2020年11月6日1,899 ビュー View

もしもの時、入院を『させる』『させない』その判断は誰がどうすべき?今一度、いろんな視点で深く考えてみよう

愛レトが病気になった時、場合や治療法によっては「入院が必要です」もしくは「入院させますか?」と獣医さんから言われることがあります。そんな時あなたはどうしますか? すんなりと入院を受け入れますか? それともできるだけ入院しないような処置や方法をお願いしますか? 「治療だから当たり前」と決めつける前に、今一度「入院」について考えてみたいと思います。

どういう時に入院が必要なのか

Jaromir Chalabala/shutterstock

 

まず最初は、入院が必要な時というのはどんな時か考えてみましょう。

 

まず思い浮かぶのは、手術後に様子を見ていなければいけないという時。

 

手術は無事終わっても、薬を飲ませる、傷口を消毒するなどの処置があるからです。

 

もしかしたら急変するかもしれない、という懸念がある場合もあるでしょう。

 

また、手術はしなくても小まめに何らかの治療をしなければならないとか、予断を許さないような深刻な状態やであればやはり入院ということになるかもしれません。

 

そのような状態の時に冷静になることは難しく、先生が「入院」と言うのならそうしよう、という気持ちで「はい、お願いします」と答えることが多くはないでしょうか。

 

そして「とにかく入院すれば先生やスタッフの方が看てくれているのだから安心」という気持ち。

 

それは当然のことだと思います。

 

でもここで「それはどうしても入院しなければ出来ないことなのか」と考えてみるとどうでしょうか。

 

家でしっかり処置することや見ていることが出来れば、必要のない入院もあるのだと思います。

 

入院で出来ること、出来ないこと

Syda Productions/shutterstock

 

入院することで可能なのは、病状の変化への「迅速な対応」、投薬や消毒の「正確さ」が真っ先にあげられると思います。

 

家に連れて帰った場合、病院との距離があればあるほど急変した時の対応は遅くなってしまいます。

 

間に合わなかったら、時間外で診てもらうことができなかったら、そんな不安も生まれて来ます。

 

また、留守が多い家庭の場合はそれ以前の問題で、様子の変化にすぐに気が付くことも出来ない心配があります。

 

獣医さんという動物医療のプロの傍に愛レトを置いておくこと。入院ではその安心を得ることが出来るのです。

 

ただ、病院では出来ないことというものもあります。

 

1頭1頭に、ずっと寄り添っていることは出来ません。こればかりはどうしようもないことです。

 

そして、「いつもの生活」をさせることは絶対に出来ません。

 

レトの気持ちを考える

Kyla Metzker/shutterstock

 

人間側の都合ではなく犬の気持ちを考えてみると、入院というのはどんなものなのでしょうか。

 

入院しているということはどこか身体に不具合があるということ。

 

痛みがあるかもしれませんし、気持ちが悪いかもしれません。とても不安でいっぱいな状態です。

 

そんな状態なのに、

 

寝る場所が違います。

家族がいません。

ごはんも違います。

何もかもいつもと違います。

 

ストレスの大きさはどれほどでしょうか。

 

入院すると精神的な面で余計具合が悪くなってしまう、というタイプの子も少なくありません。

 

ずっと吠え続けてしまったり、ごはんを食べなかったり、ケージに鼻を押し付けすぎて擦り傷を作ってしまったり。

 

そのような話を聞くと胸が痛くなります。

 

人を、家族を愛してやまないレトリーバーにとって、わけもわからないままに無機質な病院のケージにひとり取り残されてしまうことはどれだけ不安で悲しいことか。

 

病院なら安心だから。

家ではきちんと対応する自信がないから。

忙しいから。

 

絶対に入院が必要! という状況以外で入院させる時の理由としてはこんなものがあげられるかと思います。

 

でもこれってかなり人間の都合ですよね?

 

病院に残されるレトの気持ちと病状についてもっと深く考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 

入院に関する私の深い後悔

babeaudufraing/shutterstock

 

実は私には入院させたことへの深い後悔があります。

 

避妊手術の時も乳がんの手術の時もその他の手術の時も、ずっと「家で診る」方法でやってきたのに、14歳半で起きた発作の時に、慣れていない病院に4日間も入院させてしまったのです。

 

「入院させた方が良い治療ができる」

「家では万が一ということがあるかもしれない」

 

そう言われて、あまりその病気について詳しく突っ込んで聞いたり調べたりしないままに預けてしまったのです。

 

入院中の様子は「安定しています」「元気です」と送られてきていたので安心していました。

 

ですが、退院してきたRubyは全く別の犬になっていました。

 

それは、病院のせいではありません。

獣医さんはその症状を鎮めるための処置をし続けただけ。

 

そして入院も治療をすることも決めたのは私自身です。

 

ずっと入院をさせずにきたのにどうしてこの時は預けてしまったのか。

 

「適切な治療をしてもらえる」という気持ちが一番大きかったのは確かです。

 

でもその時私は新規事業の立ち上げでとても忙しく、「看ている時間がない」と心のどこかで思ったのです。

 

この時の出来事は今でもずっと棘のように私の心に刺さっています。

 

病気の治療法のこと、入院で出来ること、入院で失う生活のこと、Rubyの気持ち、もっとよく考えて決めるべきでした。

 

獣医さんやスタッフの方の負担を考える

LightField Studios/shutterstock

 

入院させるということは、私たちの代わりに獣医さんやスタッフさんが愛レトを診ていてくれるということです。

 

それを期待してこその入院だと思います。

 

ですが、家庭と違って病院には営業時間中にはたくさんの患畜が来院しますし、入院も1頭ではないかもしれません。

 

病院というのは、常に気を緩めることのできない大変な場所です。

 

ここで獣医さんやスタッフさんの立場になって考えてみましょう。

 

「入院している子がいる」という意識で24時間過ごすということはかなりの負担になりませんか?

 

重篤な状態はなくても、意識はずっと持ってなくてはならないわけです。

 

仕事だから当たり前でしょうか?

いいえ、病院の方も普通の人間です。

 

家族だからこそできるような、寝ずの看病というものを期待してはいけないと思うのです(してくれない、ということではありません)。

 

そもそも「自分で看るのは大変」という気持ちで入院させるのであれば、その「大変」を肩代わりさせているということになりますよね。

 

獣医さんたちが健康で元気にしていてくれていることは、動物たちにも私たちにもプラスでしかありません。

 

しかし、その逆もしかりです。

 

ですからそのサポートをするためにも安易な入院は避けた方が良いと、私は思っています。

 

総合的に考えて一番良いと思える方法で

In Green/shutterstock

 

色々な立場から考えてきましたが、正解は誰かが持っているわけではなく、自分が持っているものです。

 

そして今はこうしようと考えていても、その時になったら状況が変わっているかもしれません。

 

病気の状況、病院の考え、自分の考え、愛レトの年齢や性格などを総合的に考えて決めればいいと思います。

 

とにかくきちんと考えること。

 

そしてその結果入院させることにしたならば、「入院させて良かった」という結果になるのではないでしょうか。

 

執筆者:Roco

『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。

撮影・執筆の他、写真のレッスンも行う。

フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは15歳2か月で虹の橋へ。 現在の愛犬はトイプードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。

子供の頃からの夢は「ドリトル先生になること」

 

 Facebook:Roco ~LoveLetters~ 写真と言う名のラブレター

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