2019年6月22日3,012 ビュー View

【連載】犬の食生活は、飼い主のライフスタイルー「kitchen Dog!」南村友紀のハッピークッキング#6

「Kitchen Dog(キッチンドッグ)」代表の南村友紀さんは、ゴールデンレトリーバーと暮らす生粋のレトラバー。 Kitchen Dogは、犬の消化・吸収・代謝を考えて、安心安全な犬のゴハンを真面目に製造・販売する犬用食品ブランド。 さらに美味しさも追求しているため、多くの愛犬家に親しまれています。

レトと暮らし、さらに犬ゴハンのプロともいえる南村友紀さんの連載、第6回目!

犬の食生活は、飼い主のライフスタイルです。

犬が我が家にやってきた!

 

ウンチもするし、オシッコもまだどこでして良いかわからないみたい。ゲーゲー吐いたりもする。

 

お散歩も毎朝、毎夕しなくちゃならない。

 

さて、ゴハンは手作りする?

 

ドライフードを買ってきてザーッと器に入れて食べさせる?

 

あなたならどう考えますか?

 

例えばこんなゴハンはいかがですか?

主材料は古い小麦粉です。

 

それに、化学調味料で味付けをし、小麦粉だけでは足りないタンパク質を普段食べないような死後数日たった家畜の、人間の食用に適さない動物組織の精製粉で補い、さらに足りない分は単体の粉末製品の添加により多めに補われています。

 

ビタミンとミネラルは、サプリで添加して調整してあります。

 

あなたの毎日の健康的な栄養を完璧に補うために、1日に3カップ食べてください!

 

そして、たっぷりの水を飲んでください!

 

大量生産の加工食品を一生食べ続けて、健康的だと思う人はおそらくいないでしょう。

 

例えば、私たち人間ならベビースターラーメンのようなものをそのままポリポリ一生食べ続けるようなイメージです。

 

たとえそれが『完全栄養食』としてのスタンダードな栄養素を含んでいると言われても、きっと食べ続けられないですよね!

 

朝ごはんは生みたての卵と茹でたササミをほぐしてキャベツの千切りと和えたサラダ、炊きたてのごはんに、刻んだ貝割れ大根をのせた納豆、豆腐とわかめの味噌汁に、昨夜仕込んでおいた歯ごたえの良いキュウリのぬか漬けの方が食べたいと思うし、健康にも良いとわかりますよね?

 

それがわかったら、実現するために手をかけ時間をかけることを惜しむのか惜しまないのかは、その人のライフスタイルによると、私は考えています。

 

朝ごはんを作るために30分早く起きるのか、そんなことより眠りたいのか?

 

夕食を用意するために仕事の帰りに新鮮な食材を買いに寄るのか、めんどくさいのでできたものを買って帰るのか?

 

週末に、ゆっくりワインでも飲みながら食事を作って食べたり1週間分の保存食を用意するのか、遊びに出かけて外食するのか?

 

いろんな人がいて、いろんな好みがあって、いろんなライフスタイルがあるので、どれが良いとも悪いとも判断することではありませんが、犬たちは自分で選ぶことができず、飼い主さんが自分のお皿に入れてくれるものを食べて生きていくしかありません。

毎日とは言わないけど、週に半分くらいは犬たちのために、健康的なゴハンを作ってあげて欲しいなぁ、と、心から思います。

 

何を、どのくらい、どうやって? 

『初めてなんだけど犬の手作り食を作りたい』、という方から必ず聞かれるのが、この質問です。

 

どんなものを、どれくらいの量、どうやって料理したら良いかわからないという基本的なことです。

 

皆さんもご存知であろう、AAFCOという団体が、ドッグフードを作るにあたって取り決めた『犬に最低限(または上限値)必要な栄養素』という数値があり、何キロの成犬には何カロリー必要だとか、タンパク質は乾物ベースで何グラム必要だとか、ビタミンやミネラルはどうかとか、そんな数値を達成するために、私も随分色々と試したことがあります。

 

でも、今となっては、大きな声で言いたい。

 

『完全栄養食』という呪縛から自由になろうよ!

ドッグフードという商品を普及させるためには必要だったこの数字。

 

でも、これを手作りの、フレッシュな、普通の食材で達成することは無理です。

 

いやいや、それ以上に、AAFCOやNRCの定める必要タンパク質の量で、これらの定める必要カロリーを達成させるには、かなりの穀類か油脂が必要になるのだ、ということを私は言いたい。

 

ご存知の通り、犬のような『雑食にも慣れているが基本的には肉食性の動物』には、穀類の過剰な摂取は負担だし消化も困難です。

 

そして、体重が何キロだから何カロリー必要とか、たんぱく質が何グラム必要とかも、ほとんど机上の空論です。

 

犬たちは毎日をダイナミックに『変化』しながら、文字通り『生きて』いて、例えばある一頭のポチという名のチワワの今日のニーズと明日のニーズは全然違うこともあり、ましてや夏のある日と来年の冬のある日は全く違い、刻々と変化しています。

ポチと、おとなりさんのルークという名のラブラドールレトリーバーでは更に違います。

 

ポチは一日中抱っこでマンションの出入りをし、飼い主さんのカフェにつきあい、ある時は公園の芝生で30分遊びます。

 

ルークは自分で歩いて散歩に行き、ある時は海で思いきり泳ぎ、砂浜を走りますが、雨の日は飼い主さんがお散歩をサボるためにソファーで一日中テレビを見ながら居眠りしています。

 

そんな風に、何百もある犬種によっても、同じ犬のその日によっても、毎日移ろう体調を、一つの食事で健康に保てる訳がないのです。

 

じゃあどうすればいいの?

どうすればいいかというと、私のオススメは、考えることと試すこと。

 

ドッグフードの会社でさえ、給餌試験をしていない小さな会社は山ほどあります。

 

業界団体の定めた数値に机上の空論(栄養計算)でフードを設計し、販売している会社は山ほどあります。高温で加工すれば、出来上がった製品にどのくらいのアミノ酸やミネラルやビタミンが残っているかは計算通りではありません。

 

給餌試験をしている大手のフードでさえ、その試験を受けているのはラボラトリードッグと言われるメーカーで飼われている犬たちなので、個々の家庭で暮らしている犬たちのような多様性はありません。

 

なので、自分の犬には自分で給餌試験をして欲しいのです。

 

他人に任せて他人の言う通りにして他人のせいにするのではなく、自分で責任を持って家族の一員であるワンコにゴハンを用意してあげてほしいのです。

 

それって、そんなに大変なことでもないんですよ。

 

詳しくは、また次回に!

 

今日のバビちゃんのゴハン

冷蔵庫の整理Day。ちょっとずつ残っている野菜の中から、犬には食べれない玉ねぎやネギを除き、何でもかんでもざく切りにして蒸し焼きにしたもの。

それぞれにベストな状態で火がはいったら、フードプロセッサーで超みじん切りにするだけです。

 

それぞれ火の入り方が違うので、硬い人参などからフライパンに入れ、タイミングをずらして投入していくだけです。

 

焦げないように、少し水分を加えてから蓋をして蒸し焼きに。

 

『ベストな状態』とは、ある程度柔らかいけど、栄養が極力壊れない程度、という意味です。

 

どの瞬間がそうなのか、自分で考えよう!

 

お肉も、ちょこちょこと余っているものをそれぞれ加熱。

もしも新鮮な牛肉などが少しあるなら、それは生でもいいですね!

 

 

南村友紀 プロフィール

レト 2001年に犬のためのビスケット&デリカテッセンショップ「キッチンドッグ!」をオープン。手作りごはんに悩む飼い主さんたちを正しい知識でサポートしながら、「愛と幸福とおいしいゴハンを!」をモットーに活動している。

お料理教室も大人気!

http://www.kitchendog.jp/

 

次号につづく!

「Kitchen Dog」南村友紀さんのハッピークッキングは、連載としてお届けしていきます!

レトリーバーたちにふさわしい「ごはん情報」をお届けしていきますので、これからも楽しみにしていてくださいね。

 

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