【忙しいパパママへ】往診は飼い主にも犬にもストレスフリーで優しい医療
ワクチン接種や健康診断など、病気ではなくても必ずお世話になるのが動物病院です。みなさんにもそれぞれ「かかりつけ」の病院があると思います。でも病気の時、シニアになった時、介護状態になった時などは通院すること自体が難しい状態になりかねません。そんな時助けてくれるのが往診をしてくれる獣医さんです。今回は西洋医学、東洋医学の両方を使って往診治療をしている丸田香緒里先生にお話を伺いました。
目次
往診診療を必要とするケースで多いもの
丸田先生によると、往診を希望するのは慢性的な病気や高齢の子が多いとのこと。
例えば定期的に点滴が必要であったり、リハビリが必要だったりする場合。
また、寝たきりだけれど健康チェックはしてあげたい、というような場合など。
どちらかと言えば西洋医学的な積極的治療ではなく、毎日を快適に過ごすための手助けをしてもらいたい、つまり愛犬の日々の生活の質の向上という願いを持っている飼い主さんたちが往診の依頼をしています。
また、犬の状態だけでなく飼い主の状態による場合もあります。
自分自身が病気になってしまった、高齢になって動物病院との往復がつらい、そのような時でも対応してもらえるのが往診です。
「大型犬の寝たきりというケースも多いです。レトリーバーなど体重がある子を病院まで運ぶのは人にも犬にもストレスですが往診ならそこをクリアできます」。(丸田先生)
今でも忘れられない、ある高齢のレトリーバーを初めて往診した日のこと
たくさんのご家庭を訪問してきた丸田先生ですが、その中でも忘れられない出来事があるとのこと。
「今でも印象に残っているのは、高台に建てられたお宅への往診です。高齢のレトリーバーだったのですが認知症がある上に歩けなくなってしまい、病院に連れていくことが出来なくなったと連絡をもらいました。本当に心細かったのでしょう。行ったとたんに飼い主さんが泣き崩れてしまったのです。まだ何も診察をしていないのに、ただ行っただけで、です」。(丸田先生)
愛犬を病院に連れて行ってあげたい。でも歩けなくなってしまった大型犬を運ぶ手段がない。
途方に暮れていた飼い主さんにとって丸田先生の存在は大きな救いだったことでしょう。
「かかりつけの先生はいても、その先生が往診に対応していないことも多々あります。その方の場合もそうでした。それで必死に検索していたところ、たまたま私のブログを見つけてくださったのです」。(丸田先生)
小型犬と違って簡単に抱っこして運ぶことができないレトリーバー。
通常は歩いて行ける動物病院でも具合が悪い時には歩かせることも難しい場合があります。
動かすことが良くない場合もあるかもしれません。
愛レトのためにも自分のためにも、「もしそのような状態になったら」ということは早めに考えておくべきでしょう。
「往診だから可能」なことはたくさんある
このように病院に連れていくことが出来ないペットたちを診療することが出来るというのは往診の優れた特長ですが、設備といった点では病院と同じというわけにはいきません。
持って行ける診療器具や治療薬には限界がありますし、大きな機械を使った検査をすることはできません。
ですが、往診だからこそ可能なことはそれら「物」以外のところにあるのです。
「病院は色々出来るが故に“何もしない”という選択肢があまりありません。また、ゆっくり話をする時間もありません。ですが私の往診では1件につき30分~1時間ほどの時間を取っていますので“どこまでやるのか”をゆっくり相談して決めて行くことが出来るのです」。(丸田先生)
目の前に「出来る」という選択肢があるとつい最先端の治療をしなければならないように感じ、それが本当に自分の意思なのかわからないまま治療を進めてしまったことはありませんか?
でも往診では大きな機械での検査や手術がその場でできないからこそ、「何もしない」という選択がしやすいのです。
また、獣医師とゆっくり話ができるので焦って治療方針を決定する必要がなく、納得できるまで考えることができます。
それはペットロスを重症化させないためのひとつの方法でもあります。
「ゆっくり考えて決めなかった」「本当にあれで良かったのか」という気持ちが悲しみを深めてしまうことがあるからです。
しかしここで間違えてはいけないのは「何もしない」というのは「放置する」ことではないということ。
積極的治療は何もしないけれど他の方法は考えるという意味ですので、そこには東洋医学やホリスティックも含まれてくるでしょう。
「動物にストレスがかからないのも往診の良いところですね。レトリーバーはフレンドリーなので病院でもニコニコしている子が多いですが、それでも自宅にいる方がストレスは少ないはずです。そもそも体調が悪いと移動すること自体がストレスですしね。往診では寝ているまま治療が終わってしまうこともあるのですよ」。(丸田先生)
飼い主が笑っていることが愛犬を幸せにする
病気や介護という状態が続くとどうしてもイライラしがちで、家族の雰囲気が悪くなることが少なくありません。
ですが往診によって獣医師にゆっくり話を聞いてもらえる、ちょっとした雑談ができる、そのようなことが気持ちに変化を起こさせます。
そして飼い主が笑顔で介護できるようになるとペットも安心して良い方向に変化していき、結果的には全体の生活の質(QOL)を上げることになるのです。
素敵な循環ですよね。
「往診によって飼い主さんの気持ちが変わり、“あれが出来ない、これが出来ない”から“あれが出来るようになった、これも出来るようになった”と話されるようになるのです。飼い主さんの表情が変わる、そのことが一番のやりがいです」。(丸田先生)
遠慮しないで「来て欲しい」と言ってみよう
往診は人にも犬にも優しい医療です。もっとたくさんの人に知って欲しいし、利用して欲しいと思います。
「とにかく気軽に使って欲しいですね。かかりつけの病院(獣医師)が往診をしてくれるかどうか、まずは聞いてみると良いと思います。もしダメなら他を探してみる。セカンドオピニオンとしてでも良いですし、色々な選択肢を持つことは大切です。かかりつけ医に義理立てする必要はありません」。(丸田先生)
他の病院に行くとなると少し後ろめたい気がしてしまいがちですが、今やセカンドオピニオンは当たり前のことですし、そういうことを気にする先生は少ないそうです。
「気軽に話せる獣医師を見つけてください。往診の獣医師は相談役としても適しています。往診している獣医師は飼い主に寄り添いたい人たちなので、しっかり相談に乗ってくれるはずです」。(丸田先生)
往診は病院に行くよりも金額的には高くなりますが、マンツーマンで相談に乗ってもらえて愛犬のケアと飼い主の心のケアもしてもらえることを考えたら金額以上に得られるものがあるはずです。
これからの病院選びの中に「往診」という選択肢を加えてみてはいかがでしょうか。
最後に、丸田先生が代表を務めるAnimal Life Partnerの理念をご紹介します。
私たち飼い主は孤独ではないと思わせてくれる、素晴らしい理念です。
「アニマル ライフ パートナー」3つの理念
・人と動物が最期まで、笑顔でいられるようサポートします
・病気のケアを病院任せではなく、飼い主様参加型ケアを広めていきます
・獣医師が、いつでも飼い主様のそばにいられる存在になります
丸田 香緒里先生 プロフィール
日本大学卒。
動物病院勤務後、「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。
ペット栄養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、メンタルケアカウンセラーなどの資格を生かし、病院での診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
また、女性獣医師ネットワークの理事を務め、家庭と獣医師業を両立する女性の活躍をめざし活動中。
HP:http://www.animallifepartner.com
執筆者:Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
撮影・執筆の他、写真のレッスンも行う。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは15歳2か月で虹の橋へ。 現在の愛犬はトイプードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。
子供の頃からの夢は「ドリトル先生になること」
Facebook:Roco ~LoveLetters~ 写真と言う名のラブレター
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