2020年3月11日16,309 ビュー View

レトリーバーの多頭飼いは、病みつきになる楽しさ!同時に「かなりの覚悟」も必要なのです。

犬の飼育頭数は減少しているとのデータがあるものの、多頭飼いをする人はだいぶ多くなったという印象を持っています。かくいう私も14年ほど前から多頭飼いを続けており、2頭の犬たちとの暮らしは幸せそのもの。でも実は、心から大変だと思うことも多くあります。「楽しそう」だけではすまない多頭飼い、あなたならどう考えますか?

金銭的な負担が増大

Mikhail Sedov/shutterstock

 

これは容易に想像できることですよね。

 

「固定費」と言ってはなんですが、食事や予防接種など必ず必要となってくるお金は単純に倍になります。

 

食費についてはどれくらいかけるか家庭によって差が出てきますが、レトリーバーのような大型犬なら1頭でもかなりの金額になるはずです。

 

多頭飼いになったから食事の質を下げるなんてことはあってはなりませんから、2頭になれば単純に倍かかる計算です。

 

予防接種や健康診断といった1年に1度程度のものから毎月必要なフィラリアやノミダニの薬も、大型犬になると高額ですからスルーできません(泣けてきますよね)。

 

そしてずっと健康そのもので病気知らずであれば良いですが、少なくともシニアになれば多少の医療費はかかってくるものです。

 

病気はいつだれがなるかわからないので、「一度に病気になって高額な治療が必要になったら?」と考えるとそのためのお金は常に準備しておくことが大切だと思います。

 

多くの時間と体力が必要

Utekhina Anna/shutterstock

 

犬たちが仲良くなって一緒に遊ぶようになるとその姿を見ているだけで私たちは幸せを感じることができるものです。

 

ガウガウしたり、走り回ったり、ワンプロしたり、仲良くお昼寝したり…。

 

ただ、犬というものは「飼い主と遊びたい」ものなのですよね。

 

「お願い、今忙しいからふたりで遊んでて!」と言ったところで「ヤダ! ママ(オーナーさん)と遊ぶ! 遊ぶ!」と駄々をこねて収集がつかなくなることもあります。

 

そしてそういうときは1対1を望んでいるので、かかる時間は2倍。

 

「多頭飼いしたら一緒に遊んで私が楽になると思ったんだけど」という言葉を良く耳にしますが、犬同士遊ぶのとオーナーと遊ぶのは、犬にとって別腹と覚えておきましょう。

 

遊ぶ時間だけでなく、いつものお散歩もかかる時間は長くなります。

 

「え? 一緒に行くんだから同じでしょ?」と思ったアナタ、甘いです(笑)。

 

思い出してみてください。

お散歩のとき、排せつや臭い嗅ぎ、寄り道に時間を取られていませんか?

 

そのタイミングは1頭1頭違うので、やはり2倍。

もし2頭をひとりで連れて歩くのだとしたらそれ+αです。

 

1頭がトイレをしている間にもう1頭も見ていなければならず、始末をしている間は2頭をしっかりコントロールしていなければなりません。

 

「うちは外でトイレも臭い嗅ぎも絶対しないし、完璧にコントロール出来ているわ!」という方以外は確実に当てはまると思ってくださいね。

 

雨の日だったらこれまたかなり大変ですから。

 

そして2頭いっぺんは私には無理、となったらお散歩にかかる時間は単純に2倍です。

 

心配が多くなってへとへとに

Anna Goroshnikova/shutterstock

 

私がこれ以上多頭にはできない、と思う大きな理由の一つがこれです。

 

金銭的なことや時間的なことはある程度頑張ればいいと思えますが、気持ちの問題はクリアするのがとても難しいのです。

 

特に自他ともに認める小心者で心配性な私は、犬たちにちょっとの変化が見られただけで気持ちがざわざわしてしまい、病気にでもなろうものなら自分の方がどんどん痩せていく始末です(それ以外では全然痩せないのに)。

 

心配する気持ちは伝わるからしっかりしていようと思っていますし、そう見えないようにできているつもりですが、実際は頭の中が真っ白になって何も手につかないことがあるのです。

 

特にRubyを失くしてからはそれが強くなってしまいました。

 

これがトラウマというものなのかわかりませんが、頭だけで理解していたものが現実になった経験をしたせいで「必ずその日はきてしまうのだ」という恐怖が心の奥底にあるのだと思います。

 

私の場合は極端かもしれませんね。

 

それでも生き物と暮らしていれば心配事はかならずあるもので、やはり多頭飼いになればその頭数分だけそのストレスを抱えなければならなくなります。

 

1頭が体調を崩す(下痢など比較的軽度なもの)が年に3回だとしたら、2頭で年6回、もし4頭いたら12回。

 

めちゃくちゃざっくりした計算ですが、そうなれば毎月1度の頻度です。

 

こんな計算をしてしまうほどの神経質な私ですから、その時の自分が陥るであろう精神状態を考えると自分にはこれ以上の多頭飼いは向かないと思うのです。

 

犬たちの心の問題にフォーカスしてみる

BIGANDT.COM/shutterstock

 

犬は本当に多頭飼いで幸せなのか?

 

私にとって答えの出ない疑問です。

 

Rubyと私はRoccaを迎えるまでの12年間でとても親密な関係を築き上げました。

「わたしとあなた」がひとつであるような、そんな関係でした。

 

それはRubyと私の性格や相性によるものでしょうけれど、あの12年間がなかったら私たちの関係はちょっと違っていたのかもしれないとも思っています。

 

今、共に暮らすRoccaとRepettoは我が家に来た時から先住犬がいる生活です。

 

私との関係性はその時点でRubyの時とは違っています。

 

「お留守番の時は1頭で残していくより2頭のほうが寂しくないよね」

「やっぱり犬同士遊ぶのは楽しいよね」

 

そんな風にも思いますが、犬という動物を知れば知るほどわからなくなってくるのです。

 

もしかしたらオーナーとだけ強固な絆を結べれば他の小さな幸せなどいらないのではないか、と。

 

そしてこれは前出の「時間」の問題とも重なりますが、1頭1頭に向き合う時間を多頭になっても変えることなく維持できるかを考える必要もあると思っています。

 

時折「愛情が分散してしまわないか」という質問を受けることがありますが、その点に関しては「全く心配いらない」とお答えし、「それぞれにかけられる時間は分散するかもしれない」と付け加えさせていただいています。

 

特に体調が悪い子やシニアがいたりすれば、どうしてもその子に使う時間が多くなります。

 

声をかける回数やスキンシップの回数も変わってしまうでしょう。

そんな時、他の子は我慢するしかないのです。

 

我が家の犬たちはあまりわがままを言わないので、こちらが気付いてあげないとその我慢に甘えてしまうことがあります。

 

つい先日もRoccaが体調を崩し(大した事ではなかったのですが)、私は心配でRoccaのことばかり気にしていました。

 

時折「ハッ」と気付きRepettoを呼び寄せてお話やスキンシップをしたのですが、きっと寂しかっただろうと思います。

 

有事の際に守り切れるか

Kyla Metzker/shutterstock

 

自然災害の多い日本。

 

大型犬がいる状況での被災は厳しい状況を強いられると予想できますので、防災についての意識は皆さん高く持っていることと思います。

 

「避難所には入れない前提で、車で寝泊まりできるように準備している」

そうおっしゃる方も多くいらっしゃいます。

 

私も避難所に行くことは難しいのかもしれないと思い、そのために何をどうしたらいいのか考える日々です。

 

どのような災害なのかによって、行動は変わります。

 

「車で寝泊まり」の前に一旦どこかに逃げなければならないかもしれません。

というか、その可能性の方が高いと思いませんか?

 

記憶に新しい昨年の豪雨災害、あのような状況で「逃げない」という選択は正しいとは思えないのです。

 

そうなると「犬を連れて逃げる」という問題に直面しますよね。

 

何頭までならそれが可能でしょうか。

 

家族構成や家の立地などそれぞれですからそこは自分自身で判断するしかありませんが、私は「ひとりの時に被災したら」と考えるとかなり不安です。

 

その不安を少しでも解消するために、そして大切な命を守るために、もっと防災の知識をつけたいと思っています。

 

じっくり考えて決めれば後悔はない

manushot/shutterstock

 

今回は楽しくない話ばかりでごめんなさい。

多頭飼いはとても楽しいですし、幸せなことがたくさんあります。

 

ただ、みんながそうしているからとか、見た感じ楽しそうだからとか、そういう気持ちではして欲しくないなと思っています。

 

私自身も常に迷いながらの犬との暮らしです。

 

いつも思うことですが、しっかり考えて決めたことであれば結果がどうであれ後悔はしないはずです。

 

多頭飼いについても同様だと思っていますので、それぞれの考えとライフスタイルに合わせて決めてくださいね。

 

私も多頭ライフをこれからも楽しんでいきます!

 

 

執筆者:Roco

『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。

撮影・執筆の他、写真のレッスンも行う。

フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは15歳2か月で虹の橋へ。 現在の愛犬はトイプードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。

子供の頃からの夢は「ドリトル先生になること」

 

 Facebook:Roco ~LoveLetters~ 写真と言う名のラブレター

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