2019年6月21日8,073 ビュー View

【レポート】レトリーバーのセラピー活動に密着!〜笑顔を届ける犬たち〜

穏やかで、人を喜ばせようとするレトリーバーの愛すべき性格は、アニマルセラピーの現場でも活かさせています。

今回は、ゴールデンの訪問活動に密着。ますますゴールデン愛が深まりそうな活動の様子と、セラピードッグを育てた飼い主さんの声をお届けします。

レトリーバーはセラピードッグに最適

八王子市の介護老人保健施設“ハイネス憩いの丘”では、3ヵ月に1回、ボランティアのメンバーによるアニマルセラピー活動が行われています。

 

正確にはアニマル・アシステッド・アクティビティ(AAA)と呼ばれる活動で、訪問しているのは、JAHA(公益社団法人 日本動物病院協会)の“人と動物のふれあい活動(CAPP コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム)”の八王子を中心に活動しているチーム。

 

八王子市内のAkiホリスティック動物病院の菅野晶子院長がリーダーを務めるこのチームでは、筆者が取材した日、2頭のゴールデン・レトリーバーと1頭のラブラドール・レトリーバーが活躍していました。

レトリーバー,セラピー犬

八王子を中心にボランティアの訪問活動をしているセラピードッグとセラピーキャット。写真最右がリームリーダーの菅野晶子獣医師と愛犬のウメちゃん

 

20年にわたって訪問活動を続けてきた菅野さんによると、「私は先代も今の愛犬も和犬系のミックスで訪問活動をしています。中型の犬よりも、サイズの大きいラブやゴールデンは、入所者の方の笑顔を引き出す芸を披露しても目を引きますし、華がありますね。存在感もあり、ゆったりした雰囲気を醸し出しているのでセラピー活動にすごく向いている犬種だと思います」とのこと。

レトリーバー,セラピー犬

本日の顔合わせ。訪問活動に訪れた3頭のレトリーバーたち

 

ゴルならではの味が生きる

ハイネスのスタッフとボランティアメンバーの事前ミーティングが終わると、いざ、18名が待つホールへ。

犬や猫が入場すると、ホール内で輪になって座っている方々の表情が一気に明るくなります。もちろん、ホールでサポートしているスタッフの方々も同様。

レトリーバー,セラピー犬

「今日もみんなボクたちアタシたちを見て笑顔になってくれるかな~?」

 

入所者の方々は、それぞれ希望する犬や猫とまずはゆったりマンツーマンで触れ合います。

ゴールデンのパンナちゃんとりんごくんのフワフワの毛並みを、ゆっくりと撫でている方が多かったのが印象的です。

「手触りがいいなぁ。やさしい顔をしているよねぇ」と、入所者の方の表情も柔らかくなっています。

「大きい犬は最初は少し怖かったんだけど、ここで何度も触れ合っているうちに、全然怖くなくなったよ。それどころか、大きな犬のほうが好きになったかもしれないな」と、筆者に笑顔で教えてくれる方もいました。

レトリーバー,セラピー犬

訪問活動が大好きというゴールデンの7歳のパンナちゃん

 

ゴールデンのりんごくん(11歳)がCAPP活動をスタートしたのは、生後8ヵ月のとき。

 

今では大ベテランのセラピードッグとして、入所者の方々にも大人気だそうです。

 

飼い主の前野さんは最初、先代のゴールデンのみかんちゃんとりんごくんの2頭を伴って訪問活動をしていたとか。

「りんごはみかんの様子を見ながら、お手本にしてがんばってしましたね。みかん以前に、めろんというゴールデンでも訪問活動を行っていて、アニマル・アシステッド・アクティビティ自体25年間続けてきましたが、ゴールデンはこうした活動に向いていると感じます。ゴールデンは基本的には穏やかな性格で、神経質ではありません。そのうえ、飼い主や家族以外の人や犬も大好きでフレンドリー。それから、人の考えや思いを察知する能力にたけている気もしますね」と、前野さんは語ります。

前野さんは自身が携わる“名栗カヌー工房”にりんごくんを伴い、100人以上に子犬期から触れ合わせるなどして社会化を行ったそうです。

セラピードッグになるにはもちろん社会化やトレーニングを積む必要はありますが、ゴールデンはもともとセラピードッグとしての適性が高い犬種だと言えるでしょう。

名栗カヌー工房で看板犬も務めるりんごくん

 

ゴル大活躍! 存在感と大胆な芸で入所者の目をくぎ付けに

触れ合いタイムのあとは、セラピードッグたちが得意技を披露するお楽しみタイムの幕開け。

まずはみんなで伏せをして待ち、それからりんごくんが中央へ。

レトリーバー,セラピー犬

青いTシャツのりんごくん。芸を披露するのが待ち遠しい様子

 

ホールの中央へ向かったリンゴくんは、前野さんの合図でゴロンゴロンと床に転がり始めました。

 

そのダイナミックでコミカルな芸を見て、「おぉ! すごい」と、感嘆の声が漏れます。

 

それを聞いたリンゴくんも、ドヤ顔になっているように見えます。

レトリーバー,セラピー犬

体重42kgの大きなリンゴくんがゴロ~ンと転がれば、会場の視線が集中

 

施設のスタッフの方からは、「ついさきほどまで寝込んでいらしたのに、アニマルセラピーの時間が来ると誰よりも先にホールに向かう方もいるんですよ」といった声や、「スタッフがどれだけ頑張っても引き出せない笑顔が、セラピー犬によって自然に出るんです」という話がありました。

 

CAPPのメンバーによると、「たまに同席をされる入所者のご家族から、『家族の顔を見てもそれほど笑顔にならないのに、セラピー犬と触れ合うと笑顔が満開になるんですよ。犬の力ってすごいですね』と聞くことも少なくありません」とのこと。

レトリーバー,セラピー犬

「ママ、今日もとっても充実してたよ。また来ようね」byパンナちゃん

 

犬を撫でることで、血圧や心拍数が安定することも知られています。

 

どっしりとした安定感を見せ、穏やかな表情で入所者の方に寄り添うレトリーバーたち。

 

全国で、そして全世界に数多く存在するセラピーレトたちの活躍をこれからも見守っていきたいものです。

 

 

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