【なぜ他の犬を怖がる?】犬嫌いなレトリーバーにならないために【子犬期が大切】
愛レトはほかの犬とじょうずにあいさつできますか? 犬同士で遊ぶのは好きですか?
犬として生まれたから、犬との接し方が身についているとは限りません。もし愛レトに犬嫌いの傾向が見られたら、ほかの犬と接することがストレスにならないように対策を考えてみましょう。
犬なのになぜ犬を怖がるのか
子犬は離乳までの間、母犬から犬社会のマナーなどを教えてもらい、離乳前後からは母犬や兄弟姉妹犬と繰り広げられる盛んな遊びをとおして、噛む加減や犬同士のコミュニケーション術を学んでいきます。
ところが、母犬が極端に臆病で神経質な性質であったり、兄弟姉妹犬と遊ぶチャンスを得られなかったり、母犬のそばから早期に離されてしまったりすると、ほかの犬と接する方法を学習することができません。
その結果、ほかの犬とどう接していいかわからず、犬が苦手になってしまうことがあるのです。
現在、いわゆる動物愛護法の改正をめぐり、生後8週齢までは生まれ育った環境に留まらせておくべきだという「生後8週齢規制」に関して盛んに議論が行われているのも、そのような理由からです。
犬が苦手になってしまう要因には、生後8週齢くらいまでに親犬や兄弟姉妹犬と適切な触れ合いが持てなかったことのほか、ペットショップの店内でほかの犬と触れ合わせずに1頭だけで過ごさせることが挙げられます。
ペットショップでは、子犬のうち1頭が感染症を発症すると、抵抗力が弱いほかの子犬たちにも感染症が移りやすいので1頭ずつケージで隔離して育てる傾向があります。
すぐに飼い主さんが決まって、新しい環境で先住犬やほかの犬と遊ぶ機会が得られればよいのですが、そのまま数週間~数ヵ月間、ペットショップでほかの犬とほとんど接触せずに過ごしてしまうと、ほかの犬が苦手になる確率が高くなるでしょう。
信頼できるブリーダーやショップから子犬を入手
犬としての適切なマナーを身につけた子犬を迎えるには、生後2ヵ月くらいまで心身ともに健康な親犬のもとで兄弟姉妹犬と一緒に過ごせた子犬を探すのがベストです。
ペットショップ経由で入手する場合、ほかの子犬と一緒に遊ばせているショップを選ぶのをおすすめします。
犬自身が生きていくうえで接する可能性がある生物や物や事象に、恐怖心を抱かずに慣れることを“社会化”と呼びますが、子犬期の社会化が不足すると、ほかの犬のみならず人や多種多様な物事に対して苦手意識がついてしまいます。
初期に健全な社会化が行われた子犬を迎えれば、犬嫌いや人嫌いである可能性は低くなるでしょう。
子犬を迎えたら、ほかの犬との社会化を
ほかの犬が苦手だと、ドッグランや飼い主さんと一緒の旅行などが愛レトにとって苦痛になってしまいます。
ほかの犬と触れ合う環境でレトと暮らすのであれば、子犬を迎えたあとに、ほかの犬への社会化を継続できれば理想的です。
飼い主さん自身の手でほかの犬と社会化をさせるのであれば、子犬に対して友好的でおだやかな気質の犬を選んで、最初は1対1で触れ合わせれば安心です。
慣れてきたら、ほかの犬と複数で遊ばせるようにしましょう。
犬のプロが介入して安全な環境のもとで社会化をさせられる、“犬の幼稚園”などの施設を利用するのもよいでしょう。
ドッグランでの社会化の注意点
ほかの犬に慣れさせるためにと、子犬をいきなりドッグランに放り込んでしまうのは子犬がかわいそうです。
とくにドッグランに入る前からシッポが下がり気味のパピーレトは、きっと怖くてドキドキしているはず。
ドッグランに入って、新参者のにおいを嗅ぎにきた犬たちに囲まれることが恐怖体験になって、さらに犬が苦手になってしまう危険性があります。
ドッグランに入る前にテンションが低そうなレトには、まずはドッグランの外からほかの犬たちを眺めさせて、慣れてきてシッポが通常の位置に戻ってきたら飼い主さんがサポートしながらドッグランに入場するようにしてください。
ドッグランに入っても、まだ自分に自信がないうちは、ほかの犬に攻撃的な態度を取られたりすると怖気づいてしまいがち。
少々荒っぽい性格の犬がいるようであれば、すぐに退散するのが賢明です。
愛レトが自発的に近づけるようになるのを待とう
犬はお互いにお尻のにおいを嗅ぎあうのが名刺交換のようなものですが、もし愛レトがほかの犬からにおいを嗅がれて尻込みしてしまっても、飼い主さんは決して愛レトの動きを拘束したり、お尻を相手に向けさせたりしないように。
愛レトが自発的に行って「大丈夫」と確信できた行動ならば克服できて自信を高められますが、無理にさせられた行動を繰り返しても、自信がつくことはありません。
もし愛レトが犬嫌いであったとしても、根気よくおだやかな犬と接触させていけば、きっと苦手は克服できるはず!
ほかの犬と遊びまわることを目標にするとハードルが高いかもしれません。
せめて、愛レトがほかの犬と接するときにストレスなく自信を持っていられることを目指して、愛レトに愛情を注ぎながら、無理のない範囲で少しずつ犬の友達を増やしてあげましょう。
執筆者:臼井京音
ドッグライター・写真家として約20年間、世界の犬事情を取材。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の問題行動カウンセリングを学んだのち、家庭犬のしつけインストラクターや犬の幼稚園UrbanPaws(2017年閉園)の園長としても活動。犬専門誌をはじめ新聞連載や週刊誌などでの執筆多数。
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