【取材】19年間大病なし!野生のキツネ・コンちゃんを散歩友達に持つ19歳のスーパーレジェンド!#16ラム
平均寿命が10〜12歳と言われる大型犬のレトリーバーたち。しかしそんな平均を物ともせず、年齢を重ねても元気なレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレトリーバー”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトリーバーの肖像』です。今回登場するのは、19歳3か月という驚異的な年齢まで大病知らずだったラムちゃん。野生のキツネ親子さえ虜にしてしまう、すごい魅力の持ち主です!
ラムちゃんプロフィール
年齢・性別
19歳3か月の女の子(2003年3月14日生まれ)
体重
17kg(成犬時でもMax25kgのスリム体型)
大好きなこと
散歩
既往症
2020年に大きく体調を崩し(原因不明)、「余命3日」と告げられるも、劇的に回復。それ以外に19年間大きな病気はナシ。
仕事を辞めラムちゃんとの時間を大切に…
ラムちゃんとラムちゃんオーナー・Sさんの出会いは、今から19年前。
事情があって飼えなくなってしまった知り合いの友達から、まだ生後半年未満だったラムちゃんを引き取りました。
当時は営業職で仕事で忙殺される日々。実家がある兵庫県から大阪や名古屋への転勤もありましたが、その度にラムちゃんも一緒に連れて行きました。
「でも、毎日朝から晩まで仕事といった感じで、お留守番ばかりさせていて。正直、なかなか構ってあげられませんでしたね」(ラムちゃんオーナー・Sさん=以下「」内同)
それでもラムちゃんは、毎日おりこうにお留守番をしてくれていたそうです。
そして、時が経ち、ラムちゃんが15歳になった2018年。Sさんは大きな決断をします。
「ずっと狭い家の中にいさせるのがかわいそうだと思ったのと、2013年に白内障と診断されて目が“うっすら見えているかな…?”くらいの状態でお留守番をさせることに不安を覚えて、実家に戻ることにしたんです。
タイミング的には家族の事情もあってのことだったんですが、それはおまけみたいなもの。
ラムさんのために“実家に戻ろう”と思いました」
ご実家の兵庫へ戻ってからも仕事は続けていたため、相変わらずラムちゃんのお留守番の時間は長かったのですが、その翌々年の冬にまた大きな転機が。
「2020年の2月になってから、ずっと元気で病気ひとつしたことがなかったラムさんが大きく体調を崩して、食事も食べなくなったんです。
原因は分からず、病院では“3日ももたないだろう”と言われて…。
それで、ラムさんのそばに居ようと決心しました。
それまで仕事が忙しくてなかなかかまってあげられなかった罪滅ぼし的な気持ち、それも正直ありましたね」
最悪のことも覚悟しての決断でしたが、それまで与えていたドッグフード変えた途端、食欲が回復。
「あの体調不良はなんだったんだ?」というほど元気になったラムちゃん。危機を乗り越えました。
スーパーレジェンドの食事情
ここでパピー期からのラムちゃんの食事について振り返ってもらいました。
「家に迎えてから2020年(ラムちゃん17歳)までは、基本的にサイエンスダイエットのドライフードのみです。
大きく体調を崩して余命宣告をされた時には当然食欲がなかったんですが、サイエンスダイエットのウエットに変えたところ、突然食べ始めて体調を持ち直したのには驚きました。
その後、また食べない時期があって、2021年からはラシーネのレトリーバー用のフードに。
それでも食いつきが悪い時は、ペリグリーチャムのチキン味やビーフ味のペーストをかけて与えていましたね」
食べムラが顕著になりがちなシニア期には、ドライフードをお湯でふやかしたり、レンジでチンしたり、食べやすくするためのひと手間も。
「でも、食事に関しては特に気をつけていたことはないんですよ。
昔、実家で飼っていた犬には人間の食べ残しやごはんに味噌汁をかけたものを与えたりしていて。
それで短命だったわけではないんですけど、そういうのは与えないほうがいいっていうのは耳にしていたので、カロリーや塩分のことも考えて人間の食べ物だけは与えないようにしていたくらいです。
野菜やササミなどをトッピングしたりすることもありません。ドッグフードは総合栄養食なのでとくに必要ないかな、と思っていました」
歯のケアも特にしていなかったそうで、「おやつに歯垢が取れるガムを与えることがあったくらい」でしたが、19歳を超えてもごはんを食べられるくらいの歯は残りました。
生きていくうえでは欠かせない“食べる意欲”があることも長寿へ繋がったと考えられます。
スキンシップとストレスフリーな環境が長寿の秘訣
ラムちゃんと過ごす中で、Sさんが心がけていたことがいくつかあります。
「忙しくても、なるべく体を触ってあげる時間を持つこと。要は、スキンシップです。
お留守番ばかりでご機嫌がななめの時もそれでご機嫌がなおることもありましたし、体を触ってあげることで“あ、こんなところにイボができてる”と気づいたこともありました」
とくに体の自由がきかなくなったり、目が見えづらくなったシニア犬にとっては、オーナーの温もりが何よりの癒し。
スキンシップで不安やストレスを取り除いてあげることは大切です。
「そして、これは実家に戻ってきてからのことになりますが、もうひとつ心がけていたのが、自力歩行ができなくなってからもひなたぼっこやカートに乗せてお散歩に連れて行くこと。
太陽の光を浴びさせたり、外の新鮮な空気や風を感じさせてあげることは欠かさないようにしてきました」
2018年にラムちゃんと戻ってきたご実家は、自然豊かな兵庫県の丹波篠山。
当時はまだヨタヨタしながらも自力で歩けていたラムちゃんは、人気のない近所の山のふもとでリードをつけずに歩くことが大好きだったそう。
「長寿の秘訣を聞かれてもまったくわからなくて、あえて言うのであれば“構い過ぎなかったのがよかったのかも…?”ってくらいなんですが、自然に囲まれて、ストレスフリーな環境で生活ができるようになったのはラムさんと私、おたがいにとってすごくよかったと思います」
ホンドギツネとの不思議な交流
毎日のお散歩&ひなたぼっこでは素敵な出会いも!
「実家に戻ってきて1年くらいしてからですかね。ラムさんのお散歩に野生のホンドキツネがついて来るようになったんです」
Sさんはこのキツネを“コンちゃん”と呼ぶことに。
コンちゃんは毎日出て来て、お散歩について来たり、ひなたぼっこをただただ見守っていたり…。
ラムちゃんとの不思議な交流が始まりました。
「一番近づいた時でも1メートルくらいの距離があって、目が悪くなっていたラムさんには見えていなかったかもしれないけど、確実に気配は感じていて、コンちゃんが近づいてくると頭を持ち上げたりしていました」
SさんはInstagram(@re_ramkon2020)を開設し、その様子をアップ。
ある時から、コンちゃんの子供たちと思われる3匹も登場するようになりました。
においを嗅ぎ合うわけでも、じゃれ合うわけでもなく、微妙な距離感を保ったラムちゃんとホンドキツネたちの交流は見る者の心をくすぐり、名前を聞いたらビックリするような人気女優さんからも“いいね!”をもらったこともあって、現在のフォロワー数は4.1万人に!(2022年11月時点)
「コンちゃんと出会ったことでインスタを始めるようになって、それまで犬を飼っている方との交流の機会がなかったのが、インスタを通していろんなことを教えていただけるようになったんです。
それこそ、家の床にはマットを敷いて滑りにくくしたほうがいいとか、カートに乗せてお散歩に行くというアイディアもインスタで知りました。
それで初めて“飼い方”っていうのを気にするようになった気がします」
お別れは突然に…
穏やかな環境にあっても、愛犬の加齢&老化は止められないのが現実。愛犬の変化をSさんはどう受け止めていたのでしょう。
「できていたことができなくなっていくラムさん本人の葛藤が見えて心苦しい気持ちになりましたが、これは長生きをしてくれた証で仕方ない部分でもある。
私自身に不安みたいなものはあまりなかったですね。
それより“よくここまで頑張ってくれたな。もう十分だよ”って気持ちでした」
じつは、この取材をお願いした直後、ラムちゃんは19歳3か月で虹の橋を渡りました。
前日の夜まで変わった様子はなく、ごはんもしっかり食べていたとのことで、突然のお別れでした。
「“もう十分だよ”と思ってはいても、やっぱりショックでした。毎日添い寝状態で寝ていて、夜中にトイレに連れて行ったり、ちょっとした身動きにも気づいて目を覚ましていたので、この数年間は2時間以上連続で寝ていない状態だったんです。
でも、この日は寝入ってしまったようで、朝、私が目が覚めた時にラムさんはもう旅立ってしまっていました。“どうして、この日に限って…”と自分を責めましたね」
ただでさえ受け止め難い愛犬の死。24時間ラムちゃんに寄り添っていたSさんの悲しみがより一層深かったことは想像に難くありません。
「後ろ向きになっていた私を救ってくれたのが、Instagramのフォロワーさんからの“愛犬と自分が逆の立場だった時のことを考えてみてください”というコメントでした。
もし愛犬を遺して自分が先立ってしまったとしたら…、愛犬が悲しみにとらわれてずっとションボリしていたら…。
そう考えると、前向きに強く歩いて行こうと思えました。自分が未来へ向かって歩く姿、元気でいる姿がラムさんへの手向けになる、と信じて」
ラムちゃんが亡くなったことをInstagramで報告した直後から、「ラムちゃんとコンちゃんの交流を絵本にしてほしい」「写真展を開催してほしい」との声が全国から多数届いているのだとか。
「ラムさんが繋げてくれたご縁を今後も大切にしながら、ラムさんが生きた証を何か残せればいいな、と考えています」
ラムちゃんがお空に行ってからも、コンちゃんは毎日のように姿を現しているそうです。ラムちゃんが繋げてくれたご縁は、ここにも生き続けています──。
取材・文/永野ゆかり
★「#レジェンドレト」で投稿お待ちしています!
レトリーバーライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドレトを探しております!
12歳を超えたレトたちは、「#レジェンドレト」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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