【取材】車椅子散歩が生きがいの18歳。12歳で突然襲った前庭疾患、そのとき起きた奇跡とは… #1 COCO
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリーバーたち。そこで10歳を過ぎたレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリーバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリーバーの肖像』です。
記念すべき第1回目は、なんと18歳(取材時)になる黒ラブのCOCOちゃん。車椅子でのお散歩や年下の相棒と過ごす穏やかな暮らしの中には大型犬ならではの苦労もあり、その大変さも含めての“愛しい日々”をオーナーさんに伺いました。
目次
COCOちゃんのプロフィール
年齢・性別
18歳の女の子
体重
16kg(若い時は25kg)
大好きなこと
若い頃はボール大好きで永遠にボールで遊ぶほど。食べることが好きな甘えん坊。長寿犬として2度表彰されたことも!
既往歴
・10歳の時にはチョコレートをこっそり食べて中毒になり2日間入院した経験が。
・12歳で前庭疾患と診断されるも数回の通院で症状が収まる。
驚くほどヤンチャな時代を経て、COCOが手に入れた穏やかな日々
優しく落ち着きがある性格だけれど、大抵どの子もパピーの頃は大変ヤンチャだというのもレトの特徴。
オーナーさんの一人娘の“妹に”と迎えられたCOCOちゃんも同様で、5歳までは留守番させて帰宅すると「泥棒が入ったのか!?」と思うほど家中を荒らすお転婆だったそう。
ママさんにCOCOちゃんの出会いから振り返ってもらいました。

小さい頃の娘さんとパピーのCOCOちゃん。二人は本物の姉妹のように育ちました。
「ネットで見つけたCOCOに一目惚れ。
九州のブリーダーさんから迎えたため、ドキドキしながら羽田空港に迎えに行ったことを鮮明に覚えています。
COCOは胸元にミスカラーがあったため他の子より安い値段をつけられていたけれど、逆にそのワンポイントが気に入り特別な存在に感じました。
もともと健康だったのか、避妊手術以外の手術経験もなく、12歳までは病気らしい病気とは無縁。
ただ、今もですがとても食いしん坊なので、若い頃はチョコレートを盗み食いして入院したり、生米を5kgも食べてしまうなど、食べ物にまつわるトラブルは時々ありましたね」(ママさん。以下「」内同)。
そんなお転婆娘も、10歳の頃を境に、耳が遠くなり始め少しずつ老化が始まりました。
「2年前からは後ろ足が弱り、現在はほぼ寝て過ごしています。
でも歳を重ねるごとに穏やかで優しい性格に磨きがかかり、今はゆったりとした毎日を過ごしていますね」
覚悟を決めた前庭疾患を乗り越え、年下の相棒の登場で再び気力が!
病気知らずのCOCOちゃんに異変が訪れたのは6年前、12歳のときのこと。
朝起きた時に眼振があり、歩くのもフラフラ状態だった姿に驚き、急遽病院へ連れて行くと…。
「前庭疾患と診断されました。今までピンピンしていたCOCOの突然の変化に驚き、正直これはもうダメかと覚悟を決めました。
結局、投薬などを中心に、3回の通院で症状はおさままったのですが、娘とは姉妹同然、私にとっても子供のような感覚で暮らしてきたCOCOがいなくなることがとにかく怖かったです。
そこで“ペットロスにならないように”と、その時トイプードルの福を迎えました。
いざ福がやってくると、COCOちゃんに驚きの変化が。
「パピーの福に刺激を受けたのか、みるみるCOCOが元気を取り戻したんです。
福はCOCOに遊んで欲しくて仕方なく、最初は福に戸惑っていたCOCOも、持ち前の穏やかさですんなりと受け入れましたね。
その頃から福は寒いとCOCOの上に乗っかって暖を取っていて。
おばあちゃんになったCOCOにも遠慮せず乗っかって寝ているので、“ちょっとは遠慮してあげて”とこっちが思うくらい(笑)。
ですが、きっとCOCOはお姉さん気分で受け入れているんでしょう」。
加齢による後ろ足の弱りをカスタム車椅子でサポート
気候がいい日には時々お散歩に出るCOCOちゃん。
思うように歩けなくなった時、散歩好きなCOCOちゃんのためにと購入した車椅子が、彼女のハイシニアライフに喜びをもたらしました。
「ここ2年くらいの間で加齢のせいで後ろ足が弱り始め、ウンチをする時に踏ん張りがきかず尻餅をつくようになりました」
後ろ足こそ徐々に動かなくなると言われていたものの、まだ前足には力があり元気だったので、犬用の車椅子を試すことに。
「ネットで調べると近くにお店があったので、COCOを連れて行き、最初のひと月はレンタルで試しました。
はじめはうまく歩いてくれるか不安でしたが、そこは散歩好きなCOCO。
車椅子を装着して外に出かけると、目がキラキラと輝くんです。
もう一度歩ける喜び、嬉しさが表情に溢れていて、それならと専用車椅子を購入しました。
車椅子はサイズで選べる既製品ですが、お腹が当たる場所に柔らかな布を当てるなど、よりCOCOが快適に使えるよう夫がカスタマイズしています。
今も晴れた日の暖かい時間帯には、彼女の状態を見ながらお散歩に連れ出すんですよ」。
散歩という生きがいを取り戻したのも、COCOちゃんの生きる力になっているのでしょう。
大型犬ゆえの苦労はトイレ。でも大変ゆえに愛しさもひとしお。
現在は主にリビングで過ごすCOCOちゃんは、後ろ足が不自由なため自分で寝返りできず、トイレにも行けない状態。
若かりし頃に比べると体重が減ったとはいえ、今も16kgある彼女の介護はやはり大仕事です。
「介護で大変なことはやはり排泄です。寝たきり状態なのでおしっこやウンチも寝た状態のまま。
そのため、しょっちゅうお尻を洗う必要があるんです。
大型犬なので、私一人でシャワーに運び、お尻を洗って…というのが1番の力仕事。
できない時は人間の介護用のお尻洗浄液を薄めて拭くなどで対応しますが、やはり大型犬介護の大変さを実感しますね。
まだ立てていた時はオムツをしていたこともあるけれど、COCOはオムツが苦手で脱ごうとしていました。
ほぼ寝たきりとなったこの半年くらいは、寝ている場所の下にトイレシートを敷き詰めています」
介護生活では、そのほかのお世話も。
「一人で起きて水が飲めないので、2〜3時間ごとにお水を顔のそばに持っていって飲ませています。
こう聞くと大変さが目立つように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。
体が動かないぶん、表情が豊かになって、介護したり話しかけると、瞳をうるうるさせて目で喜びを語るんです」
そんなCOCOちゃんを見ると、ママさんはたまらなく愛おしくなるんだとか。
また、喜んでくれる彼女のために、どうやったら快適に過ごせるかを真剣に考えるようになったそうです。
甘々でストレスフリーなのが長寿の秘訣?

18年の歳月が過ぎ、娘さんはこんなに大きくなりました。
食事はパピーの頃から年齢に合わせたドライフード、おやつは煮干し、特にサプリなどを与えたことはないと話すオーナーさん。
ですが、よくよく聞くとCOCOちゃんのライフスタイルにこそ長生きの理由がありました。
「長生きの理由は...しいて言うならストレスの少ない生活でしょうか。
パピーの頃から何でも娘と一緒で、いつも自由にさせていました。とにかく甘かった(笑)。
それに旅行時などは私の母が家に来て世話をしてくれたり、今は夫が毎晩COCOの隣で寝ています。
特に介護が必要になってからは長い留守番をさせることもなく、なるべく我慢をさせず負担をかけないように心がけていますね。
あと、認知症予防のためにもとにかく話しかけたり、足をマッサージするなど、スキンシップとコミュニケーションをたくさん取るようにしています。
今までは人間の食べるものはあげていなかったけれど、食べるのが大好きなCOCOが少しでも食を楽しめるよう、最近はアイスクリームや焼き芋などをお裾分けすることもあるんです。
この年になると、望むことは我慢させず何でもしてあげたいなって。
あと私がズボラな性格なので、あまりきっちり色々なことにこだわらなかったのが逆に良かったのかもしれないですね」
取材中、ママさんの横に寝そべるCOCOちゃんは終始穏やかで幸せそう。
年齢を重ねると体が思うように動かせなくなったりするけれど、その大きな背中いっぱいに家族の愛を受け、満ち足りた日々を満喫しているようでした。
ママさんの今の目標は、COCOちゃんと福くんに毎年着せているという、お揃いの桜色のボーダー柄ウェアを着せて今年もお花見に行くことだそう。
今年も、そしてその次も、あの可憐な薄紅色の花びらがCOCOちゃんに舞い降りますように。
取材・文/横田愛子
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