【取材】足腰は弱っても気力は弱らない15歳!12歳から始めたあるトレーニングが介護生活に役立って… #10ピース
平均寿命が10〜12才と言われる大型犬のレトリーバーたち。しかしそんな平均を物ともせず、年齢を重ねても元気なレトリーバーを憧れと敬意を込めて“レジェンドレト”と呼んでいるRetriever life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドレトの肖像』です。今回取材したのは、15歳の男の子ピースくん。すでに足腰が弱っていますが、昔やった“あるトレーニング”が、介護が必要となった今、大いに役立っているのだそう。
ピースくんのプロフィール
年齢&性別
15歳の男の子(2006年12月6日生まれ)
体重
35kg
大好きなこと
食べること。リンゴやみかんなど、果物が大好き。
既往歴
8歳のころ、右後ろ足外側にできた腫瘍を切除。
8歳のときに後ろ足に腫瘍を発見
穏やかでやさしい顔立ちのピースくんは、15歳の男の子。
オーナーの成川貴美恵さんの元で、ゴールデンレトリーバーのタンゴくん(3歳の男の子)と、イングリッシュ・セターとイングリッシュ・コッカスパニエルのミックスのオペラちゃん(1歳の女の子)と、にぎやかに暮らしています。
ずっと健康だったピースくんですが、8歳のころ、足を引きずるように歩くように。
棘などの外的要因が見つからないのに触ると痛がるので検査したところ、腫瘍が判明、切除しました。
足の手術で麻酔をしているついでに歯石を取ってもらうと、奥歯の1本に丸い穴が開いた虫歯を発見。
犬が虫歯になることはあまりないので、先生も「とても珍しいケースです」と驚いていたそうです。
虫歯の穴には、なんと草などがぎっしり! 実は5歳くらいから、ピースくんの口から強烈な悪臭がしていたのですが、それは虫歯に詰まった汚れが原因だったのです。
この虫歯を抜歯して以来、お口の嫌なにおいもすっきりなくなったんだそう。
この一件以来、13歳後半までは、歯磨きと半年に1回の無麻酔歯石除去を続けてきました。
最近は老化により後ろ足が思うように動かなくなってきていますが、15歳にしてそれ以外に大きな怪我や病気はないそうです。
レトなのに!? 泳ぐのが嫌いな“陸上部”
成川さんのお住まいは、目の前が海という絶好のロケーション。けれど、ピースくんは泳ぐのが苦手なようで……。
「ゴールデンのくせに泳ぐのが大嫌い(笑)。プールに入れちゃえば泳げるのに、泳がないんですよね。水たまりでドロドロになるのは好きなのに」
何年かにわたって泳ぎにチャレンジしたものの、ずっとプールサイドにいたピースくん。犬友さんたちからは“陸上部”と呼ばれていたそうです。
また、犬たちを自然の中で自由に遊ばせるために、パピーのころから仲間とよくキャンプに。
今のようにキャンプがブームになる前は、週末でもキャンプ場は閑散としていて、犬連れに対しても大らかな対応でした。
ある日、犬友さんたちと数家族でキャンプに行き、犬たちを放して遊ばせていたときのこと。
「彼はフラフラと放浪して、数時間後にいなくなってしまったんです。みんなで必死に探したら、すぐ近くにいた若い女性たちのグループのテントに入り込んで、焼き鳥をもらっていました!(笑)」
若い女性にチヤホヤされ、ちゃっかりごちそうにもなり、その場を離れたがらないピースくん。
無事だったことに安心しながら、自由奔放なピースくんに犬友さんたちは大笑いだったそうです。
小さい頃からのキャンプのおかげか、ピースくんは環境の変化にも動じない性格に。大自然の中でのびのびと走り回るのも、筋肉が発達したり、五感が刺激されそうですね。
ノーズワークで脳を活性化
アレルギーや好き嫌いがないので、ごはんはドライフード中心。そこに、大根など季節の野菜をすりおろしたもの、豆腐、納豆、パウダー状の乳酸菌(コンプリートプロバイオティクス)をトッピングします。
「その前は酵素パウダーを与えていましたが、効果が分かりづらかったんですね。以前は季節の変わり目などにおなかがゆるくなることがありましたが、乳酸菌をあげ始めてから、下痢をしなくなりました」
そんなピースくんが犬友さんに誘われ12歳から始めたのが、鋭い嗅覚を活かしたドッグスポーツ“ノーズワーク”です。
「 “あー、間違えちゃった!”っていう失敗がない訓練方法なので、シニアでもできるんですが、鼻を使うことで脳が活性化するメリットがあるようです。
号令をかけると、においを嗅ぎながら食べ物を探すフードサーチをよくやっていたのですが、それを利用して、今は玄関まで誘導するようにいろんなところに好物のフードを置いています。
足腰が弱ってしまった現在も、号令をかけると立ち上がって外に行き、排泄をして戻ってくるんですよ。
今はお教室には通えないので、家で私がノーズワークもどきをしています」
脳を刺激することも、若さを保つ秘訣ですね。
オムツは人間用の尿取りパッドを使用
ピースくんは12歳のときに家族に迎えたタンゴくんにも、その後、迎えたオペラちゃんにもあまり関心を示さなかったそう。
「最初は不思議そうな顔をしていたけど、嫌がることもなく、すんなり受け入れてましたね。
タンゴの無礼な態度にも怒らなかったし。彼が感心があるのは食べ物だけ(笑)。
オペラはピースに、暑苦しいほどの愛があります。毎日ピースの顔をなめるので、結膜炎になっちゃって目薬を差しているので、ピースにとってはありがた迷惑でしょうけど(笑)」
長年、犬と暮らしてきた成川さんですが、大型犬3頭との暮らしは、体力的にも相当ハードです。
「やっぱり介護は大変ですね。後ろ足が立たず、膀胱か前立腺にも問題があるのか、おしっこが出ちゃうときがあるので……」
犬用のオムツはサイズが合うものが少ないので、人間用の尿取りパッドを使用。若いころは洋服を着せられるのが大嫌いでしたが、介助ベストはすんなり受け入れてくれたそう。
いろいろと大変なことはあっても、大型犬との暮らしは何ものにも代えがたい幸せです。
「犬の性格は3頭それぞれ違いますが、キャンプに行ったときなどに楽しそうに遊んでいる姿を見るのが至福ですね」
長寿の秘訣は自分のペースを崩さないこと
3頭の中でも、特にマイペースぶりが際立つピースくん。今まで飼ってきた犬の中で、いちばんの長寿犬だそう。
「外見は穏やかな好々爺(こうこうや)に見えるんですけど、若いころから超マイペース。ドッグランではほかの子と争いもしないけど絡みもせずに、ただ地面を掘っていたり」
自分のペースで、家でくつろぐのが大好きなんだとか。
「良かれと思って新しいことをしてあげても受け入れない頑固じじいです。
足腰が弱くなって、伏せの体勢のときにおなかの下に置くクッションを用意してあげたときも、“わしゃ、こんなもんいらん”って迷惑そうに断られました(笑)。
ピースはブレずに、自分のペースを守り抜く男。それが長生きの秘訣だと思います」
そんな頑固なおじいちゃんになった今でも、「まん丸おめめで見られると、かわいいんですよね」と、成川さんの目尻が下がります。
「パピーのときは、見た目のかわいさだけでしたけど、年を取ると言ってることが何でもわかる。そこが言い表せないかわいさですね」
そんなピースくんに伝えたい想いを伺うと、「私がやれることは全てやってるから、自分の用意ができたらいつでも安らかに逝っていいよって、思っています」と成川さん。
「だけど、大好きな果物が食べられるうちは“まだ逝かない”って言ってました。まだ食べ足りないみたいです(笑)。
この間も私がみかんの皮をむいていたら、ハッと上半身を起こして“お前、みかん食ってるだろ!”って、フガフガ言ってました(笑)」
「頑固じじい」と憎まれ口を叩くのも、長年積み重ねてきた愛情あってこそ。言葉にしなくても通じ合うおふたりの温かい絆を感じました。
取材・文/都丸優子
★「#レジェンドレト」で投稿お待ちしています!
レトリーバーライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドレトを探しております!
12歳を超えたレトたちは、「#レジェンドレト」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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