社会化トレーニング、トイレトレーニング。パピーとは異なる成犬からの向き合い方
成犬からとパピーから。一緒に暮らし始める時期によってどこがどう違ってどこが同じなのでしょう。頭で考えているより実際に経験してみてすっと理解出来たことがたくさんあります。2ヶ月半で迎えた先代Ruby(ゴールデンレトリーバー・メス)の時はどうだったかを思い出しながら、昨年の夏に7歳で迎えたRose(トイ・プードル)のことと比較してみました。
社会化トレーニング、パピーの場合
犬と暮らす上で「社会化(社会性)」をしっかり身につけさせるのはとても大切なこと。
多少の誤差はあるものの犬の社会化期は生後13〜15週くらいまでと言われていて、この「社会化期」と呼ばれる時期にトレーニングを行えば一番スムーズに社会性を身につけさせることが出来るのです。
Rubyは生後2ヶ月半で私のところにやってきました。
社会化トレーニングを行うにはちょうど良い頃です。
外での刺激に慣れ落ち着いた犬になってもらうために、出来るだけたくさんの人や犬と合わせたいと思っていました。
ですがここで問題になったのが「ワクチン接種が終わっていない」ということ。
ワクチン接種が終わるまでは下を歩かせないように、他の犬と合わせないように、って言われたことや聞いたことはありませんか?
小型犬であればカートやバッグに入れて外の空気や音や景色を経験させることもできますが、大型犬はそうはいきません。
でもどうしても社会化を実践したかった私は、すでに15キロくらいに成長していたRubyを大きなバッグに入れて担いで歩いたりしていました。(今思うとシュールな画です)
今はそこまで神経質にならず、気をつけながら他の子とも合わせたりお散歩したりということをするのが一般的になりました。
この時期に一緒にいるからこそ自分たちで適切な方法を見つけ出すことが出来るのです。
そしてパピーは吸収力が抜群な上レトリーバーは素直で従順、更に何でも楽しんでしまう天才。
社会化トレーニングはトレーニングという名の遊びのような気になってしまうほどではないでしょうか。
やはりパピー期に一緒にいられるのは社会化トレーニングにおいてかなりの利点だと思います。
社会化トレーニング、成犬の場合
成犬で迎え入れた場合は、この社会化期をどのように過ごしたかが不明なことが多いでしょう。
その子がどのような暮らしをしてきたかは、ほとんど知ることができない場合もあり、その子の行動から想像するしかありません。
運よく社会化がしっかり出来ている子であれば、その点ではもう新オーナーは特に何かを教えるということの必要はなく、維持するように努めるだけです。
成犬を迎える時の利点に「社会性ができている」と言われることがあるのは、このパターンですね。
成犬の場合、個々の状態に合わせて苦手なことを克服させていくという方法を取るわけですが、個々の状態に合わせてというのは思っていた以上に難しいと考えた方が良いです。
すでに確立している性格を形成してきた環境がわからないということは、どう対応していけばその子にとってストレスがないか、有効な方法か、全て手探りだからです。
Roseは犬や人に対して極度に怖がったりすることもなく威嚇することもなく、それなりの距離感で付き合えますが、環境音や刺激にはとても弱いです。
これはブリーダーさんの敷地から外に出ることがほとんどなかったからではないかと思います。
すぐに外の世界に慣れろと言っても無理な話。
怖がって固まったら抱っこして運ぶことも多々あります。
ですが大型犬のレトリーバーの場合、これは無理な解決策。
自分で動けるように待つしかありません。
一番怖いのが威嚇や攻撃性がある、という場合です。
元々気持ちの優しいレトリーバーがそういう行動をしてしまうのは怖さから来ることが多いのではないかと思います。
でももし何か事故が起きた時、だから仕方ない、とは言えないですよね。
そういった状況を作らないように徹底して気を付けること、プロに指導やアドバイスを仰ぐことが重要だと思います。
トイレトレーニング。失敗は当たり前、くらいの気持ちで
社会化のトレーニングの他にもオーナーが教えるべきことはたくさんあります。
中でも犬を迎えたらすぐに始まるのがトイレトレーニング。
これは一緒に暮らしていく上でとても重要なところです。
例えば「カフェでおとなしく出来ない」という問題があったとしても、それはカフェに行かないという解決策もあるわけです。
そしてそのことで生活に支障が出るわけでもありません。
けれど、トイレトレーニングにおいては我々人間の生活に大きな影響を与える問題になりかねません。
Rubyはトイレトレーニングに少々時間がかかり、完璧! と言えるようになるまで半年くらいかかりました。
留守中の大型犬のトイレの失敗って惨劇ですから、家に帰るのが憂鬱な時もありました。
それでもセオリー通りのやり方で最終的にはクリア。
これはパピーだったからだと思います。
そしてパピーだからこそ、しつけ本に書いてある通りにやっても、時には叱っても、成功したのです。
もちろん成犬になってからでも再トレーニングは可能です。
でも何が怖いのかわからない、どうされるのが嫌なのかがわからない、迎えたばかりの成犬にそのやり方は通用しないと思いますし、通用させようとは思って欲しくないのです。
失敗しても当たり前、最後まで完璧にならなくても気にしない。
それくらいの気持ちでいる方がお互いのためだと思います。
もし完璧にできるようになったら、すごい! えらい! ラッキー! です。
何年もの習慣を塗り替えて順応することは容易ではないのですから。
ひたすら心穏やかに、焦らず向き合うこと
成犬を迎えるということに対して不安に感じる点はあるでしょう。
特に「犬の社会化は生後○○週まで」「社会化ができていないと問題犬になる恐れ」なんて書かれているのを見ると、それまでにやっておけなかった成犬は問題があるってことかもしれない、というネガティブな気持ちが生まれても仕方ありません。
でも、パピーであろうと成犬であろうと、犬たちはいつも一生懸命私たち人間のことを思い、何とか順応しようと頑張ってくれるのです。
今回成犬を迎えてみてはっきりわかりました。
それを尊重して、良いところを見つけて伸ばしていけるようにしていけたらきっと上手くいきます。
その時に大切なのは焦らないこと、心を穏やかに保つこと。
完璧を求めず、ゆったり見守りましょう。
Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
東京都中央区にフォトスタジオを構え、撮影・執筆の他、写真のレッスンも行っています。
撮影はドッグファースト+優しく楽しいがモットー。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは2009年に15歳2か月で虹の橋へ。
Rubyイズムを引き継いだトイ・プードルのRoccaも2021年12月に旅立ち、現在の愛犬はオーストラリアン・ラブラドゥードルのRepettoと7歳から家族になったトイ・プードルのRose。
各種SNSや公式サイトはこちら
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