2019年11月19日3,804 ビュー View

【連載】関節をきたえるゴハンー「kitchen Dog!」南村友紀のハッピークッキング#11

「Kitchen Dog(キッチンドッグ)」代表の南村友紀さんは、ゴールデンレトリーバーと暮らす生粋のレトラバー。 Kitchen Dogは、犬の消化・吸収・代謝を考えて、安心安全な犬のゴハンを真面目に製造・販売する犬用食品ブランド。 さらに美味しさも追求しているため、多くの愛犬家に親しまれています。

レトと暮らし、さらに犬ゴハンのプロともいえる南村友紀さんの連載、第11回目!

足が痛い

レトリーバー,ごはん

前回はダイエットの話題を書きましたが、最近のバビちゃんはちょっと前足が痛いのです。

 

小さい頃に骨折した手指の、骨のかけらが今頃になって炎症を起こしているためと、関節炎がちょっとある感じ。

 

体重が軽いにこしたことはないので、本格的にダイエットをした方が良いですね。

 

関節炎対策

・脚をひきずる

・起き上がり方がぎこちない

・歩くのをいやがるまたは、歩くのが遅くなった

・階段を登りたがらない

・動作が鈍くなった

・ジャンプしなくなった

・遊ばなくなった

・なんとなく元気がない

 

などの症状が出てきたら、関節炎かもしれません。

 

単なる老化現象だと思われ、見過ごされがちですが、早めに見つけて痛みを取ってあげたいものです。

 

関節炎の原因

レトリーバー,ごはん

原因は様々です。

 

・遺伝

・運動不足

・運動過剰(ドッグスポーツ)

・幼少期の栄養素の過剰や欠乏

・肥満

・幼少期の避妊や去勢の手術

・ワクチン接種による免疫系のかく乱

(ワクチン接種により生産される過剰な活性酸素が骨の軟骨を傷める、これも変形性関節炎の原因の一つと考えられています)

 

などなど。

 

遺伝ということでは、母犬の食事に栄養に問題があったとか、添加物等によるアレルギーが関節炎の原因になるという説もあります。

 

亜鉛欠乏により、免疫力が低下し、タンパク質やコラーゲンができにくくなるなどの食事性因子も考えられます。

 

もちろん、ミネラルの過剰または不足もですね。

 

ストレスによるビタミンC不足…のストレスとは、例えば親犬との早期隔離、ペットショップでの展示、新しい環境、しつけ、ワクチン、ノミダニ予防薬などが考えられます。

 

股関節形成不全の犬に、90mg/bw のビタミンCを6ヶ月投与の結果、一週間以内で71%が改善、29%はある程度改善、6週間後には関節病、脊髄炎が改善したというデータもあります。

 

活性酸素が関節と靭帯の炎症に関与していて、抗酸化作用により改善したと思われます。

 

さらにビタミンCは、コラーゲン生成に必須なので、より改善があったのかもしれません。

 

炭水化物が多いフードで変形性関節疾患になりやすい=活性酸素の製造=関節の損傷…という図式を見せられてしまっては、低タンパク質のフードで股関節形成不全を起こしやすいのか! と驚きますね。

 

食べ物で改善できるものなのか?

レトリーバー,ごはん

関節軟骨は、関節のクッションのような働きをしています。

 

この軟骨がすり減って痛みが出るので、軟骨を作る食材を食べることで改善できたら儲けものです。

 

とはいえ、関節炎については、食事でこれがベスト!というものがありません。

 

なぜなら、関節や骨には血管がないので、栄養をダイレクトに運べないからです。

 

一旦食べたものが消化吸収されてから、TGF-β、骨形成タンパク質などの成長因子を通じ、軟骨の再生を促すのを待つのです。

 

関節の周囲に存在するからといって、ヒアルロン酸やコラーゲンを一生懸命食べたとしても、その場所にそれらが到達するとは限りません。

 

なぜなら、消化の段階で他のタンパク質と同じようにアミノ酸に分解され、体内で再合成されなければならないからです。

 

大切なことは、関節を形成する軟骨成分の材料補給と、関節に負担をかけないための体重コントロール。

 

どちらも毎日の食事管理が大切ではあります。

 

体重コントロールには、ストレスを軽減するために脂肪燃焼を促すL-カルニチンを多く含む食事にすることで太りにくくするなどの工夫ができます。

 

食事で工夫できること

レトリーバー,ごはん

徐々に進行してしまうので、

 

・痛みや炎症をコントロールする

・可動性を増加させる

・関節の破壊進行を防ぐ、または遅らせる

・軟骨の修復を促す

 

というようなことが目標です。

 

毎日のゴハンでせめてものできることってどんなことだろう?

 

ウナギ、雑穀ごはん(玄米6:小豆2:はとむぎ2)、セロリ、グリーンアスパラガス、リンゴ酢、鶏手羽骨、ラムの首の骨、他の軟骨成分、なまこ、山芋、干しエビ、鶏軟骨、オクラ、きのこ、イカ軟骨、フカヒレ、ヒラメ、鶏皮、納豆、なめこ、フカヒレ、クルミ(クルクミン)、うこん、アブラナ科の野菜(MSM)、ナッツや種子(MSM)、卵(MSM)

 

などを積極的にとれば、ちょっとは助けになるかもね?

 

避けたい食材は、イースト、乳製品、茄子科の野菜(じゃがいも、トマト、ピーマン、茄子などソラニンを含む食材を生で食べない・加熱すればOK)、小麦、トウモロコシなどです。

 

サプリなどではどんなものが効果的なんでしょうか?

レトリーバー,ごはん

・補酵素Q(CoQ10)

・SOD

・ケルプ

痛みを和らげる。骨に必要なミネラルを含む。ヨウ素を含む。

 

・グルコサミン

軟骨の摩滅が抑えられ、再生と修復を促す。また、痛みや炎症を和らげる。 

 

・コンドロイチン硫酸

軟骨に水分を吸収する、関節の円滑性を保つ、骨と骨の接合部分にある軟骨(結合組織)を破壊する酵素をブロックする、年老いた動物の関節炎に効果的

 

※グルコサミンとコンドロイチンはセットアップで力を発揮します。

 

ただし、グルコサミンなどのサプリは、効果が現れるまでに4から8週間かかります。

 

また、若いときに長期間グルコサミンを摂取し続けると、自然な軟骨再生力が低下する可能性があります。

 

(天然由来の成分の物が良いですが、犬が普段食べない貝類甲殻類等の成分から作られることが多いため、まれにアレルギー反応が出る恐れがあります。)

 

・MSM(メチルサルフォニルメタン)

グルコサミンとのコンビネーションで効果を発揮する。天然有機体硫黄のことで、関節、筋肉などのコラーゲンを含む結合組織の構造と柔軟性を維持するのに重要な役割をする。胃もたれ、下痢などの副作用の可能性がある。

 

・ミドリイガイ

オーストラリアなどの水がきれいな海域で採れるものをおすすめ

 

・クルクミン

くるみや秋ウコンに含まれている成分。

 

・非変性Ⅱ型コラーゲン

美容的に保湿成分として知られているコラーゲンはⅠ型というもので、関節痛・リウマチにいいという軟骨に働きかけて補修・保護をしてくれるのがⅡ型とされているものです。Ⅱ型のコラーゲン(UC2:非変性Ⅱ型コラーゲン)には、加熱すると思うように効果が得られなくなってしまうという特徴があるので、サプリか生で摂るのが望ましいです。手羽先、鶏ガラ、豚肉、豚足、鶏皮 なるべく生で。

コラーゲンはアミノ酸に分解され、吸収されて体内でビタミンCの助けを借りて、再度構成される。

 

・ヒアルロン酸

関節の動きを良くするための関節液に多く含まれ関節の動きをスムーズにしています。関節を動かしたりするときにかかる衝撃をやわらげるなどの役割を果たしている関節軟骨や半月板の構成成分でもある。

 

・ケイ酸

スギナに多く含まれている成分です。消化管からのアルミニウム吸収を抑制し、腎排泄を促進すると言われています。

 

・EPA/DHA

主に魚に含まれる脂肪酸が炎症を抑える。

 

・硫黄

骨や結合組織の修復に働く(卵、アスパラなどに含まれる)。

 

・ブロメライン(パイナップル

タンパク質を分解し、炎症を抑える。

 

セロリがすごい!

レトリーバー,食事

Nattika/shutterstock

そして、本日のオススメはなんといってもセロリなのです。

 

セロリには…
・腎血管拡張作用があるので、不純物や過剰な水分の排出を促し、重要な機能の均衡を保ちます。

 

・胆石と腎臓結石といった結石を自然に排出する効果があります。肝疾患にも非常に効果的です。

 

・日常的に食べると血中コレステロール値が顕著に下がり、尿酸を排出し、心臓病と高血圧を予防できるので、 循環器系疾患に効果があります。

 

・フラボノイド成分が含まれており、関節疾患の治療にお勧めです。フラボノイド抗炎症作用と抗酸化作用があり、免疫力を高めます。そこにケイ素が加わったら、関節と結合組織をさらに強化できるかも。

 

・痛風、リウマチ、関節炎の症状が大幅に緩和されるでしょう。前述の通り、疾患の主な要因である尿酸を排出する働きがあるからです。

 

セロリすごい! ぜひ普段からの食事に使ってあげてくださいね。

 

最近のバビちゃんのゴハン

レトリーバー,ごはん

 

3種類のお肉と薩摩芋、キャベツやニンジンのコールスロー

レトリーバー,ごはん

 

3種類のお肉はこんな感じ。豚肉、牛肉、合挽だったり、鶏胸肉が入る日もあれば、ラム肉を使う日も。

 

ニンジンはジューサーでジュースと搾りかすに分け、どちらも投入。

レトリーバー,ごはん

 

野菜は根菜ならよく火を入れて柔らかく、葉野菜ならばフレッシュな状態でできるだけ超みじん切りに。フードプロセッサーなどを使うのが楽です。

レトリーバー,ごはん

 

ラム、鶏胸肉、薩摩芋、カブの葉などに亜麻仁油とカルシウムを加えています。

レトリーバー,ごはん

 

この日は鶏肉と豚肉、キャベツはさっと湯がいてシュウ酸を落とし、フードプロセッサーでみじん切りにしています。薩摩芋の代わりに白米も添えて。

 

南村友紀 プロフィール

レト 2001年に犬のためのビスケット&デリカテッセンショップ「キッチンドッグ!」をオープン。手作りごはんに悩む飼い主さんたちを正しい知識でサポートしながら、「愛と幸福とおいしいゴハンを!」をモットーに活動している。

お料理教室も大人気!

http://www.kitchendog.jp/

 

 

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