【エッセイ】正しい答えに囚われすぎると苦しくなる。レトリーバーとの暮らしをHappyにするための“ユルさ”とは
世の中には「正しい〇〇」というのがすごく多くて、時にそれが私たちの思考を縛り付け、行動を制限することになっているように思う。誰もがネットで「正しい」情報を得ることが出来るようになったのは素晴らしいことだけれど、私はそこにいくつかの問題があるようにも感じている。そもそもの情報の正確さ、そして正しさを追い求める窮屈さ。正しさを正義と取り違えるのも怖い。色々と窮屈なこんな世の中だから、ちょっと肩の力を抜いてみるのもいいんじゃない?
目次
最初のしつけからつまずいてばかり。どうして“本の通り”にいかないの?

HarrisonLee/shutterstock
私がゴールデンレトリーバーのRubyを迎えたのは1994年4月のこと。今から26年も前だから情報は本だけ。
図書館や本屋さんに通って犬の飼い方やトレーニングの仕方が書いてある本を読み漁った。
しつけは訓練士さんに来てもらうか訓練所に預けるという方法が割と一般的で、長い人だと半年も預けるということもあった。
私は自分でやりたかったから(そのために会社も辞めたのだし)、そのどちらもお願いしなかったのだけれど、とにかく全てが大変だった。
まずはトイレ。
Rubyは100%の成功率になるまで半年以上かかったと思う。
ほぼ大丈夫、でもたまに失敗。
お散歩もあっちこっちに行こうとして引っ張って、脇について歩くなんてことが出来るようになるのかすごく不安だった。
本に書いてある通りに「引っ張ったら反対に歩く」というのを実践すれば、行ったり来たりで全然前に進まない。
「言うことを聞かなかったらひっくり返して馬乗りになりこちらのほうが上だと教える」
そんな言葉を信じて実行してみても、キッと私を見据えるだけでキャンとも言わないし尻尾を丸めることもない。
本の通りにしているけれど、私たちこの関係で本当にいいの?
そんな疑問が常に頭の中にあって、何だか悲しかった。
Rubyは吠えたりいたずらしたりはほとんどなかったけれど、最初に思っていた「理想の犬との暮らし」とは何かが違っていた。
正しい犬の飼い方、しつけ方。大切なのはそこじゃない。

Anastasiia Chystokoliana/shutterstock
今はたくさんの情報を簡単に手に入れられるし、犬との暮らしについての考え方は1994年の頃とは大きく違ってきている。
かつての悩みは今だったらもっと簡単に解決できただろうし、それ以前に悩む必要もなかったことだったかもしれない。
そして何より思うのは、どうして私は「正しい」と言われる方法に固執していたのだろう? ということだ。
知識と経験がなかったことは大きい。
子供の頃から犬を始めとした動物たちと暮らしてきたが、自分で責任を持って育てるのは初めてだったし、家の中で犬を飼うのも初めてだった。
でも外国映画に出てくるような「大型犬が家の中にいる暮らし」が憧れであり、そこに出てくる従順で賢い犬が私の中の理想だったから、そのために必要な「正しい」しつけをしたかった。
それが私とRubyを苦しめていたことは確かだと思う。
トレーニングの仕方には当然「正しい方法」というのがあるだろうし、反対に「間違った方法」もあるだろう。
でも「正しい結果」を求めすぎるのは本当に苦しいことだ。
何のためにそれをしているのかと言えば、犬と幸せに暮らすため。なのにしつけの結果だけにこだわり、ゴールが違ってしまうのは怖い。
Rubyの賢さのおかげでそんなちぐはぐさもいつしか消えたけれど、私がもうちょっと視野を広く持っていたらもっと早くそういうことに気付けたのにと思う。
私たちはいつも「理想と現実」のはざまで悩んでいる

Lindsay Helms/shutterstock
今、SNS上ではたくさんの「素敵な生活」が輝きを放ちながら公開されている。
また、「正しい〇〇」という正義も個人・企業問わず、記事やコメントとしてアップされ続けている。
それに対して人は色々な感情を抱く。
キラキラには憧れ・共感・嫉妬・反感、色々だが、「あんな生活がしたい」と憧れて理想とする気持ちは、私が外国映画に出てくる犬との暮らしに憧れたのと同じようなものかなと思う。
では「正しさ」についてはどうだろう。
正しいことをしている人に憧れる? ちょっと違うように思う。
私たちは真面目だから「正しくありたい」と思う気持ちが強いだけで、本当は「そうは言っても現実は…」と思っていたりするのではないか。
なぜこんなことを書いたのかと言うと、時折ネット上で「それは正しくない」という批判めいたコメントや文章を見かけるからだ。
確かに「それはちょっとどうかと思う」というようなことをしている人もいるのは確かだ。
でも、白でも黒でもなくグレーなことって生きていたらたくさんあるよね。
「本当はこうしたほうがいいのはわかっているのだけれど」ということは本当にたくさんあると思う。
それを弱さと斬り捨てることには疑問を持ってしまうのだ。
食べ物ひとつとっても考え方は人それぞれで、人間の食べ物は絶対あげてはいけないって決めている人もいれば、せっかくだから一緒に楽しもう、という考えでちょっとおすそ分けしてしまう人もいる。
全く知識がないという場合を覗いては、きっと「理想」より「今Happyだと思う現実」を選んでいるのだ。
ほんの少し、理想と現実のギャップに悩みながら。
究極、愛レトと家族がHappyだったらそれでいい

Orientgold/shutterstock
正式な方法や理想的な考え方、それを知っておくのは大切なこと。でもそれもどんどん新しくなっていく。
だから情報には常にアンテナを張って、刷新していくことは薦めたい。
私がRubyにしていたトレーニングの方法は当時「正しい方法」だったのに、今や完全NGになっていて、もう「こんなことしちゃってた」というネタにしかならない。
今は本当にたくさんのやり方があるから、そこで自分に合った考え方をチョイスすること。
そこに「正解」を求めるのではなく、その先のレトとの暮らしにフォーカスを合わせること。
理想的な「正しさ」に囚われることで苦しむくらいなら、やらないほうがいい。
人にどう思われるか、正しい飼い主でなければならない、ということも考えなくていい。
正しい飼い主が必ずしもレトにとって良い飼い主ではないと思う。
ちょっとユルい時もある「楽しい飼い主」であるほうが、家族全員Happyなのではないだろうか。
私は自分を縛り付ける「正しさ」と戦いつつ、犬たちにとって最高に良い飼い主、相棒でありたいと思っている。
執筆者:Roco
『ヒトとイヌ』を永遠のテーマにしているフォトグラファー&ライター。
撮影・執筆の他、写真のレッスンも行う。
フォトグラファーになるきっかけを作ってくれた英国ゴールデンのRubyは15歳2か月で虹の橋へ。 現在の愛犬はトイプードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。
子供の頃からの夢は「ドリトル先生になること」
Facebook:Roco ~LoveLetters~ 写真と言う名のラブレター
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