私とRubyが経験したてんかん発作と副作用。治療とQOLの間で
ゴールデンレトリーバーのRubyがてんかん発作を起こし入院した日、私たちの日常は奪われました。関わったそれぞれはベストを尽くしたはずなのにRubyにとって良い方向にはならなかったのはとても残念なことです。けれどあの経験があったから得たこともあり、Rubyが残してくれた大切な教えだと思っています。
4日間の入院と思いもしなかった退院後の姿
Rubyが14歳半の時、てんかん発作を起こし4日間の入院をしました。
入院は心配でしたが、病院からは「元気にしています」と言われていたので私は症状が落ち着いて退院したらいつものRubyになって帰ってくると信じていました。
今考えると随分お気楽だったものです。
帰ってきたRubyは投薬の影響でふらふらになっていて、焦点は定まらず歩くのもおぼつかないという状況でした。
私は変わり果てたRubyの姿に落胆し、絶望さえ感じました。
今思い出しても胸が痛み苦しくなります。
Rubyは私たちがイメージするてんかん発作とは違う症状で、ひきつけ・涎・失禁などはなく、ただ急に立ち上がってウロウロしてそれが頻繁に起きるという行動異常でした。
その間は意識もはっきりしていないようでしたのでその行動は確かに私の目に異常に写りました。
それでもそれがてんかんであるとはその時は思いもしなかったのですが。
病院に連れて行くと、てんかんであること、症状が頻繁に起きているので入院させて集中的に治療したほうが良いということを告げられました。
14歳半のRubyにとって発作があまりに多く起きると命に関わると告げられたので、まずは発作を止めることが最優先となり、私も納得しました。
そして結果的に4日間の入院となったわけです。
退院後の治療と検査結果
退院してからも通院と投薬は続きました。
発作はもうありませんでしたが、また発作が出ないようにするために薬を止めることができない、そんな状況だったのです。
そしてふらふらになったRubyの状態は良くなる気配がありませんでした。
通っていた病院は分院がいくつかあり獣医師も多くいるところでしたので、そこで提案されたのが「専門の先生がいるからその先生に診てもらうのはどうか」ということでした。
私はそんな専門の先生がいるなら! とすぐに往診での診察をお願いし、週に1度、来てもらうことにしたのです。
往診では身体の状態を診て、多少のリハビリ的なことがあり、薬を決めるという流れでした。
その時には脳の病気だという前提での治療になっていました。
徘徊などの行動異常があることから、脳の構造的な疾患による発作ではないかという判断だったのです。
しばらくして脳腫瘍か脳炎の可能性もあることを告げられました。
病名をはっきりさせるため大学病院でCTやMRIを撮った結果、恐れていた脳の病気ではないということがわかり方向転換。
脳の病気の可能性を考えて飲ませていた薬は無くなりましたが、麻痺は残ったままでした。
症状を抑えることが病院の仕事
発作を止めること。
それが病院(先生)の仕事ですから、治療としては成功だったし間違いはなかったのだと思います。
でも、その結果RubyのQOLは著しく低下してしまいました。
最初に病院に行った時、命に関わると言われたことで私は冷静な判断ができなかったようにも思います。
また、それまでいくつかの病気をして手術も乗り越えてきたRubyなのだから今回も大丈夫、という気持ちもありました。
発作さえ止まればいつものRubyになって戻ってくるのだと。
この時の私はてんかんに関する知識はゼロと言っていいほどでした。
医療従事者でもなく、当時は今よりもずっと情報を得るのが難しい時代でしたから仕方ないことだったとは思います。
それでもそれは言い訳のように感じてしまうし、レトリーバーには多く見られる病気なのだからもう少し勉強しておけば良かったのではないか、もっと早く気づくことが出来たのではないかという不毛な考えが頭に浮かんでしまうことがあります。
QOLを維持したかった私の後悔
私は、シニアになったRubyが病気になった時にはQOLを最優先にしようと思って暮らしていました。
でも結果的にはそのQOLは維持できませんでした。
薬を飲むことが終わってしばらくしても弱った脚は完全には元には戻らず、その姿を見ると申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
あの時の私の判断がRubyをこうしてしまったのだと自分を責めていました。
その病気の専門家の先生に診てもらうということの難しさも痛感しました。
全体を診るのではないため「その症状は抑えてくれるけれど、その結果他に影響が出ることがある」という残念なことになってしまったのです。
Rubyのことで言えば、発作を抑え込んだ(専門家としては成功)、でも副作用で歩けなくなった(でも発作は抑えた)というようなことに当たると思います。
もちろんこの例は極端ですし、医療従事者の方から反発・反論があるかもしれません。
というか、あって当たり前だと思います。
先生は自分の仕事をきっちりしたのですから。
でも飼い主側としてはこう感じてしまった、ということなのです。
私にはこのことを恨むような気持ちはありません。
病院選びも、その後専門の先生にお願いしたことも、全て私の判断でしたことだからです。
そして関わった先生方はそれぞれの分野で一生懸命やってくださったことも確かだからです。
愛レトの健康とQOLを守ろう!
あの時の経験は私の中でずっと忘れることが出来ないでしょう。
特に私とRubyが離れ離れになっていた入院中に何があったのかを考えると苦しくてたまらないですし、迎えに行った時のショックはどんなに時間が経ってもなくなることはありません。
私はずっとQOLの大切さを考えていたのに、Rubyのそれを守れませんでした。
そこには大きな後悔がありますが、その反面やるだけのことはやったという気持ちもあるのです。
だからRubyもきっと納得してくれていると思っていますし、発作から別の病気で亡くなるまでの7ヶ月間は辛いことも多かったけれど、濃密で宝物と言える日々でした。
カートで日本橋の街をお散歩したことも、時折歩いて見せてくれたことも、命ある限り輝き強く生きた彼女との素晴らしい思い出です。
そしてそう思えることの幸せは後悔よりずっと大きいのです。
あれから10年以上が経ち、今では診療科目ごとに専門の先生が存在するということも珍しくありません。
その病気の知識が豊富な専門の先生がいてくれることは飼い主にとって心強く、的確な治療でスムーズな回復が望めるのは本当にありがたいこと。
全体を診る総合診療と特定の病気や症状に特化した専門診療、そして私たち飼い主がしっかりとタッグを組み、愛レトの健康とQOLを守っていきましょう。
Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
東京都中央区にフォトスタジオを構え、撮影・執筆の他、写真のレッスンも行っています。
撮影はドッグファースト+優しく楽しいがモットー。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは2009年に15歳2か月で虹の橋へ。
Rubyイズムを引き継いだトイ・プードルのRoccaも2021年12月に旅立ち、現在の愛犬はオーストラリアン・ラブラドゥードルのRepettoと7歳から家族になったトイ・プードルのRose。
各種SNSや公式サイトはこちら
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