クローン技術で誕生したラブラドールレトリーバー「ジギー」~議論を呼んだ理由とは~
アメリカ在住のライター・Ayaがおくる、ペット先進国アメリカならではのペット事情。
今回は、アメリカのカリフォルニア州に住むカップルが、5年前に亡くなったラブラドールレトリーバーの“クローン犬”を誕生させたニュースについて。
クローン技術が発達した現代、ペット先進国アメリカならではの用い方と、その議論についてまとめています。
アメリカにおけるレトリーバー種の人気

Michael Papazissis/shutterstock
大型犬が好まれるアメリカにおいて、レトリーバーは最も人気の犬種です。
特に、ラブラドールレトリーバーはアメリカン・ケンネル・クラブが発表する国内人気犬種ランキングで堂々の一位を5年以上維持しているほどの人気ぶり。
ちょっと街を歩くだけでも、ラブラドールを目にしない日はありません。
ラブラドール2頭や3頭を同時に散歩させている人に出会うこともしばしば。

hedgehog94/shutterstock
犬を家族同然に扱うアメリカにおいて、知的で人間に友好的なラブラドールは、一緒に暮らすパートナーとして選ばれやすいのでしょう。
こうした背景から、ラブラドールのクローン犬誕生のニュースは、アメリカに住む人たちの注目を集めているのです。
クローン技術とは

Gardinovachki/shutterstock
クローン技術とは、もともとの生物と同一の遺伝子をもった生物を再生産する技術のことです。
1996年に英国で誕生したクローン羊「ドリー」のニュースを目にした人も多いでしょう。
当時、クローン羊誕生のニュースは、家畜の生産性をあげることができるという肯定的な声があった一方で、ヒトへの応用に危機感をもつ意見もあがりました。
クローン技術にともなう倫理的な問題はいまだに議論され続けています。
しかし、実際には、クローン技術はペットへの応用まですでに広がっているのです。
愛レトの“クローン犬”を誕生させた、アメリカのカップル

Maridav/shutterstock
カリフォルニア州在住のアリシアとディビッドは、ラブラドール・レトリーバーの「マリー」と暮らしていました。
愛犬マリーが亡くなる時、マリーを生かし続けなければと思うようになりました。
そして二人は、アメリカにあるペットのクローン会社『ViaGen Pets』に依頼することに。
現在、ViaGen Petsが求める価格は5万ドル(およそ550万円)を超えると言われており、決して気軽に依頼できるものではありません。

Africa Studio/shutterstock
アリシアたちはインタビューの中で、マリーは生前にアリシアと当時お腹にいた赤ちゃんの命を救った過去があること、またアリシアらの子供たちにとって、一緒に育ってきたマリーは単なる思い出以上ものであることを挙げ、クローンを選択したことがその時の最良の方法であったと語りました。
二人によれば、新たに誕生したジギーは、マリーと同じ性格で、同じように遊び、同じおもちゃを好むといいます。
このニュースがアメリカで議論を呼んでいる理由とは?

Syda Productions/shutterstock
アメリカは動物の権利や動物愛護の意識がとりわけ高いことで知られており、ペットに人間同様の愛情を注ぐ人が多いのが特徴です。
アメリカでは、ペットをペットショップで買うことはほとんどありません。
動物を飼おうと思ったら、必要な審査を経て、保護施設から譲り受けたりブリーダーや知人を通して購入するのが一般的。
ペットは人間同様に家の中で暮らし、飼い主は子どもを育てるのと同じようにペットに惜しみなく医療費や食費を費やします。

Sofia Apkalikova/shutterstock
日本でも、ショッピングセンターや旅行先など、さまざまな場所でペットを連れた人を目にするようになりましたが、アメリカでは、地域差はあるものの、航空機の中(飼い主の同じ座席)や大学の教室内など、日本ではお目にかかれない場所で動物を連れた人を見るのも珍しくありません。
ESA(エモーショナルサポートアニマル/精神的支援動物)をはじめとして、アメリカ社会は、動物が人間にとって家族や人生のパートナーになりうることを認め、その人の日々の生活になくてはならない存在として様々な場所に同席することにとても寛容です。
しかしその一方で、人間と動物の関係が深まるにつれて起こってきた、動物の扱いに関わる問題に批判も集まっています。
問題と批判

Jaromir Chalabala/shutterstock
最近では、ペットを愛しているが故に、自分が死んだら愛犬を一緒に埋葬してほしいと遺言を残して亡くなった飼い主のため、健康だったにもかかわらず安楽死させられ、遺言通りに飼い主とともに埋葬されたペットのことがアメリカでニュースになりました。
また、動物を人間のパートナーとみなすことは、公共の場への入場を許可する「動物」の境界をどこに設定するかという問題とも関わってきます。
アメリカでは実際に、搭乗者が、他者に恐怖を与える可能性がある動物や躾が不可能な種類の動物をESAであると主張して航空機に同乗させる事案が出ています。
ペットのクローンもそうした問題の一つでしょう。

Bakus74/shutterstock
クローンを依頼する目的のほとんとが、愛犬や愛猫を蘇らせたい、そして愛犬や愛猫ともっと長く一緒にいたいというものです。
クローン技術を利用するかは別にして、その想いに共感する人は多いでしょう。
おわりに

Parilov/shutterstock
家族として人生を共にし、人間の家族同様に思い出を共有する存在でありながら、動物たちの命は概して人間より短く、いずれ別れを経験せねばなりません。
ペットのクローン技術は、飼い主にとって受け入れがたい運命に対して救いを提供するビジネスとして次第に広がっています。
しかし、人間の一存で動物の命を操作することへの抵抗や批判も同時に生んでいます。
ラブラドール・レトリーバー「ジギー」のニュースは、アメリカの人間と動物との深い関係性とそれに起因する社会問題の両方を映し出しています。
※写真は全てイメージです。
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