
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