2019年7月3日3,909 ビュー View

『アメリカで出会った英ゴルが、ドッグトレーナー生活のスタート』―倉岡麻子 [ゴルの魅力VSラブの引力]

ドッグトレーナーの倉岡麻子さんは現在、2頭目のイングリッシュタイプのゴールデン・レトリーバーと暮らしています。倉岡さんと初代の英ゴルわたるくんとのアメリカでの出会いから、心境の変化を経て2代目の英ゴル彩ちゃんを迎え、現在にいたるまでのヒストリーを紹介します。

アメリカで運命のEゴルに出会う

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

ドッグトレーナーの倉岡麻子さんは、アメリカでゴールデン・レトリーバーのわたるくんと出会いました。

 

“英ゴル”や“Eゴル”などの愛称、あるいは“イングリッシュ・クリーム・ゴールデン”の異名で親しまれるイギリスタイプのゴールデンです。

 

「サンディエゴで犬のデイケア施設を経営している、ドッグトレーナーの鈴木博美さんのところに、3年間住み込みをしていたんです。博美さんは最初Eゴル2頭と暮らしていて、すぐにもう2頭がやってきて。そこで生まれた子犬を1頭、私の愛犬として迎えました」とのこと。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

倉岡さんの2代目の愛ゴル彩ちゃん

 

実は倉岡さんは、アメリカン・コッカー・スパニエルの福くんと一緒にアメリカに渡りました。

 

「福ちゃんは、もとはペットショップの売れ残り犬でした。ペットシッターのアルバイトをしながら、一軒家をホームシェアして一緒に借りていた女友達と相談して、迎えることにしたんです。ハウスメイトは、ゴールデン・レトリーバーと猫を飼っていたんですよ」と、倉岡さん。

 

福くんはペットショップ生活が長く、外の世界をあまり知らずに育ったせいか、臆病な性格だっと言います。

 

「ほかの犬に吠えたり、見知らぬ人が触ろうとすると唸ったり、咬もうとしたり……。福ちゃんがシャイを克服できるようになることも、アメリカでドッグトレーニングを学ぼうと思った理由のひとつです」。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

倉岡さんと福くん(中央)とわたるくん(左)

 

犬の個性を受けれて尊重することを学ぶ

アメリカに渡った倉岡さんは、福くんにマッチするトレーニング法を探して多数を試したそうです。

 

「でも、どれもうまく行きませんでした。トレーニングさえしっかり行えば、人にも犬にもフレンドリーな犬になってくれて、ドッグトレーナーの仕事のパートナードッグになってもらえると思い込んでいました。ところが、そんな理想像を勝手に押し付けていた自分自身にふと気づき、福ちゃんの個性を受け入れて、福ちゃんが幸せになれる道を模索する方向へとシフトチェンジすることにしたんです」。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

福くんと、サンディエゴの英ゴルたち

 

こうして、福くんには「人や犬に出会っても平常心でいられればOK」というゴールを設定し直しなおした、倉岡さん。

 

おやつを使って犬を楽しい気持ちにさせながらトレーニングする方法を取り入れて、福くんの気持ちに寄り添いながら焦らずプログラムを進めたところ、福くんの表情もどんどん明るくなっていったそうです。

 

Eゴルのわたるくんは理想のパートナードッグに成長

福くんの変化で心にゆとりが生まれた倉岡さんは、仕事のパートナーにできる新しい犬を探し始めました。そこで出会ったのが、Eゴルのわたるくんです。

 

「日本でのハウスメイトと一緒にゴールデンと暮らしていたことも、やはり影響していますね。当時は知らなかった、イギリスタイプのゴールデンをアメリカで迎えることになるとは夢にも思いませんでしたけど」と、倉岡さんは笑います。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

倉岡さんが運営するWasabiで遊ぶ彩ちゃん

 

福くんとわたるくんは、半年間かけてじっくりと近づけ、慣らしていったそうです。

 

同時に、ドッグトレーナーの理想的なデモンストレーション・ドッグに成長した、わたるくん。日本に帰国後は、倉岡さんのパートナーとしてわたるくんはたくさんの経験を積みました。

 

「アメリカでもたくさんのゴールデンと触れ合いましたが、イギリスタイプはアメリカタイプよりも、性格が落ち着いていると感じます」と、倉岡さんは言います。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

Wasabiでは川遊びも楽しめます

 

福くんとわたるくんを連れて、倉岡さんは結婚。ほどなく、現在は7歳になる娘さんを出産しました。

 

「わたるは、娘のよき兄でもありました。一緒に室内で遊んだり、散歩に行ったり……」。

 

ところが、娘さんが6歳のとき、わたるくんは10歳で急逝してしまったそうです。

 

「ドッグトレーナーとしての今の私があるのは、福とわたるのおかげ。本当に感謝しています」(倉岡さん)。

 

2代目Eゴル、彩ちゃんがやってきた

倉岡さんが園長を務める、犬のようちえんWasabi(埼玉県飯能市)に取材に行った2019年6月、ちょうど1歳になるというEゴルの彩(さい)ちゃんが筆者を出迎えてくれました。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

Wasabiに倉岡さんといつも出勤している彩ちゃん

 

「わたるとは、まったく違う気持ちで彩を迎えたんです。あんなトレーニングも、こんなトリックもやってみよう! というのが、わたるを迎えたときの気持ちでした。もちろん、彩にも必要なトレーニングは行います。でも、彩とは1日1日を大切に過ごしたいですね。一緒に、彩が笑顔になれることを楽しみたいです」と、倉岡さんは語ります。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

Wasabiドッグラン内にて。「ガジガジかじるのもブームなの」by彩ちゃん

 

先日は、名栗カヌー工房に行き、レンタルカヌーに彩ちゃんと娘さんと一緒に乗ったそうです。

 

「彩よりもシャイで、私と一対一で地味にトレーニングをするのを好んだわたるとは違って、彩は明るくてアクティブな性格。それを知っているからこそ、わたるとは行わなかった遊びにもチャレンジしてみたんですけどね。彩ってば、さっそくやらかしてくれましたよ。湖から岸に近づいていったとき、飛び移れると思ってジャンプしたみたいで、見事にカヌーから湖に落下したんです(笑)」。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

名栗湖にて。ともに好奇心とチャレンジ精神が旺盛な倉岡さんの娘たち

 

愛犬との毎日が宝物

彩ちゃんは、犬のようちえんでは毎日、訪れる犬たちとドッグランを駆け回っているとか。

 

「女の子だからというのもあるかもしれませんが、彩は体が華奢ですね。その分、軽やかで、ドッグランをビュンビュン走り回っています。ほかの犬たちと追いかけっこをしたり、取っ組み合いをしたりと、毎日エンジョイしてくれているみたいで、見ている私もうれしいです」と、倉岡さん。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

犬のようちえん内のドッグランでゴル友だちと遊ぶ、彩ちゃん

 

彩ちゃんは、倉岡さんが呼べば、どんなに離れていてもどんなに楽しそうに遊んでいても、倉岡さんのもとへと駆けつけます。

 

「犬たちが元気にのびのび育ってくれれば、それが一番うれしいです。犬たちの毎日が楽しくあるように、日常生活に活かせるトレーニングにしっかり力を注いでいきたいですね」と微笑む倉岡さんに、いかに犬たちが絶大な信頼を寄せているかをうかがい知ることができました。

ゴールデンレトリーバー,トレーナー

どこにいても倉岡さんが呼べば直行!

 

Eゴルの彩ちゃんと倉岡さんファミリーの生活は、まだ始まったばかり。

 

これからも彩り豊かな思い出をたくさん、わたるくんが天国から見守る毎日の中で育んでいくことでしょう。

 

(text/photo:Kyone Usui)

 

 

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