【取材】これはもう運命!とんとん拍子に決まったチョコラブ繁殖引退犬との新しい暮らし
フォトグラファーでドッグトレーナーの資格を持つ佐藤まいさん。プライベートでは8歳のチョコラブやまとくんとアクティブな遊びを楽しみ、仕事でも犬まみれの幸せな日々を過ごしていました。そんなある日、推定7歳の繁殖引退犬のみことちゃんとの出会いがあり、家族になることに。暮らしはどのように変わったのでしょうか。
目次
動物が大好き! だけどやまとで最後って思っていた
まいさんは大の動物好き。
「大好きだから以前はフェレット10頭とか猫とか動物がたくさんいました。
でも夫から“やまとで終わり”と言われていたのでそのつもりでいたんです」。
心の中に多頭飼いをしたい気持ちはあったものの真剣に探すこともなく日々は過ぎていきました。
そんなまいさんにある日旦那さまから思いがけない言葉がかけられたのです。
「急にもう1頭いいよって。なぜかわからないんですけれどね。
でも迎えるなら保護犬というのが条件でした。
私はドッグトレーナーで知識もあるから大丈夫だろうっていうのもあったようです。
そんなに甘くないのに。(苦笑)」。
実はやまとくんも生後2~3ヶ月の頃に譲り受けた子でした。
「ラブラドール=盲導犬、と思って飼い始めた方がすぐに手放したんです」。
出会ってしまったら年齢は関係ない
旦那さまからの OK が出ていざ同居犬をとなった時、まいさんが考えたのは保護犬のパピーもしくは2~3歳くらいの若い犬、もしくはブリーダーさんからパピーを迎えるという方法でした。
「若い犬をと思ったのは長く一緒にいたいからです。
でもやまとは首と腰に持病があり無理をすると痛みが出てしまいます。
パピーや若い子だとお互い遊びたくなってしまうのでやまとの身体が心配。
それで多頭飼い自体を諦めかけました」。
元気な若い犬をトレーニングしたり一緒にアクティブに遊んだり。
それはまいさんのライフスタイルにピッタリだと言えるでしょう。
でもやまとくんと一緒に暮らす子としての相性としてそれはあまり良くないと判断して、無理なのかな…と思っていたその時。
「知人が保護団体からチョコラブが出てると教えてくれました。
その写真を見た途端に“うちの子だ!”って思ったんです」。
それがみことちゃん(当時の名前は別)でした。
みことちゃんは適正飼育が行われていないブリーダーから保護団体が引き出してきた子。
「最初推定6歳と言われていましたが、病院に行った結果7歳くらいかな?と言う判断になりました」。
まいさんが希望していた若い犬ではありませんがその点はどうだったのでしょうか。
「もう年齢とか関係なかったですね。
とにかく“この子はうちの子だ!”って運命的なものを感じてしまったのです」。
たまたま繁殖引退犬だった
みことちゃんはブリーダーのところにいて繁殖に使われていたのにも関わらず、正式な生年月日がわかりません。
そのことからも適正な飼育が行われていなかったことは容易に推測されます。
今回、まいさんは最初パピーを考えていたくらいなので、繁殖引退犬は視野に入れていませんでした。
「たまたま繁殖引退犬だっただけで、特にそこにこだわっていたわけではありません。
何度も言うようですが、運命としか言いようがないんです」。
保護団体さんとのやり取りはどうだったのでしょうか。
審査やハードルが高過ぎて断念してしまった、と言うような話も聞くことがあります。
「保護団体さんは何かと厳しいというイメージがあったのですが、私はそんな風に思いませんでした。
ビシッと言うことはあるけれどそれはもっともだよねって思うようなことでしたし」。
これはまいさんが「犬を飼う・犬と暮らす」ということについて深く理解しているからこそ。
そして次のようにも言っていました。
「信頼できる団体さんに出会う、というのが大事だと思いました。
保護してくださった団体の方が、犬への理解や知識がとてもある方だったのです。
みことがそこにいたのは1週間くらいだったのに、小さな問題はそこにいる間になくなったようでした」。
先住犬やまとくんとの相性も抜群
多頭飼いの場合、先住犬との相性というのは大きな問題です。
その点はどうだったのでしょうか。
「トライアル期間というのはありませんでしたが、やまととは最初から相性が良かったんです」。
すぐに打ち解けた2頭。
それもみことちゃんをと思う気持ちに拍車をかけたのだと思います。
けれどみことちゃんは繁殖経験のある女の子です。
男女の組み合わせで不安はなかったのでしょうか。
「やまとはヒート中の女の子でさえ興味がないような子なんです。
だからその心配はなかったですね。
でもそれはやまとがそういうタイプだからと言うことであって、全てに当てはまるわけではないですよね」。
去勢・避妊していても、繁殖の経験があると異性に過剰反応してしまう子もいます。
また、自分に経験がなくても敏感な子もいます。
そのような問題もあっさりクリアしたこともスムーズなお迎えに繋がったのでしょう。
新しい家族を迎えることに不安はないが覚悟はあった
運命を感じてみことちゃんを迎えたまいさん。
不安はなかったと言います。
「不安はありませんでしたが覚悟はありました。
どんな傷を負っているかわからないし、うんちおしっこだらけのところにいたようだったので、トイレの問題はあるだろうと思っていました。
また、一つのお皿でご飯を食べていたようなのですごくアグレッシブなのかな?
男の子に乗られたらうーっていうのかな? とか色々覚悟していました。
でも大丈夫な気がしてワクワクしていましたね」。
色々な問題があるかもしれないと覚悟しつつも結局はワクワクしていたという大らかさ。
これが犬へ安心感を与えている要素の一つであり、良い結果を招いている要因だと思います。
「顔に傷があるので、噛まれたりしたこともあると思います。
でも天然で天真爛漫だからやまとが食べているところに顔を突っ込んだりして。
やまとは怒らないのですが、そういうことしたら怒られるよってことを教えるために私が止めるようにしています」。
問題行動も特になく、トイレはその後のトレーニングで覚え、無駄吠えもない。
引っ張り癖もほぼなく、数日はちょっと緊張していたもののやまとくんと歩いたらしっかり歩くことができた。
「覚悟していたのにこんなに楽でいいのかなって思うほどです」。
こう書くと、保護犬でもそんなに大変じゃないと思われるかもしれません。
でもこれはトレーナーとしての知識や愛情があるからこそ。
やはり安易に考えてはいけないと思います。
繁殖引退犬(シニア犬)を迎えてみて感じたこと
成犬を迎える、特にシニア犬を迎えることについてまいさんはこう感じています。
「シニアと言われる年齢の子を迎えてみて、これはご縁でしかないなと思うようになりました。
ビビビと来るのがパピーかもしれないし、シニアかもしれないし、それはその時に決まることかなと思います」。
「シニアならではの落ち着きや愛おしさもあります。
若くて躾が入ってないというのは大変。でも面白い。
だけれどうちは先住犬のやまとに気をつけなければならない点があるので、シニアで落ち着いている子が来てくれたことはとても良かったと思います」。
このように、シニアならではの良さを実感しているまいさん。
やまとくんにも変化が起きているのを感じているそうです。
「みことが来たことが刺激になって若返りました。
そしてこれまでは私がいれば良くて他の人には興味がなかったのに、みことが“わーい”って行くのでやまともそうなってきました。
友人たちにも驚かれています」。
「本当に覚悟していたからちょっと拍子抜けというか、ずっと昔からいた子のように思えてなりません。
繁殖引退犬を迎えてみて、その子が出来なかったことが出来るようになったのを見るとキュンとします」。
ですが、成犬から迎えると言うのは誰にでもおすすめできることではありません。
「どんな傷を負っているかわからないのでそれでもいいと思える人。
一緒に乗り越えていこうと思える人であることは大事だと思います。
初めて犬を飼うという人は少しリスクがある気もします。
そういう人は保護犬でもパピーからの方が良いかもしれませんね」。
キャンプやBBQ、車中泊での旅。楽しみはこれから限りなく続く
やまとくんと一緒に色々なところに行って楽しんできたまいさんですが、今はみことちゃんも一緒です。
初めてのところはちょっと慎重で、怖がって動かなくなったりすることもあるそうですが、 それも少しずつなくなっていき、今ではそのような場所も楽しめるようになりました。
「山、川、ドッグラン、温泉・・・。
私と一緒に出かけるというのは、“美味しいものを食べる”がセットなので、最近は出かけることへの興奮がすごいです。
ご飯の量もどんどん多くなってきて、身体も少しずつ出来てきました。
走ったこともなかったので、最初は変な動きをしていたのですが走ることを覚えたのでそれもとても楽しそうです」。
家に来た初日は緊張もあってゆっくり眠ることがなかったみことちゃんですが、今では家の中どころか車の中でもどこでもリラックスして眠るようになりました。
「私が与えるものは食べ物なんだということを理解したので食べる喜びを覚えましたし、寝ることも緊張がなくなったらその後がすごく早くて今はどの場所でもよく寝ます。
“ラブのポテンシャル消えてなかった”って笑っています」。
最初は緊張だけでなく学習性無力感(※)があったと思うのですが、との点はどうだったのでしょうか。
※長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象:Wikipedia
「自我や要求が出てきたと思うのはうちに来て2ヶ月半~3ヶ月くらいからでしょうか。
最近では“それちょっと嫌”とか言います。笑」。
大切にしてくれる家族に出会い、家庭犬としての幸せを掴んだみことちゃん。
走ってはしゃいで美味しいものをたくさん食べて。
これからもずっとその幸せは続いていきます。
まいさんが次に楽しみにしていることは、みことちゃんがちゃんと泳げるようになって、2頭が一緒に楽しそうに泳いでいる姿を見ることだそうです。
きっとそれもすぐですね。
Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
東京都中央区にフォトスタジオを構え、撮影・執筆の他、写真のレッスンも行っています。
撮影はドッグファースト+優しく楽しいがモットー。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは2009年に15歳2か月で虹の橋へ。
Rubyイズムを引き継いだトイ・プードルのRoccaも2021年12月に旅立ち、現在の愛犬はオーストラリアン・ラブラドゥードルのRepettoと7歳から家族になったトイ・プードルのRose。
各種SNSや公式サイトはこちら
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