2019年7月13日294 ビュー View

【ブックレビュー】『ベティとリタ パリへ行く』パリジェンヌを魅了したレト2頭の旅アルバム

1冊のモノクロ写真集を紹介します。インスタでほかの家庭のレトリーバーの様子を見るのも楽しいものですが、写真集を手に取ってアートを観賞するように1ページ1ページめくって眺めるのもまた一興。しかも、『ベティとリタ パリへ行く』(マイケル・マリス子写真、ジュディス・ヒューズ文、星野真理訳/中央公論新社/2002年)の舞台はフランスのパリ。登場する2頭のラブラドール・レトリーバーとともに、旅をしている気分にもなれます。

パリの犬事情を垣間見るのも楽しい

  • 『ベティとリタ パリへ行く』

    『ベティとリタ パリへ行く』

    ジュディス ヒューズ (著), Judith E. Hughes (原著), Michael Malyszko (原著), 星野 真理 (翻訳)

    単行本: 83ページ
    出版社: 中央公論新社 (2002/05)
    言語: 日本語

    販売サイトを見る

ベティは、半分ラブラドールで半分ゴールデンのレトリーバー。

 

忠実で、いつどこで何を食べるかについては無頓着だと飼い主は言います。

 

一方のリタは、ラブラドールとピットブルと推測される犬種とのミックス犬。

 

甘えっこで、クンクン鳴いてばかりの意気地なしで、かまってもらうのが大好きとのこと。

 

2頭は大の仲良しで、一緒に丸まって眠ることも少なくないそうです。

 

そんなベティとリタがパリを旅行している様子が切り取られているのが、『ベティとリタ パリへ行く』という1冊の写真集。

 

まず現れるのが、ベティとリタがタクシーの後部座席の窓から顔を出してパリの街並みを眺めている写真です。

 

日本人からすると、ベティとリタの人間っぽいしぐさだけでなく、このシチュエーションにも驚くのではないでしょうか。

 

でも、こうした光景を実際にパリで目にすることはめずらしくありません。

 

パリでは大型犬も飼い主と一緒に、ごく普通にタクシーの後部座席に座れるからです。

 

筆者がパリを訪れたときは、愛犬を助手席に乗せているタクシードライバーにも遭遇しました。

 

仕事中はずっと、愛犬と一緒だそうです。

 

パリはドッグフレンドリーな街です。

 

というより、家族の一員として、社会の一員として、犬は広く受け入れられていると表現したほうがしっくりくるような気がします。

 

写真集の最初のタクシーでのワンシーンを見れば、ベティとリタの旅が楽しくなりそうだと、ページをめくるのがワクワクしてくるに違いありません。

 

パリの名所にレト2頭がいると……

レトリーバー,パリ

Artem Avetisyan/shutterstock

タクシーから降りたベティとリタは、凱旋門へ。

 

そこで撮られた写真がまた、笑いを誘います。

 

凱旋門のアーチと同じような形状になるよう、2頭がマネをして立っているから。

 

正確には、そうなるように写真家が撮影しているのですが、レトと凱旋門が成し得た傑作に、思わず感嘆せずにはいられません。

 

旧オペラ座前では、バレエのプリエのポーズをしているベティ。

 

ピカソ美術館の前では、紙とテープを使って絵画を模倣。2頭の様子に、くすっと笑いがこぼれます。

 

名所旧跡のみならず、2頭がひと休みをしているカフェ、宿泊先のバルコニー、地下鉄の出入り口、速足で踏みしめる濡れた石畳……。

 

パリはどこを切り取っても絵になる街であることも実感させられるでしょう。

 

その中に、会話をしているかのように登場するベティとリタの姿を、いつまでも見ていたくなります。

 

どこへ行ってもレトはレト! な写真も満載

レトリーバー,パリ

pisaphotography/shutterstock

パリであろうとどこであろうと、レトがレトであることには変わりありません。

 

そんな“レトあるある”に深く共感してしまう写真も満載です。

 

ベティとリタは、噴水を見つけるとどうも飛び込まずにはいられないらしいのです。

 

サンプラシード広場、サンミッシェル広場、サントゥスターシュ教会と、2頭が飛び込んだ噴水は数知れず。

 

やはり、水遊びをしているレトはうれしそうで、見ているこちらまでうれしい気分になってきます。

 

それにしても、どんな噴水もさすがパリ。

 

厳かで繊細な細工や装飾が施されていて、思わず細部に見入ってしまいます。

 

そんなことはお構いなしでひたすらはしゃぐ2頭が、また対照的でおもしろい写真に仕上がっているのですが。

 

パリの文化を2頭の目で見ているかのよう

レトリーバー,パリ

gianni triggiani/shutterstock

ベティとリタは、パリの文化にも興味津々。

 

プラタナスの木の下で鉄球を投げて遊ぶ人たちをじっと見つめている写真には、それがペンタクというゲームであることが紹介されています。

 

ヴォージュ広場は犬が立ち入れない公園だと知った2頭の後ろ姿には、哀愁が漂って見えます。

 

バスティーユ近くの、数々のフルーツが並ぶ青空市場をめぐる2頭はなんだか楽しそう。

 

セーヌ川岸に立ち並ぶ古本屋では、まるで2頭は旅の記念を探しているかのように見えます。

 

実際に記念に選んだのは、モンマルトルの丘で画家に2頭並んだポートレイトを描いてもらうことでした。

 

こうして、ベティとリタの気持ちを写真から読み解きながらパリの文化を垣間見られるのもまた、この写真集の楽しみ方のひとつだと言えます。

 

最後の写真は、闇夜に光り輝くエッフェル塔をじっと見つめるベティとリタの後ろ姿。

 

2頭のすぐ後ろで、自分も同じ景色を眺めているような気持ちにさせられる印象深い1枚です。

 

そしてベティとリタに、「こんな楽しいパリの旅へ一緒に連れて行ってくれてありがとう」とお礼を述べずにはいられません。

 

この写真集には、『ベティとリタ ローマへ行く』という続編もあります。

 

どちらも現在書店では扱っていないかもしれませんが、中古本マーケットやフリマアプリや図書館などで、ぜひ手に取ってみてくださいね。

  • 『ベティとリタ パリへ行く』

    『ベティとリタ パリへ行く』

    ジュディス ヒューズ (著), Judith E. Hughes (原著), Michael Malyszko (原著), 星野 真理 (翻訳)

    単行本: 83ページ
    出版社: 中央公論新社 (2002/05)
    言語: 日本語

    販売サイトを見る

 

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